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和室のすすめ その1~一級建築士 蓑田常弘からのメッセージ|
和室のすすめ その1~和室事例|
和室のすすめ その1~数寄の感性と現代というようなテーマで作った和室|
和室のすすめ その2|和室のすすめ その3|和室のすすめ その4
和室のすすめ その1~一級建築士 蓑田常弘からのメッセージ
日本の住居から和室がなくなってから久しい。今あるのは、和室もどきの箱のようなものしか見当たりません。
和室がなくなった理由はいくつかありますが、第一の理由は、生活様式が洋式になり、食事は座卓ではなくテーブル、畳敷きの座敷はフローリング貼りのリビングになり、座卓や座布団は椅子やソファになったのです。そして掘り炬燵はエアコンや床暖房にとって変わられました。
二番目の理由は、和室を作るには、手間暇とお金がかかることでしょうか。
そして三番目の理由は和室を作れる職人が居なくなったこと、そして四番目の理由として、今住宅業界を席捲しているハウスメーカーやマンションディベロッパーや分譲住宅販売会社としては、和室などという時代錯誤で訳の分からないものを作っても意味がないし、何といっても量産には向かない、ということでしょうか?つまり手間が掛かって儲からないものは誰もやらないとなったのです。
又、設計士やインテリアデザイナーと言われる人達も、和室を設計したり、ディティールに没頭するような知識も意欲も持ち合わせていない、ということでしょうか?
私自身も、世の中全てがAIに全てが支配されかかっていて、お掃除ロボットが駆けずり回っている現代の家に、いきなり和室で生活させようなんて野暮なことを言っている訳ではありません。
日本が何百年もかけて作ってきた数寄屋建築や侘・寂の原点である茶室という日本文化を根絶させてもいいのか、という思いなのです。
私が昨年、自然素材木材を使った「大人のリノベーション」と称するショールームを作ってから、たくさんの人に見ていただきました。大体の人は空気感の違いを感じ、落ち着く、気持ち良いと言っていただいたのです。そしてそのショールームの一番奥に、千利休の「待庵」ならぬ2帖の和室を作ったのですが、そんな狭い和室であるにも関わらず、圧倒的な存在感と癒しの表情を醸し出してくれたのです。そして、年代に関係なく老若男女の普通の人達のほとんどから評価して頂いたのです。ならば殺伐とした日本及び日本の住宅の中に何らかの形で和室を残していければいいなと素直に思ったのです。
私は建築設計の修業時代に吉田五十八という和風建築の大家のところで一時仕事をさせていただいたことがあり、その時に培った実施設計や施工図の体験が少しありましたので、今までの私の作った住宅の中には、1部屋だけでも和室を取り入れたり、洋室の中でも障子とか格子戸とかを採用したりしてきましたので、件の建築関係の人達よりも和室に関する知識や愛情が深いと思っているのです。外国人の有名な建築家であるフランク・ロイド・ライトやアルヴァ・アールト、桂離宮を世界に知らしめたブルーノタウト等は、日本建築に興味を持ち、自らの作品の一部にその和風テイストのデザインを取り入れています。
第一次世界大戦前の1930年代にもフランスを中心にジャポニズムの一大ブームがありました。絵画の世界での浮世絵が印象派に大きな影響を与えたことがありました。その時には和風建築や俳句までもが日本文化の一つとして人気があったようで、むしろ外国人の方が私たち日本人より日本の文化を愛する気持ちは強いのではないか、と思える程です。
私は何も演歌歌手北島三郎の歌の世界のようなコテコテの和室を復権させようという気持ちは全くありませんが、日本の現代住宅がどんどん失ってきた和風建築の良さを見つめ直して、ただ外界から人間を守るだけの味気ないシェルターのようになってきた住宅、あるいは高気密高断熱とまるで温室のようになってきて、結露やカビが発生した新建材だらけの家で果たして良いのかという問いかけをしていきたいという、気持ちの表れが、和室のすすめだったのです。
恐らく、今のハウスメーカーや建売住宅が作っている洋室と称する部屋と例えば昔の茶人が作った茶室との大きな違いは、その様式やその空間が与える精神的意味までを含めると、1000倍とか10000倍位の価値の差があるのではないかとさえ思えるのです。
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和室のすすめ その1~数寄の感性と現代というようなテーマで作った和室|
和室のすすめ その2|和室のすすめ その3|和室のすすめ その4
和室のすすめ その1~和室事例(2)
日本の家には、近年和室を作るという事が少なくなりました。
まだ高度成長時代には全部が和室の家とか、1軒の住宅の内約半分は和室という家もたくさんありました。そしてそれが徐々に変わって、洋室という訳の解らない室名を付けてただのビニールクロスを貼っただけの四角い箱のような部屋ばかりの家になりました。
このように洋室ばかりになった1番の理由は、和室を作るには手間がかかること。2番目として生活様式が洋風になって来て、基本的に座って生活する和室では不具合が生じてきたこと。3番目に和室を作れる職人が少なくなったこと。4番目は、和室は銘木材とか、特殊で高価な材料を使う場合が多いため、お金がたくさんかかること。5番目としては、ハウスメーカーや建売住宅の量産化住宅では和室を作ったのでは利益が出せないからといった理由が挙げられます。
当社は設計の依頼があった時にはどんな家にもどんなお客様にも、原則として和室の良さを説明して、可能な限り和室を1ヶ所でも作るように勧めています。
壁と天井は石膏ボードの上に和風のビニールクロス貼、床は一応タタミにはなっているが、中身は発泡スチロールで厚さも2センチ位しかないような和室は、和室ではありません。そして入り口や押し入れの建具も枠も新建材で工場で作った木に見えるユニット式の新建材であり、柱も長押しも、タタミ寄せも本物の木は1ヶ所も無いような物は決して和室ではありませんから、ただ単に和室と記入したような部屋は作らないようにしています。
和室
右側には茶室の下地窓が埋め込まれていた。デザインは当社オリジナルで、敢えて、どこにでもある材木を使用しました。
和室天井
和室4.5帖のドアを開けるとLDKに続きます。建具上部はオープンにして、天井は続き、和室と洋室の一体感を演出しました。
枠を飾り棚と一体に造作した
採光型の可動型間仕切りは明るく、又開放すると広々と使える仕様。
開放型の可動間仕切り
和室とリビングをつなげました
和室
リビングのワンコーナーにある開放的な和室
階段から見た和室
階段を下りてくるとガラス越しに和室天井が見えます。
欄間
ご実家から持ってきたものをはめ込みました
和室入口
和室入口の障子襖の風流格子窓
和室入口
和室入口廻りの上品なデザイン、欄間の透明ガラスから和室の天井が見えます。上部にある飾り棚がアクセントとなっています
和室
リビングから見た和室。掘り炬燵と天井は変形折上天井としました
和室4.5帖
両脇に収納スペース、中央を床の間とした。
小さな床の間
床柱は齢60年の松丸太を引きさいた。地板は錆ゴマ竹真鍮釘打、中棚は杉木習板寄貼、上棚は松材の正面に錆ゴマ竹を貼った。上棚は外して掛け軸や花器を飾ることも出来る。
和室
茶室の広さは千利休の作った待庵の広さを再現。当社ショールームの一角にある2帖の和室です。坪庭と外のつながり、壁を無くし、オープンにすることで、ショールームとの一体感を創り出しました。
和室
リビングバリアフリーの床でモダンな和室をねらった半透明の3枚引き戸を取り付けました。
リビングに隣接する和室
琉球畳を敷きました
リビングから和室を見る
飾り棚に小物やグリーンを使ったモダンな和室
和室
床の間と吊り押入
細部にまでこだわって作り上げた和室
壁はじゅらく壁、柱は杉材、天井は秋田杉の格子天井、縁甲板はカバ桜を使用。
和室の中央
和室の中央に掘りごたつ。畳縁の柄は、かきつばたにしました。代々の木目のタンスはリニューアルして新品同様に作った。欄間は奥様の実家より持ってきました。
和室
床の間中央に建てた床板は桧錆丸太。幕板は北海道から取り寄せた銘木板。
1階リビングより和室4.5帖を見る
欄間はオープンとなっていて、3枚引き採光建具の上は木で造作して、飾り棚が付いている。 下り壁を設けず開放することにより、家全体が有機的につながっていく。また、家全体の風の流れをよくする。急なお客様等の寝室として使えます。
玄関
玄関より和室を見る
4世代にわたって使われる建具
建具は、ご実家で使われていた古いもの
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和室のすすめ その2|和室のすすめ その3|和室のすすめ その4
和室のすすめ その1~数寄の感性と現代というようなテーマで作った和室
客間としての和室8帖を、本格的な和室として作りました。床の間に仏壇入れ、書院造のような地袋や天袋と筆返しのある中棚、小さな水屋、押入れ、雪見障子、掘りコタツという設え(しつらえ)です。数寄の感性と現代というようなテーマで作りました。
床の間の銘木材は床柱が桧の錆丸太、仏壇入れの吊り柱が北山杉面皮付チョンナなぐり仕上、床框は面皮蝋色漆塗り(めんかわろいろうるしぬり)、落とし掛けは北山杉磨太鼓、床地板に黒御影石と多摩川砂利敷、床の間天井は網代(あじろ)天井、部屋全体の天井は杉杢無垢板敷目貼となっています。
天袋と地袋の材料は、私の地元・宮崎県の家具屋さんに屋久島杉を使って作ってもらいました。屋久杉は年輪が細かく天然記念物に指定されているため、台風等で倒れた木材を利用して作るため、貴重な材料となっています(屋久島は台風銀座として有名)。地袋の天板には小さな竹を敷き並べてあります。
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元来、和室の造りは床の間を中心に真・行・草(しん・ぎょう・そう)の形がありますが、この家の和室は行と草の間にあります。
下記に引用させて頂いた千利休の言葉「真を知り、行・草に至れば(作法や形態は)いかほど自由にくずそうと、その本性(質)はたがわぬ」というところでしょうか。
広縁は約15年前に増築しました。この空間は庭に続く和モダンなデザインとなっています。天井は全面ガラストップライト、壁はごま入りの平割竹真鍮釘打と、イタリア産・金入りガラスモザイクタイル貼りのミックス、床は杉板荒木節有無垢材で四隅の溝に多摩川で拾った玉砂利を敷いています。片壁面には変形和モダン飾り棚を設置しています。
真・行・草(しんぎょうそう)について
元来、書道の真書(楷書)、それをくずした行書、さらに行書をくずした草書の3書体のことで、そこから茶道・華道・俳諧・庭園などにも、この真行草の構成が見られ、建築様式においても和室の格式の表現形式として、「真」・「行」・「草」が用いられています。
真・行・草は、和室の床の間の形や使用する材料・納め方によって分類されますが、実際のところ、その3種類の境目は明確ではありません。
一般的に、「真」とは厳格に完備したもので正格、それがやや砕けて軟らかな形式になったものを「行」、さらに省略化され軟らかさを増したものを「草」といい、茶室でいう真は書院風の茶室をいい、草は千利休が広めた草庵茶室といえます。
草庵を完成させた利休は「真を知り、行・草に至れば(作法や形態は)いかほど自由にくずそうと、その本性(質)はたがわぬ」と弟子に説いた。
「住宅建築専門用語辞典」より
和室のすすめ その1~一級建築士 蓑田常弘からのメッセージ|
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