築60年の土壁の家がイングランド風に甦る
依頼を受けたのは、お母様から相続された40代の娘様ご夫妻でした。
現調させていただき、外部・内部の一通りの調査の段階では、普通の町屋でした。ところが解体を始めてびっくり。外壁も内壁も、表面仕上材の下に何と土壁が出現してきたのです。それも竹小舞下地の本格的な土壁でした。
再建築不可の土地の建物を一部減築を行わなければなりません。その上、オール土壁の解体をしたら、土ぼこりは出るわ、解体の途中で建物全体が歪んでくる可能性がある事、さすがの私もこの時ばかりは、契約金を全てお返しして解約させていただくしかないなと思い悩みましたが、解体中の現場に何回か足を運び、設計施工の進め方を練り直し続行すると決断しました。ご来社いただいた上に他店との競合の中で当社を選んでくださり、希望に燃えたあのご夫妻の顔を思い浮かべるととても切り出せなくて、乗りかかった船だと腹をくくり、とにかく出来ることをひとつひとつ解決していくしかないと決断したのですが・・・。
駐車スペース確保のため、一部減築してシックでシンプルな外観に変貌。
渋いブラックグリーンの木目のサイディングを採用しました。既存建物の面影は全くありません。どこから見ても新築工事が行われた家のようです
屋根の延長上にロフトを作り広々とした横にも縦にもゆったりとした大空間となりました。床は全ての部屋に無垢材の栗アンティーク風を採用しました。
屋根の傾斜部分の一番低いスペースがアトリエとなり、左側から差し込む光が作業を助けてくれます。
奥様が自宅でボタニカルアートの教室を開かれています。
キッチンカウンターからキッチンを覗いた様子。シンクは対面式で、食器棚・冷蔵庫等へすぐ移動できる等、導線にも優れた使いやすいキッチンになりました。吹抜上部の三角窓の光は思った以上に効果的です。
キッチンの一面には薄いグレーの外壁用の磁器タイルを貼りました。
アクセントになり、かつ、ゴシゴシと洗えて汚れても掃除がしやすいというメリットも併せ持っています。
ロフトからリビングを見下ろした様子。今まで屋根を支えていた古い梁をそのまま残し、築60年の土壁の家がイングランド風のインテリアに甦りました。
落ち着いた雰囲気の寝室。ベッドの脇には飾り棚を設置しました。一部アクセントカラーとして、渋茶色のクロスを使用しました。
寝室にあるデスクスペース。デスク横には本棚を設置し、大量の本が収納できるようにしました。
トイレ
トイレ手洗い