建築用語集
■トップライト
天窓やスカイライトとも言われ、天井部に取り付けられた採光窓のこと。または、その窓から取り入れる明かりのことだ。このような天井部分からの採光は、垂直な窓から入る光に比べて効果的とされ、天窓の有効採光面積の計算では、開閉式の窓、FIX窓を問わず、実際に設置されるトップライトの面積と比べ、3倍の面積があるものとみなして計算することができる。そのため、採光の確保が難しい居室においては、特に大切なものだ。窓はアルミサッシや木製サッシなどサッシが多く用いられ、開閉は回転式、スライド式、突き出しなどがあり、また、採光目的だけでなく、換気や通風用に電動で開閉できるタイプもある。
■飛石
庭園や露地などで、歩行用にとびとびに配された石のこと。湿気によるぬかるみを避けるためと、主に美的な景観の効果を演出するため、バランスを考えて並べられている。飛石の起こりは安土桃山時代の頃で、露地口より茶室までの間の苑路上に歩幅に合わせて石を配置し、茶席までの誘導を行なったものである。
■戸袋(トブクロ)
一般的には開けた雨戸を収納しておくために、縁側や窓の敷居の端に作られた箱状の造作物のことを指す。この他室内において、引き戸を引き込む部分を指す場合もある。いずれも主に和風住宅建設の際、大工職が躯体(くたい)工事以外に行なう造作工事のひとつ。雨戸用の戸袋には2種類あり、ひとつは板で戸袋全体を支える妻板戸袋、もうひとつは雨戸の枚数が多いときに使われる、柱で支える柱建戸袋がある。かつての和風建築は、雨戸用の戸袋の設置が一般的であったが、雨戸の代わりに窓シャッターの普及が進み、雨戸用の戸袋がない住宅も少なくない。一方、室内については、引き戸を戸袋内に収めて一体感のある広い空間が作れることから、室内扉として、これまで主流だったドアに代えて、戸袋を備えた引き戸が採用されるケースが増えつつある。
■戸ぶすま/戸襖(トブスマ)
紙や布の代わりに、下地材に合板などを使ったふすまのこと。マンションなどの集合住宅において、和室と洋室の取合に設ける襖戸の場合、和室側は襖紙を貼って仕上げるが、洋室側や廊下側は合板やクロス張りなどで板戸仕上げとする。木製組子に板を接着したフラッシュ戸の上に襖紙を貼り付けた物は、フラッシュ戸襖と言う。これは、戸襖の厚さが約20mmなのに対して約30mmで、厚みがある物が多い。この厚みにより、表面の仕上げ材が違うことによる建具の反りの発生を減少させている。しかし近頃では、スタイロ襖やダンボール襖で単に厚みを増しただけの物もあるので、その場合は反りを防ぐ工夫が必要だ。
■留(トメ)
屋2つの部材が45度で取り合う部分のこと。取り合いそのものも留と呼ぶ。小口を見せない接合方法であり、美しく収まる。建具や窓などの開口部に使われる額縁の角に使われることが多く収まりが良い。
■トラス
構造体骨組の一種で、部材をピン接合して三角形を構成した骨組のこと。トラスを用いることによって、荷重はすべて節点に作用するため、部材にかかる負担は少なくなるのが利点だ。トラスには、二次元的に三角形が造られている平面トラスと、三次元的に三角形が造られている立体トラスがある。平面トラスは主に橋に、立体トラスは主に屋根に用いられている。橋は三次元的に造られているために、立体トラスと思われがちだが、実際は平面トラスをうまく接合して造られているため、立体トラスは使われていない。トラスは、湾曲力に強い骨組みなので部材の総量を減らすことができ、コストや重量を抑えることが可能である。
■トラッド
伝統的ということを表すトラディショナルの略のこと。使われ方も同様で変わらない。次々に誕生していく流行に左右されることのないという意味を持つため、アパレルでもファッションスタイルとしてよく使われる。伝統を重んじたデザインスタイルのことをさし、傾向的にもトラッドという言葉が利用されることがある。アメリカの紳士服の様式としてトラッドが使われることがあるが、曲線を限りなく排除した、直線的なラインのジャケットなどが特徴だ。チェック柄で細身のラインを持つパンツなどが中心で、安定した支持層を持っているのは、ビジネスマン向きのスタイルという理由がある。アイビーなどのスタイルもトラッドと言える。
■トラバーチン
大理石のひとつで、小さな穴が無数にあいている物のこと。虫食い状の孔ではあるが、水に溶けた炭酸カルシウムが沈殿してできあがる際に圧密を受けていないために多孔質になる。沈殿してでき上がっていくため、非常に緻密であり、多様な構造を持っている。軟弱な物はトラバーチンではなく、トゥファと呼ぶ。装飾石材として使われてきたが、正確には大理石でも石灰岩ではない物もある。ローマの古代建築で多用されてきた材量でもあり、コロッセオはトラバーチンを使った世界最大の建築物として知られている。近代建築にも欠かすことができない石材であり、正面装飾や壁といった目につきやすい部分に好んで使う建築家も多い。
■トリム
カーテンの裾や縁に施される装飾のこと。カーテンをドレスアップして華やかに見せるために使われる。トリミングと呼ばれるのも、同じ意味を持つ。非常に広い意味を持つ物であり、多くの形がある。装飾用に作られた幅の細いレースやブレードと呼ばれるテープ状の物などがあるが、幅広のレースはマクラメと呼ばれ、トリムとは区別されている。バランスを取ることが重要であり、単独で利用するよりも、ドレープカーテンなどとの組み合わせが必要だ。バランス取りに使われるブレードの装飾のひとつであるフリンジもデザイン的に重要と言える。窓まわりを見た場合には、装飾効果の高い小物であり、カーテン以外にもクッションなどに使われることがある。
■トレーサリー
中世のゴシック建築に見られる装飾のこと。窓の上部などに使われている桟のことで、ステンドグラスをはめ込んだ物が代表的な物となる。石造りで作られた物が一般的で、薄い石をくりぬき作られた物は、プレート・トレーサリーと呼ばれる。棒状の石材を模様として複雑に組み合わせていった物は、パレート・トレーサリーと呼び区別している。ゴシック様式の中でも、クラシカル・ゴシックで見られるようになり、発展していった。特にイングランドのゴシック様式には大きな影響を与え、百年戦争で途絶え15世紀に復活していくゴシック建築にも用いられるようになっていく。フランポワイアン・ゴシックでは、イングランドのトレーサリーが取り入れられている。
■トレーテーブル
畳や竿縁天井の竿、天井にある溝が床の間の方向を向いている状態のこと。直角の状態になっている場合を床挿しと呼ぶ。他にも床指や床刺しと表記することもあるが、日本建築では縁起のいいものとはされておらず、不吉とされている。施工としても好ましくないものであるが、建売住宅の中には視覚的な目的で、デザイン性を重視するといった名目で使われていることがある。
■トレリス
庭やバルコニーなどに設置される格子状の柵のことで、ラティスとも呼ばれる。主な役割は目隠しや囲いであるが、広義の意味で、ガーデニングのエクステリア資材を意味することもある。「トレリス」とラティス、もしくはラティスフェンスは、もともと格子状の柵という同じ意味の言葉だったが、ラティスは「トレリス」の一部で、特に格子状の柵であることを意味する。「トレリス」と称される場合は、格子状の柵以外にも、植物の誘引に使うフェンスやパネル類、さらにスティックのような、境界を設けること以外の目的で、植物のつるを巻き付ける物や、鉢をハンギングして庭を演出する用具や器具など、ガーデニングの際に利用される資材全般を指す。
■ドーマー
屋根の上に突き出た小さな屋根付き窓のこと。「ドーマーウィンドウ」とも言い、屋根裏部屋やロフトのある洋風住宅によく見られる。 ドーマーは、トップライトのように屋根側にある天窓とは違い、切妻小屋根の垂直面に開口部を取り付けた物で、採光と通風の役割を果たす。窓の形としては、引き戸タイプや上げ下げ窓、両開き窓が一般的。住宅にドーマーを設けるメリットは、屋根裏部屋や、窓が設けられず暗くなりがちなホールなどに光が入ることがひとつ。さらに、高い位置から空気が抜けるので換気効率が高く、夏場は天井付近に熱気がたまりにくい、外観上のアクセントになると言ったメリットがある。
■ドーマーウインドー
屋根の傾斜面に設置した窓のこと。屋根の上に小さな小屋を乗せ、その壁面に窓を取り付けることにより、居室や小屋裏収納、ロフトなどに使用する部屋の換気や採光を採る。高い位置にあるため均一な採光が可能だ。また、屋根面に作られた窓とは異なり、夏の直射日光は遮り、冬の日差しは低く差し込むことで暖房効果も期待できる。ただ最近では、採光や換気のためだけでなく、外観上のデザインアクセントとして取り入れることもある。窓の形は引き戸タイプや上げ下げ窓、両開き窓が一般的。屋根面に完全にのった物はルーフドーマーウインドー、軒部分から立ち上がる物はウォールドーマーウインドーと呼ばれる。
■ドアクローザー
開いたドアを安全な速さでスムーズに静かに確実に閉めるための装置のこと。玄関ドアや室内ドアの上部に付けられる。大きく分類すると、「スタンダード型」と「パラレル型」に分けられる。スタンダード型は、ドアを押す反対側に取り付けるタイプでアームがドアに対して垂直になり、パラレル型は、ドアを押す側に取り付けるタイプでアームはドアに対して平行になる。「ドアクローザー」の外形には3つの形がある。本体にカバーが付いているタイプ、本体取り付けねじが正面から見えるタイプ、本体取り付けねじが正面から見えないタイプである。「ドアクローザー」から油が漏れる、ドアがバタンと閉まるようなら寿命がきていて速度調整がうまくできていない状態なので、交換が必要となる。
■ドアスコープ
玄関扉に設置されている覗き窓のこと。この窓があることで、扉を開けることなく、外を確認することができるため、家の前の不審者や迷惑な訪問者への対応、または防犯に役立つ。主に、アパートや賃貸マンションなどの集合住宅の扉に取り付けられていることが多い。サイズは直径数センチ程だが、外側から覗くこともできる。そのため、外部から覗かれないようスライド式のカバーが付いたドアスコープもある。しかし、夜間などはドアスコープのカバーが開いていると室内の明かりが通路側に漏れてしまい、中に人がいることや人の動きが推測されてしまう問題点もある。
■土居葺き(ドイブキ)
瓦を葺くための下地として張られている薄板のこと。屋根に対して張りこまれる物で、水に対して耐性が求められるため、さわらや杉板が使われている。この上に土を盛ることで、瓦を敷くことができるようになる。大きな面積を占める板材となってくることから、どんどんと釘を打って固定。この音がリズミカルに聞こえてくることから、とんとん葺きと呼ばれることがある。人工材ではなく天然材を使っているため、湿気を吸収してくれて、換気ができるだけではなくて調湿もできる。これによって建物の風化を意識したりすることなく、自然に守ってくれる存在となるため、日本家屋で重要な意味を持ってきた。
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