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建築用語集

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その他「ス」

■スーパーレジェラ
アームレスチェアのこと。イタリアのデザイナーで建築家でもあるジオ・ポンティがデザイン。スーパーレジェラを発表したのは1957年であり、機能性を重視したデザインを追求したため、極限まで細いラインを作った。カッシーナ社の協力があったことで世界一軽量な椅子になった。研究は1952年から始まったと言われており、非常に長い時間をかけて作り上げていったことが、絶妙なバランスを生み出したと言われている。軽量でありながらも、堅牢な作りを持っており、現在でも高い人気を持っているロングセラー商品。


■末口
丸太の切り口のことで、立ち木だったときの根側からもっと遠い梢側(こずえがわ)の切断面のこと。切断面であるため、末口5寸といった径の大きさを表すことがある。木は根元側から成長することになるため、梢側はもっとも細い先端部分ということだ。末口が同じ寸法であれば、梁に使ったりする場合、角材にした物より丸太で使うほうが強度が上がる。これは繊維を切断していないためである。


■透彫欄間(スカシボリランマ)
透彫の技術を使い、紋様を透かしていくことで作られた欄間のこと。紋様を残して地を切り透かすのが地透かしと呼ばれる方法で、紋様を切って地を残す方法を紋様透かしと呼ぶ。欄間に使うことによって、背面が見えるようになるため、空間に圧迫感を抱かせないようにできる。透彫欄間の場合、光が入り込みやすくなり、大きな空間に感じるようになる。装飾としても、透かし彫りにすることで美しくなるが、換気としても重要な役割を果たす。暖かな空気は天井方向に上がっていくことになるため、生活していても透彫があることで自然と換気ができるようになる。そのため完全に閉めきったとしても、生活に支障が出てくることがない。


■スキップフロア
上下の階の中間に居室を設けること。1階が車庫で通常の居室より天井が低くて良い場合や、傾斜地を利用するような場合に用いられる。フロアの高さを半階ずつずらすことで高低差を付けることができ、実際の床面積よりも広く感じるのがメリットだ。また、部屋同士や廊下の仕切りに壁を使用しないため、開放的な空間ができる。1カ所だけのこともあれば、中2階、中3階、半地下など何カ所も作ることも可能。マンションなどで、各戸室の入り口を1階ごと、または2階ごとに設置し、入り口のない階を、その上下の階で利用する方法を言い、このようなタイプの住宅をメゾネットタイプと言う。エレベーターの効率利用や通路面積の減少などの利点がある。


■スケルトン・インフィル
スケルトン(柱・梁・床などの構造体)とインフィル(間取りや設備、内装)を明確に分けて設計・施工された、戸建住宅や集合住宅のことを指す。その概念は、建物を長期的に利用していく場合、耐久性が求められるスケルトンと、生活スタイルに合わせて変更することが求められるインフィルは、切り離した方が合理的であるという考え方に基づいている。したがって、「スケルトン・インフィル」の住宅では、間取り・設備の変更やリフォームが容易に行なえるというメリットが得られる。「スケルトン・インフィル」の住宅は、世代を超えて利用可能な「100年住宅」のひとつの在り方として、国土交通省などでも積極的に普及が推進されている。


■スケルトン貸し
建物の賃貸形態のひとつで、建物の骨格(躯体及び共用部分)が完成した状態で賃貸し、あとは借り手が自由に間取りや内装を仕上げることができる賃貸形態のことである。賃貸オフィスの物件に多い賃貸方式で、テナントが独自の内装デザインに仕上げたい場合などに、便利な賃貸形態だ。壁紙やカーペットを張り替えた状態で渡してしまうと、入居のテナントが内装を変えたい場合に、新品のカーペットや壁紙を廃棄することになってしまうため、スケルトン貸しにすると廃棄物の削減ができるという利点もある。アメリカで普及している賃貸方法のひとつで、日本でも近年注目されている。しかし、店舗向けの場合、空調やトイレなどがないことがあるため、事前のチェックが大切だ。


■筋かい
木造建築物などの4辺形に組まれた軸組みに対角線上に設ける補強材のことであり、風圧や地震力などによる水平力に抵抗し、軸組みの変形を防止する役割をもつ。水平力が作用する方向によって、圧縮力を負担する筋かいと引張力を負担する筋かいがある。圧縮力を負担する筋かいにおいては、筋かいに圧縮力による座屈が生じないよう、また引張力を負担する筋かいにおいては、筋かいの端部などが損傷しないよう留意して設計する必要がある。


■スタイルカーテン
装飾性を重視したカーテンのこと。室内だけではなく、室外からの視線も意識して作られる。カーテンとして生地だけではなく、縫製や付属品で装飾性を高めてあるため、非常に目立ちやすく視線を集めやすい。そのため、「スタイルカーテン」は開閉しては使わず、固定して使う物が多くなっている。プリーツ加工を施した物もあり、ゴージャスに見せることを意識して作る。デザインを重視して作るため、機能としてはどうしても劣る部分が出てしまうのがデメリットとなる。クロスオーバーやセンタークロス、パネルカーテンなどがあるが、出窓であればスカラップを使うことが多いのは、外観からの装飾性を重視するためである。ただし、視線はほとんど遮ることができない。


■スタイロ畳
断熱材として利用されているスタイロフォームを組み合わせて作られた畳のこと。木材繊維も組み合わされ使われている。スタイロフォームとは、断熱材の一種で、ダウ化工株式会社の製品のこと。圧縮力が働いても、体積が変わらないだけではなく、軽いことが特徴となる。この特性を生かし、畳と組み合わせることによって、重量を軽くできるだけではなく、耐久性や強度も畳と同等の能力を持たせることができた。心材がスタイロフォームになることによって、畳床から発生するダニを防ぐことが可能だ。保湿性や防湿性といったことでも高い効果を発揮するため、住環境を快適な物にすることができ、衛生的にも優れた状態を保つことができる。


■スタッキングチェア
英語で積み重ねを意味する言葉からきており、積み重ねて収納できる椅子のこと。木製、アルミ製、鉄製など様々な材質の物があり、用途によって使い分けられている。デンマークの建築家アルネ・ヤコブセンがデザインした「セブンチェア」は美しさと機能性をかね備えていて、「スタッキングチェア」の代表品と言われている。「スタッキングチェア」は、座面に積み重ねるタイプと、脚に積み重ねるタイプの2種類に分類。座面に重ねるタイプは、デザイン性には広がりが出るが多くは積み重ねられない。逆に脚に積み重ねるタイプは全体がフレームで覆われるため単調なデザインになりがちだが、高く積み上げられ収納スペースを有効に使える。


■スタッド
間柱のこと。間仕切り壁を用いる際に取り付けられる柱材となる。鉄骨というよりは、鉄板を曲げたような物で、壁の下地にする。45cm間隔で建てられて、石膏ボードを貼るために使用。鉄骨造りで梁とコンクリートスラブを一体化させるために、溶接してあるボルトのこともスタッドと呼ぶ。根巻きコンクリートを鉄骨柱一体化させる場合にも、鉄骨柱にスタッドを溶接しておく。耐震工事の中でも、鉄骨ブレースを取り付けて無収縮モルタルを圧入していく工法がある。このときにスパイラル筋を内部に配筋するが、鉄骨ブレースにスタッドを取り付けておくことで、さらなる一体化を図ることができるため、取り付けられていることが多い。


■スツール
背もたれと肘掛のない腰掛けのことを言う。「スツール」はどんな場所でも使用でき、比較的短時間の腰掛けや補助椅子として使われることが多いものの、様々な用途で利用できる。脚の長いハイスツール、ボックス型で座面の下に収納が付いた収納スツール、コンパクトに収納できる折りたたみスツール、踏み台としての機能を持たせたステップスツール、座ったまま移動可能なキャスター付スツール、椅子やソファの前に置いて足を乗せて使うフットスツール等、多くの種類がある。


■ステップダウンフロア
部分的に下げたフロアのこと。同じ空間にフロアが下がった部分があると、視覚的に立体的な空間を作り出せる。視覚効果として、別の空間に魅せることもできるため、壁などを用いなくても、間仕切りとして効果を上げることができる。そのため、ゾーニングの方法として利用されることも多い。リビングダイニングの場合、空間としては一体になるが、ステップダウンフロアを用いることで、住人以外でも利用する空間の違いを自然に演出させることができる。


■ステンドグラス
鉛のリムを使い着色ガラスを結合して作る物のこと。制作方法には複数の種類があり、教会や西洋館の窓の装飾によくみられる。ガラスであるため透光性があり、非常に美しく見えるように作られる。古代から作られていたことが分かっており、5世紀にはイスタンブールの教会で使われていた。それから12世紀のフランスで発展していくことになるが、これはゴシック美術の影響を強く受けている。建築技術も向上し、天井を高くすることができるようになると、大きな窓を取り付けられるようになり、「ステンドグラス」はさらなる発展を遂げた。日本でも明治時代後半から「ステンドグラス」の技法が定着し、輸入ではなく自国内で生産できるようになり発展した。


■ストリップ階段
蹴り込み板がない階段のこと。骨組みがむき出しになった構造を持っている。オープン階段やスケルトン階段と呼ばれることも。段板しか存在しないため、空間として考えた場合、圧力が少なく軽快な感じを演出できる。上るときには、見通しが良いという軽快感が安定感を欠き、精神的に不安を感じることにつながる場合があるため、高齢の方には好まれないことも多い。室内に階段を設ける場合には、ストリップ階段であることが、空間に効果を上げることができる。アルミやスチール製が多いが、無垢材などで造作することも可能。階段として使うだけではなく、観葉植物などをおけば、室内空間として棚のような演出もできる。


■スパイラル筋
鉄筋コンクリート造りに使用される鉄筋のこと。骨組みに使われる鉄筋のひとつ。スパイラル筋の名前の通り、らせん状にスパイラルしている鉄筋であり、継ぎ目がないように作られている。巻かれていることから、螺旋鉄筋と呼ばれることも。せん断防止用の鉄筋であり、柱や梁に使われることが多い。他にも、耐震工事の鉄骨ブレース工法で、鉄骨ブレースと躯体(くたい)の間に入れてせん断補強するが、これも地震に強い鉄筋とされている他に、溶接しなくて済むという理由があるからだ。結束しないでおくと、型枠側によってしまったりすることから、位置固定のために結束することになる。一定の長さ以上に使う場合には、数段分をラップさせて設置する。


■スパン
本来の建築用語では、建物を支える支柱と支柱の距離のことであるが、一般には、主にマンションの、開口部がある一辺(リビングやバルコニーがある側)の長さを言うことが多い。「間口」と同義。「スパン」の長さが広い物を「ワイドスパン」と言い、通常は間口が8m以上ある住戸をそう呼ぶことが多い。ワイドスパンの住戸は窓を広く取れるため、日当たりや風通しが良好。また、バルコニーも広くなり、洗濯物を干すスペースとは別にガーデニングを楽しむスペースを確保することもできる。その一方、開口部が広いため、外気に触れる面が多く冷暖房費がかさみやすかったり、壁面が少ないため家具の置き場に困ったりするケースも見られる。


■スプラットバックチェア
クイーンアン様式のときに流行した椅子のこと。背もたれが特徴的であり、中央部に細長い背板を使うが、ここに透かし彫りで花瓶型の装飾を入れている。派手さはないものの、安定したデザインとして完成していった。ウィンザーチェアの基本形式となった他、様々な椅子のベースデザインとなっていくことから、原型としても重要な意味を持っている。伝統的な椅子のかたちと言えるが、18世紀にでき上がったデザインのため、当時の物で現存している物は非常に希少な存在だ。スプラットバックチェアは、派手ではなく、何気ない存在のデザインであるとは言えるが、アメリカンスタイルのデザインとは一線を画する。


■墨出し
位置を出すために付ける印のこと。線や点で表される。もともとは、大工が墨壺を用いて直線として表したことから、墨出しと呼ばれるようになったと言われている。構造体に対して中心線を出したり、高さを出して記されたりすることが多い。墨出ししてあることによって、複数の人間による情報の共有ができるようになる。図面から寸法を追いやすくなるが、仕上面に見えてしまっては困ることもあるため、墨出しされた位置から+100といったことで設置場所を想定することも多い。墨では消すことができなくなるため、床面などではチョークラインが使われることもある。板などに墨出しすることによって、正確に切るということも行なわれる。


■隅棟
屋根の勾配部分が出会うことになる、四隅にできる山形の部分のこと。これを隅棟と呼ぶが、勾配が異なる部分となる。屋根の四方に流れる平勾配は、頂点の高さと長さによって角度が一定に。ところが、寄棟などの場合には、隅棟は屋根同士が結びつくようになるため、勾配面の長さは平勾配よりも長くなる。つまり、高さは一定で斜面の長さが長くなるため、隅の角度は緩くなり、勾配は必然的に緩い物となるため、取り合い部分が複雑に。平面で考えると出てこないが、立体としてとらえた場合には複雑な形状になっていることが分かる。隅棟がうまくでき上がらないと、雨漏りをする原因ともなりかねない。現在の部材はプレカットなど計算されているため、ずれることはまずない。


■隅柱
建物の外隅、内隅にある柱のこと。「隅柱」は管柱のひとつとなり、管柱は桁や胴差しなどの中断された柱のことを指す。壁などの外側を意味しているのが「外隅」、内側を意味しているのが「内隅」となる。なお、建物の土台から屋根まで通っている柱は「通し柱」で、建物の耐震性や耐久性におおいに影響を与える物。建築基準法では、木造軸組工法において「隅柱」を「通し柱」にすることになっている。なお、「通し柱」は胴差しを組み込むために太い物を使用するのが一般的。耐震性にも影響を及ぼすために、法律上でも「通し柱」を使用するように定められているが、必ずしも「通し柱」が多ければ倒壊しにくいとは言えないとの見解もある。


■住吉造り
大阪にある住吉大社に代表される建築様式のこと。日本でもっとも古い神社本殿形式のひとつ。破風に反りが見られず直線形になるのは、古式の特徴と言える。伊勢神宮の明神造や出雲大社の大社造とともに最古の様式だ。非常に似た面を持っているのが、切妻造りであり、入り口が左右対称になるところが大きく異なる。簡素な作りになるが、屋根に千木や鰹木が付いている。回縁と御心柱、正面中央の柱が存在せず、内部が内陣と外陣に区切られている特徴を持つ。それぞれが2間であることから、長方形である。床は大社造や明神造と比較して低い。扉は正面中央の1カ所で観音開きになった開口部が設けられている。


■スライディングウォール
使用目的に応じて使うことができる可動間仕切壁のこと。天井面からパネルをつりさげることによって、必要に応じて展開できるようになっている。大きな空間を小さく区切ることも、逆に広げることも簡単にできる。オフィスやホテルで多く使われている方法であり、自動で移動させるタイプも存在。教育機関でも個室を作り出すためにも使われている。以前は遮音性もなく、簡易的な物でしかなかったが、現在では遮音性を高めた物や、透明性を持たすためにガラスになっている物も出てきた。蛇腹になっているような物が知られるが、プレートごとに分割され、必要に応じて展開ができる物も多い。



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