建築用語集
■CH
シーリングハイのこと。シーリングハイとは、床面から天井までの高さのことで、天井高さとも呼ぶ。図面上ではCHと書かれることが多い。建築基準法には、CHは2.1m以上でなければならないと定められている。異なる高さの天井がある場合には、平均のCHを導き出し表示することに。最近では、2.7mを超えるような天井高を持つ建物も増えてきている。
■シーリング材
建物の気密性や防水性を保つために、外壁や窓枠等の継ぎ目や隙間に施工されるペースト状の建築材料である。専用のシーリングガンを使用して、該当箇所に充填して使用することが多い。シーリング材は、変成シリコン系、ウレタン系、油性系があり、用途ごとに特徴が異なる。変成ウレタン系は、耐候性が高く、外壁や屋根などにも多く使われている。
■シーリングファン
天井に取り付ける扇風機のこと。大型の羽が3〜5枚付いており、照明器具と同様に、天井にあるローゼットに差し込んで設置するタイプが多い。ファンと照明器具とが一体になっているタイプの物もあり、その場合はシーリングファンライトと呼ばれる。「シーリングファン」は、羽をゆっくり回して室内の空気をかき回すことで、部屋の気温を均等に保つ目的で設置されることが多い。ファンで空気を循環させることで、冷暖房の効率を上げることができる。
■シーリングライト
天井部分に直接取り付ける照明のこと。天井灯とも呼ばれる。「シーリング」とは天井を意味する言葉で、天井直付けタイプと埋め込みタイプがある。どちらも、厚みが薄く邪魔にならない点が特徴。「シーリングライト」にすることにより、高い位置から広範囲に部屋を照らすことができるようになる。また、部屋の天井が高く見えるようになり、吊り下げるタイプのペンダント照明より部屋を広く感じるようになる点も特徴。光源に使われるのは蛍光灯が多く、外側には光を和らげるために、アクリルなどを加工したカバーを付ける。光源としてLEDを使ったタイプもあり、シーリングファンと一体化している物もある。
■シールドバックチェア
18世紀にデザインされた背もたれが盾のような形状をした椅子のこと。イギリスの家具デザイナーである、ヘップルホワイトによって創出された。線をくみあわせたような、全体的に華奢な印象を受けるフォルムを持っている。レッグラインは直線的に作られた物が多く、テーパーが切られているのも特徴。
■シアーカーテン
レースカーテンのひとつで、薄地で透明感があり光が透けるカーテンのことを言う。ドレープカーテンとシアーカーテンを組みあわせて、窓に吊るすかたちが一般的。シアーカーテンは窓からの日差しをやわらかく、そして美しく演出する効果を持つ。
■仕上材
見えるところに使われる材料のこと。床や壁、天井にも使われる。それぞれ場所によって使われる材料が違う。クロスやフローリング、タイルや化粧合板など、様々な物が仕上げ材として使われている。内部で使われるような物だけではなく、外装に使われる物も仕上材と呼ぶ。直接目に触れることになる物であり、上に貼る物と塗る物が存在する。
■シェーカー様式
シェーカー教徒によって作られた家具の様式のこと。18世紀末から19世紀初頭の、アメリカのニューイングランド地方で作られていった様式であり、実用性を重視しているシンプルにまとめられたところに特徴がある。コロニアル様式に含まれる物のひとつであり、直線が多用された構造になっている。シェーカー教徒は、自給自足による共同社会を形成していたこともあって、装飾性は排除された。厳格な戒律を持っていたことも、シェーカー様式に強い影響を与えたと言える。実用性を重視しており、機能性の高さは現代でも十分に使える物となった。表面仕上げは素地仕上になるが、丹念に磨き上げられることで、美しさも兼ね備えることが評価を高めている。
■シェル構造
貝殻のような曲面を持った建築構造のこと。曲面状の薄い板を用いており、球体や局面が持っている外圧に対する力を逃す構造を利用している。荷重は全般に分散できるため、軽くても強い構造物を作り上げることが可能。均等に力を受けるのであれば、円形になることがもっとも効率的であり、丈夫な構造にできる。
■シェルター
広義で避難場所のこと。様々な外力から避難できる場所のことを指しており、核戦争が起きても避難できるようになっている施設を、核シェルターと呼ぶ。最近では、耐震シェルターも用いられるようになってきた。住宅を耐震化することは、地震が起きたときには有効な手法となる。しかし、工法的にも規模的にも大きくなりやすく、費用は膨大な物になることが多い。そこで、もしも家屋が倒壊するような規模の地震が起きたとしても、住居部分だけは倒壊したりしないように空間を守る方法が、耐震シェルターと呼ばれている。この方法であれば、資金的にも抑えることができ、人の行きかいが多い部屋を選ぶことで、助かる確率を大幅に上げることができる。
■シェルフ
棚という意味の英語で、一般的に前面に扉がないオープンな構造の収納を指す。物をのせたり収納したりするために横板が架けられているが、使い勝手のためや見せたくない物の収納もできるように、一部に扉を付けた物もある。素材には、パインなどの木材やスチールが使われることが多い。
■市街化区域
都市計画法により大都市部などの都市計画区域の区分の中で、「市街化調整区域」と対になっているところの「すでに市街地を形成している区域及びおおむね10年以内に優先的かつ計画的に市街化をはかるべき区域」と定義されている。「市街化区域」は、道路・公園・下水道の整備が重点的に実施され、かつ土地区画整理事業や市街地再開発事業により整備が進められる区域でもある。「市街化区域」では、建築可能な建物が制限されており、かつ地域の特色にふさわしい制限を設けられている。これらの制約により市街地の都市環境が良好なものであるようにしなければならない。一定規模以上の開発を行なう者は、都道府県知事からの許可を受ける必要がある。
■市街化調整区域
都市計画法に基づいて定められた市街化を抑制するべき区域のことで、規模の大小を問わず開発や建築行為が制限されている。「市街化調整区域」は、都道府県知事が区域区分を決定することによって設定される。市街化調整区域内で土地の開発行為によって区画の性質の変更をする場合には、原則として都道府県知事の承認が必要。ただし、公の施設ならびに公共機関による土地区画整理事業においての整備等は可能であるが、原則として新しく建物を建てたり増築したりするなどの宅地造成等は、特別な事由がある場合を除き許可を得ることができないなど、市街化調整区域内での開発・建築行為を抑制する規制が適用される。
■敷居
鴨居と対になる部材で、襖や引き戸などの開閉に使う溝やレールの付いた物が一般的。代表的には差し敷居、一筋敷居、無目敷居がある。すり減らし防止のために鴨居よりも堅い木を使用したり、溝の底に堅木を入れた埋樫や、合成樹脂シートを貼り付けてすべりを良くすることもある。
■式台
玄関の上り口に設けられている板敷のことで、1段低く敷かれている。和風の玄関に用いられる物であり、土間から取次の床が高い場合に、昼間の高さに設置する板が式台と呼ぶ。最近の床は18cm以内ということが基本とされているため、わざわざ式台を用いる意味はない。書院様式のように、床下の通風を考えた作りになっている場合には、玄関の段差が大きくなってしまうことから式台が必要だった。
■敷地面積の最低限
第1種または第2種低層住居専用地域内において定められる、建築物の最低限の敷地面積をさす。敷地面積の最低限を決めることにより、ひとつの広い敷地を分割してしまう、ミニ開発を防止している。最低限とされる広さは、一般的には100平方m、最大でも建築基準法において200平方mとされており、良好な住環境を保存することを目的として制定された。都市計画において最低限の敷地面積が定められてしまうと、新しく建築される物は、それ以下の敷地では建築できない。しかしすでに存在している最低限の面積以下の建築物については、救済措置を設けている。ただし、敷地の分割をすることは不可能だ。
■しきり板
共同住宅でベランダに取り付けられている壁状の板のことで、隣接する住戸間を区切るための物。パーテーションや隔て板とも呼ぶ。平常時には隣戸とのプライバシーを確保し、また緊急時には避難経路の確保が目的となる。緊急時には突き破って隣戸へ避難できるような仕組みになっているが、フレキシブル・ボードの3mmから5mm程度の物が使われることが多く、力の弱い女性や子どもでは、突き破ることができない可能性が高い。
■支持壁
垂直にかかる荷重のみを負担している壁のこと。それに対して、垂直と水平方向の荷重をともに負担している壁は「耐力壁」と呼ぶ。軸組構法で建物を支えるのは柱だが、ツーバイフォー工法は柱がないので、壁で建物を支えている。つまり、支持壁はツーバイフィー工法ならではの壁と言える。軸組構法では耐力壁と間仕切り壁はあるが、支持壁は一般的には存在しない。見た目にはとても似ている間仕切り壁と支持壁だが、壁直下に壁を支える基礎があるかどうかで、どちらの役割を持った壁であるかが決まってくる。また耐力壁は壁線上にある物で、支持壁や間仕切り壁との違いは、地震や風に対抗できるかどうかで決まる。
■沈み目地
レンガやタイルなどの表面よりも低く施工された目地のこと。沈み目地よりもさらに深く施工された目地を「深目地」と言い、表面にあわせて施工された目地を「平目地」と言う。他にも、「ふくりん目地」「ねむり目地」などがある。レンガやタイルは工場製品として規格サイズで市場に出るが、1枚1枚の寸法は微妙に違っている。そこで貼り上がりを整然と美しく見せるために、1枚ごとの間に少し隙間をあけて貼るのが定法。この隙間を目地と呼び、床タイルなら、表面にあわせて施工する平目地が一般的であるが、意匠的に沈み目地が使われることがある。タイル面の場合、表面より2mm程度下げた沈み目地の処理が美しいとされている。
■下端(シタバ)
垂直な壁の最下部(すそ)で、床や地面との境界線のことである。 または工作物などの底部や床などに接する面のことを表す。水平に使われたもので、材料や部材の下に面した部分。下を向いて使われている場合は、道具や材料の上面を指すこともあり、部屋の部分の上部を指すこともあるため、いつも下の面であるとは限らない。下端の反対は「上端(うわば)」である、上端と似た言葉として「天端(てんば)」という言葉もある。同じ漢字で「下端(かたん)」と読む場合は、意味が異なり、物の下のほうの端という意味や、数学で実数の集合の「下界(かかい)」の最大限のことを表す「下限」と同じ意味となる。
■下見板
外壁の仕上げに使われる板材のこと。下見板張りに使われることが多く、板を水平に張っていく方法で、左官仕上げとともに定番の方法として外壁に使われていた。幅は15cm程度の幅広板を使うことが一般的で、少しずつ重なり合うように板を取り付けていく。重ねていくことによって、隙間を生み出さず、雨などが当たっても内部に入り込んだりしない。横羽目とも呼ばれていて、日本建築に使われるだけではなく、西洋建築にも同じような外壁の工法が存在し、イギリス下見とドイツ下見に分けることができる。
■漆喰(シックイ)
石灰(消石灰、貝灰)に、灰汁や海藻(ふのりやつのまた)、糸くずや粘土などを混ぜて練り合わせて作る、日本独特の白色の左官材料のこと。種類や色、仕上げ方法は地方によって違いがあり、広くはセメント、石膏、石灰を混ぜた物を漆喰と呼ぶことも。和室や軒下の壁の上塗りや、瓦屋根、石材などの接着や、目地の充填などに多く用いられている。漆喰は炭酸カルシウムや、水酸化カルシウムを主成分としていて、元々は「石灰」と表記されていたが、当て字の漆喰が定着し現在に至る。防水性があり、不燃素材なので外部保護材料として、土や木で造られた、外壁の上塗り材としても使われてきた。
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