建築用語集
■サーキュラー階段
曲線を持った回り階段のこと。輸入住宅でよく見られ、ある程度の広さがない取り入れることができない。建築様式によって、様々なデザインがあり、手すりなどだけではなく形状も異なる。階段下をオープンにするか壁にするのかでも違いがあり、設計段階で決めることで、省スペース化も可能だ。逆にスペースを取らないために、サーキュラー階段のような螺旋階段を取り入れる方法もある。本来は木でできていたため、直線部分は存在しない美しい曲線を描く。吹き抜けにサーキュラー階段を設置することによって、シャンデリアを飾り付けることもできる。笠木や手すりなどの素材の選定次第では、さらに豪華な雰囲気になる。
■サーキュレーター
室内の空気を循環させる装置のこと。風を送るという点では扇風機と似ているが、扇風機はあくまでも身体に直接風を当てることを目的とし、「サーキュレーター」は室内の空気を循環させることを目的としている。そのため、冷房時は足元付近に溜まった冷気に、暖房時は天井付近に溜まった暖気に強い風を当てて循環させ、室内を均一な温度にすることが可能。「サーキュレーター」はエアコンと併用することで、エアコンだけで冷房や暖房をした場合に比べ、短時間でより高い冷暖房効果が得られ、電気代の節約にもつながる。また、強い風を当てることができるという点を利用して、室内干しした洗濯物の乾燥に利用することもある。
■サービスバルコニー
通常のバルコニーよりも小さめのサイズのバルコニーを指す。これに対し、LDKなどに面した大きいバルコニーを「メインバルコニー」などと呼ぶこともある。「サービスバルコニー」とバルコニーを分ける具体的な規定はないが、「人が自由に通行できず、作業ができるだけのスペースがない」というのが「サービスバルコニー」の一般的な考え方である。狭いだけでなく、キッチン横など北向きに設置されていることが多いため日当たりも悪く、目の前に隣接する建物の壁などがあって眺望が悪いケースもある。そのため、用途としては一時的なゴミ置き場や室外機置き場など、ちょっとした物置き場として用いられることが多い。一方で、キッチンの採光や通風が良くなるというメリットもある。
■サービスヤード
勝手口の外側の屋外に設けられた家事スペースで、物干し場所やゴミ等の置き場所として活用されたり、荷物などの一時的な保管場所として使用されたりすることが多い。日曜大工を行なうスペースとして利用する、時期によって植木鉢・プランターの避難場所として使用する場合もある。建物の側面や裏側など、正面からは見えにくい位置に設置されており、屋根や壁、物干し台、ウッドデッキ、コンセントやシンクなどが設けられることも。プランニングの際は、家事動線の延長として考えるのが理想的であるが、あらかじめ勝手口周辺の屋外スペースを広めに確保しておけば、あとから屋根や土間を設置して、「サービスヤード」とすることも可能だ。
■サービスルーム
住宅の居室にはある一定基準以上の採光に必要な窓、その他の開口部の設置が定められている。そのような採光基準などを満たしていない居室以外の部屋で、通常は納戸として建築確認を受けているものをサービスルームと称している場合がある。多目的ルーム、スペアルーム、フリールームなどと表現されることも多くある。
■サーモスタット付き混合水栓
混合水栓にサーモスタットが取り付けられている物のこと。水と温水が別々の蛇口から出るのではなく、ひとつの蛇口から出せる混合水栓で、両方を混ぜ合わせることで好きな温度に調節することが可能。サーモスタット付き混合水栓は、温度を自動で調節できるが、混合水栓自体は手動でも調節できるため、似たような機能にも見える。しかし、サーモスタットであれば、温度に自動調節するが、ついていないと水道水などの温度に影響されるため、温度は安定しない。入浴のたびにだけではなく、季節によっても調節しなおす必要が出てくる。サーモスタットがついている分だけ抵抗がかかりやすく、吐出水圧が確保できないというデメリットがある。
■切(サイ)
尺貫法で使われる体積の単位で、才と書くことも多い。木材や石材の体積を表している単位で、木材の場合の1切は、断面1寸角の1間材から2間材に相当する。1間自体が地方によって違いがあることから、あいまいな単位と言える。石材の場合には、1辺が1尺の物を1切と呼ぶ。10倍に相当する10才を1石とする。
■最下階の床
建物のもっとも下の階にある床のことである。建築基準法大2条5号では、主要構造部とは、壁、柱、はり、床、屋根もしくは階段のことであり、建築物の構造上、重要でない間仕切壁、間柱、附け柱、揚げ床、小ばり、廻り舞台の床、最下階の床、ひさし、屋外階段、局部的な小階段や、その他これらに類する建築物の部分を除くものとなっている。そのため、最下階の床は、法律上、主要構造部には当たらない。また、最下階の居室の床が木造の場合、床の高さは、直下の地面から、その床の上面までを45cmとする、外壁の床下部分に壁の長さ5mごとに面積300cm2以上の換気口を設ける必要がある。
■採光
建物内の環境を整えるために、窓などの開口部から自然光を採り入れ、室内を明るくすること。人が暮らす環境においては、換気と同様にとても重要な要素で、建築基準法では、「住宅の居室においては床面積の7分の1以上の採光に有効な開口部を設けなければならない」としている。「採光」はあくまでも光のことであって、日照は含まない。このため、北向きで日照がなくても、光が入れば「採光」に有効な開口部と認められる。また、この場合の「採光」に有効な開口部とは、窓であることが多い。この基準に定められた開口部を設置できない部屋は、居室とは表示できず、納戸やサービスルームという表記になる。窓からの採光以外にも、鏡やガラスの反射をうまく利用して、室内の奥のほうに多く光を採り込むような技術もある。
■サイドチェア
ひじ掛けの付いていない椅子のこと。17世紀頃から、家の主人以外が使用するための椅子として、腰かけやベンチに代わって使われるようになった。「サイドチェア」の中でも「サロンチェア」と呼ばれるものは、装飾が凝っていて、座ると言うより飾る目的で使われる。「サイドチェア」は通常使用する椅子に比べてサイズが小さいため、リビングやダイニングに置いても邪魔になりにくく、軽く腰をかけたり少量の荷物を置いたりと言った使い方に便利。デザインや素材のバリエーションが豊富で、インテリアとしての要素も強い。「サイドチェア」には、使用しないときにはスタッキングして収納できるタイプの物もあり、幅広い目的で選ぶことができる。
■サイドテーブル
ソファや椅子の横に置く補助用の小さなテーブルのこと。脇机やエンドテーブルとも呼ばれ、高さがあり照明器具や灰皿が置かれることが多い。また、「サイドテーブル」はベッドやメインテーブルの脇に置かれることもある。本や目覚まし時計、飲み物などを置くなど、小物類を収納できる引出しが付いたタイプも存在。同じ形状で大きさが異なるテーブルを入れ子のように組み入れられるテーブルをネストテーブルと言うが、必要に応じてサイズが小さな物を「サイドテーブル」として使うこともある。
■サイドボード
細長い長方形の形をしている、皿やナイフ、フォークなどの食器や雑貨を収納する引出しや棚のついた洋家具のこと。もともとは16世紀のヨーロッパにおいて、祭礼用の聖具類を収納するための背の低い祭器台として作られたものである。18世紀には収納用の戸棚と展示用の棚を組み合わせるようになった。さらに世俗の食器棚として改良され、上下2段になっている物も登場した。このことから、居間や応接間で茶器を入れる飾り棚についても「サイドボード」と呼ばれるようになった。日本での「サイドボード」は、背の低い箱物家具として広く認識されている。
■サイン計画
どういった案内標識を、どこに、どのように設置したらよいのかなどをまとめた計画のこと。「サイン」は、目印、標識、表示などのことであり、人が行動するために必要な情報を伝えるものだ。街を分かりやすく案内し、理解を深め、自在に活動しやすい街にするために、サインは様々な機能や役割を担う。
■竿縁天井
天井形式のひとつで、天井板を竿で押さえて天井を張る、一般的な和室の板張り天井のことである。吊り木や野縁下に竿縁と呼ばれる細い木材を並べて、その上に天井板をのせる。竿縁は、床の間に平行になるように、そして板張り方向と直角になるように付けて、床挿しにならないように取り付けることが多い。竿縁は化粧材としての役目も果たしている。並べる間隔は45cm程度だが、部屋の大きさにより本数や間隔を調整する。30〜60cmの等間隔で平行に取り付ける。竿縁にはスギ、ヒノキが多く用いられるが、天井板はスギが一般的。その他、竹や小丸太などを使用する場合は、一戸建ての和室に採用されることが多い。
■左官工事
モルタルやプラスター、土壁や漆喰、繊維などの材料を水で練って、壁や床を塗り仕上げをする工事の総称。これをローラーで塗っていく、専門性の高い工事である。建物の保護や上面の装飾、意匠が主な目的であり、日本の伝統的な工法だ。クロス貼りは、乾式工法仕上げであるのに対して、左官工事は湿式工法仕上げとなっている。また、こて塗りが主体となっているためコテ塗り仕上げとも呼ばれる。下地を整える、下塗り、仕上げ塗りが含まれているのが一般的で、材料と工事を合わせた材工共で表記されることが一般的。単価は面積が狭い居室のほうが割高になることが多い。また、壁と天井とでは、天井のほうが施工性が悪く手間がかかるため割高になる。
■ささら桁
段板を支える目的で、階段の両端に設けられる板のこと。ひな段形式の階段で、段形に切り込んだ刻み目の上に段板を乗せており、蹴込み板は付かないのが普通。下から支える構造で、段板を受ける桁が段々状になっている。ささら桁に対して、側面にいなずま状の溝を切り込んだ桁材を斜めに2本おいて、その間に蹴込み板と段板をはめ込み、段板の両側を桁が挟み込むような形になっている物を「側桁」と呼ぶ。その他、階段には、踏板の真ん中1本だけで踏板を支える「力桁階段」「直階段」「かね折れ階段」「回り階段」「折返し階段」「らせん階段」「箱階段」など様々な種類がある。
■差し筋
建物を一体化させるために、すでにあるコンクリートに対して鉄筋を打ち込む施工のこと。この鉄筋自体も差し筋と呼ばれる。コンクリートは、新たにうち継いだだけでは一体化することがない。そこで、削孔して鉄筋を差し込む。あらかじめ鉄筋を施工しておくこともあるが、横方向の場合、型枠が邪魔をするため、ほとんど行なわれることがない。そこで、後施工アンカーを使い、鉄筋をつなぐ方法が取られる。一般的な後施工アンカーを使うと、鉄筋にネジを切るなどの加工が必要になることから、鉄筋と一体化した製品が販売されているため、これを打ち込むことが多い。差し筋は有効な手段であることは間違いないが、新旧のコンクリートをつないでいるのは、鉄筋しか存在していない。
■指物
釘や接着剤などを使わず、日本の伝統的な木工技術を使いつくられる家具調度品。指物の種類は、江戸指物と京指物、大阪唐木指物の3つに分けられている。京指物は蒔絵入りの漆塗りが多いのに対し、江戸指物は木材が持っている材質を生かし、木肌の触感や風合いを前面に出した漆塗りが多い。
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