建築用語集
■型板ガラス
片面に凸凹や型模様を付けたガラスのこと。光は通しながら、外からの視線を遮ることができる特性を持つ。プライバシーを守りたいが、暗くはしたくない空間などでの使用に適している。そのため、トイレや浴槽や洗面所、空間の間仕切りなどに良く使われる。強度を上げて強化ガラスに加工することもできるため、利用できる範囲は広い。曲げ加工や色付きにすることもでき、空間演出がしやすいことも特徴。また、「型板ガラス」は片側だけ凸凹があるガラスになっているため、凸凹の面に水が付くと汚れが付きやすくなる。さらに、水が付着すると視線を遮りにくくなるため、設置方向が重要なポイント。
■堅木(カタギ)
堅い木の総称で、ケヤキ、ナラ、カシ、チーク、ブナなどの広葉樹類がこれにあたる。堅木の他に、「ハードウッド」とも呼ばれており、耐久性も高いため、その性質を生かして、ベランダやテラスのウッドデッキなどの、強度が必要な物に使用されることが多い。屋外で使用する場合は、防腐加工を施す必要がある。堅木は硬質で強度が高い分、加工が困難だ。しかし、木肌の美しい模様や杢目を生かして、建築化粧材や建具、家具など様々な物に使用される。
■片流れ
住宅などの建物の屋根形式のひとつで、片側から一方向だけに勾配がある形のもののことという。比較的簡易な建築物にも使用される形である。「片流れ屋根」ともいう。シンプルな形状のため、屋根にかかるコストが安く、従来は比較的小さな建物や物置などで用いられてきた。さらに雨水の流れが良く、採光なども取りやすいというメリットがある。片流れのデメリットとしては、風圧の影響を受けやすく、安っぽい外見になりがちな点がある。しかしデザインによってはシャープで個性的な外観となり、北側斜線をクリアするうえでも有効なため、土地が狭いところや、傾斜地での住宅建築に採用されたり、スタイリッシュな外見として和モダンな住宅に取り入れられている。
■片引き窓
横滑りさせるタイプの窓のこと。片側がフィックスになっているときや、壁のときに使われる。壁の表面に沿って滑らせる物と、壁の中に引きこむ物の2種類が存在。開口部となっている部分は全開にできる方法で、様々な素材で作られたサッシが使われている。
■型枠
コンクリートやモルタルを打設するための流れ止めのこと。硬化が終了したのちに解体して開放する。合板を用いて開かないように固定することが必要だ。通常、型枠を貫通させて使うセパレーターを用いる。拘束する力が重要であり、打設するコンクリートやモルタルの自重に耐えることの他、バイブレーターの使用や打設時の圧力にも耐えることが必要となる。拘束力が重要であり、強度を出すためにもなくてはならない。数回繰り返して使うが、板が傷むことによって、適切な強度を保てなくなる。打ちっぱなしの場合などは、表面加工された化粧板を使う。住宅基礎などでは、連続で使用できるメタルフォームを使用することが多い。
■片割り
レンガやタイルなどを貼り付けや配置する方法のひとつで、片側の端から順番に寸法を採り、最後の部分にあたる端はレンガもしくはタイルを切断しておさめる方式のこと。レンガやタイルなどを貼り付けや配置することを割り付けと言い、通常の割り付けには、この片割りが多く使われている。家庭で行なうような小規模のリフォームにも片割りが使われており、割り付けする場所によっても異なるが、手順としては、まずレンガもしくはタイルを選び、割り付けする部分の寸法を測る。レンガやタイルのサイズを考慮し、割り付ける部分に上から下、もしくは左右どちらかの端から仮留めしていき、もしくは並べてみて、余分なタイルやレンガを切断してから貼り付けていく。
■下端筋(カタンスジ)
鉄筋コンクリートに使われる鉄筋のうち、下部に配置された物のこと。スラブなどで二重に配筋されている場合に、下にある鉄筋を呼ぶ。上にある物は上端筋と呼び区別している。二重に配筋することで強度を高めることが可能だ。鉄筋コンクリート構造を取る場合の水平部材に配筋される物で、下方に配筋されている主筋となる。構造的な耐力を保つために必要な物で、材質は上端筋と同じ物になる。長期荷重がかかっていくとき、変形やひび割れといったことに耐えられる鉄筋径を選択しなければならない。梁の場合には、主筋となる上端筋と下端筋の周囲に直角になるように肋筋を配筋して、せん断破壊を防ぐ。これをスターラップとも呼ぶ。
■鰹木(カチオギ)
神社建築などで、棟の上に並べられている木材のこと。棟木に対して直角に装飾されており、鰹節に似ていることから鰹木と呼ばれている。棟の針目を覆うための物で、雨の浸食を防ぐ、あるいは補強するために使われていたが、だんだんと装飾化していったことで、現在のかたちに。高貴人の宅に使われていたことから、シンボル化されて神社でも使われるようになっていった。古墳時代にも使われていたことが、今城塚古墳から出土していた埴輪から見て取れる。屋根の両端で交差した部材は千木と呼ばれ鰹木とともに使われた。先端を切りそろえずにそのまま使った名残ではないかと推測できる。海外でも千木は見られることから、起源は太古までさかのぼると考えられている。
■勝手口
元々は台所の出入口、または外から台所に通じるやや小さめの出入口のこと。今では玄関以外に設けられている出入口を指す。昔は台所を「お勝手(かって)」と呼んでいたことから由来し、台所の出入口ということで「勝手口」と呼ばれるようになった。「勝手口」は、洗面所や浴室に近い場所に設けるケースがあり、子供が外から汚れて帰ってきても、浴室に行ってシャワーを浴びたり、汚れた服を洗濯したりできる。犬を飼っている場合は、散歩に出かける際の通路だけでなく、散歩から戻った際に足を洗うことが可能。また、室内にあるとにおいが気になる生ゴミや空き缶、空き瓶などを外に出す際にも使用されることが多い。
■カット&ループパイル
カーペットやラグマットに用いられるパイル地の中でも、カットパイルとループパイルの両方を使って作られたもののこと。デザインを強調させやすく、部分的に風合いも変化させることができる。ループパイルは毛の遊びの少なく、カットパイルは優しい手触りを持つ。カット&ループパイルは、この2つの良いところをとっていると言える。カット&ループパイルでは単一ではなく複雑な感触を作り出すことができる。また、カットの仕方などによってコントラストも浮き上がらせるため、微妙なテクスチャーを表現できることからも、複雑で立体的なデザインを作り出すことも可能。カット&ループパイルには、レベルカット&ループとハイカットローループがある。
■カップボード
皿やカップといった食器を収納する食器棚のこと。元々食器棚は、ティーカップを収納する場所として棚があるだけだったため、「カップ」と「ボード」で「カップボード」と呼ばれるようになった。時と共に「カップボード」は皿やカップ類、ナイフ、フォークといった食器類や食料品も収納されるようになっている。システムキッチンメーカーによって、システムキッチンと揃いの「カップボード」が生産されており、天然木で作られたものや、初めから湿気対策が施されたものもある。キッチンのインテリアに合わせて材質や色が選ばれることが多い。分譲マンションの中には、最初からキッチン設備として標準装備されていることもある。
■矩計図(カナバカリズ)
建物の軒先を含む屋根から基礎までを垂直に切断して詳細な寸法等を記入した断面図のことである。主要な外壁部分の高さや材料、各部材の納まりなどが細かく記入されており、建物の建築設計において最も重要な図面のひとつ。断面図の縮図が100分の1から200分の1で描かれるのに対して、「矩計図」は20分の1から50分の1程度で描かれる。「矩計図」では、仕上げ材や断熱材、防水方法、屋根裏換気の考え方も分かるため、建物の品質を明確に知ることが可能だ。また、ローコスト住宅と呼ばれる家では、工務店側にある幾通りかのプランから選ぶ建て方をするため、標準的な「矩計図」がある場合が多く、個別の「矩計図」は省略されることもある。
■金物工法
金物を使って仕口や継手を行ない、組み立てていく工法のことで、ほぞ穴は使わない。従来軸組工法と金物工法で区別されるが、どちらも木造軸組工法である。材木を削らないで接合していくことになるため、欠損が少ない分だけ構造耐力に優れた作りを実現できる。地震で揺れたとしても、欠損を作らないことにとって破損する心配が少ない。特殊な金物を使って接合することによって、剛接合に近い状態を目指すところにメリットがある。様々な工法が作り出されてきたため、補助的に使われるものもあれば、ラーメン構造を作り上げるような方法まで考え出された。オープンシステムの場合には、どこでも利用できるが、独占的に使うことができる金物もあるため注意が必要となる。
■矩(カネ)
まっすぐなことで、直線または直角を意味する用語である。主に建築においては大工に使用され、「矩を出す」または「矩を確かめる」などの言われる。また、模範、手本、規矩を意味することも。「矩差(かねざし)」とは、建築で使われる直角に曲がった金属製の物差しのことで「矩尺」と同じ。「矩勾配(かねこうばい)」とは、45度の勾配のことを表す。
■かね折り金物
接続金物の一種で、中央部分で折り曲げてある物のこと。外壁出隅部に使われる金物で、通柱と梁を接合するために用いられる。柱の断面寸法に対して2倍以上の長さになるようにしなければいけない。そのため、5種類の長さの物が用意されている。隅通し柱に対して2方向の胴差の取合いに使う金物であり、構造耐力として考えた場合や、重要な部分を接合しなければならない場合に、かね折り金物を用いることになる。六角ボルトを使う物やビスだけで施工できる物もあるため、設計によって使い分けていく。エンボス加工がなされているような物を使うと、ビスの頭が出ないため、金物の上から面材を直貼りしても邪魔をしない。
■カブリ
塗装したての塗膜表面が曇り、つやがなくなる現象のことである。低温、多湿状態、不注意な取り扱いにおいて、溶剤の蒸発により表面が冷え、結露が生じることで起こる。また、写真感光材料の光が当たらなかった部分が、黒くなることや着色する現象のことを言う。フィルムに露光せず現像によって得ることのできるわずかな濃度のことも表す。X線フィルムの場合、総合カブリ(グロス濃度)で表示するのが基本である。カブリ濃度とベース濃度の合計がカブリの濃度となる。
■かぶり厚
コンクリートの内部に埋められた鉄筋や配水管の表面から、コンクリートの表面までの距離をさす。鉄筋を覆っているコンクリートの厚さとも言える。鉄筋コンクリートには十分な厚さが必要だ。それは、鉄筋コンクリートがそのアルカリ性によって鉄筋が錆(さ)びるのを防いでいるからである。また、コンクリートがひび割れなどにより水分が入り込んだり、中性化したりすることで錆びるため、十分な厚さを確保しないと設計通りの強度を得ることができない。
■カブリオールレッグ
動物の足をモチーフとしてデザインされた椅子やテーブルの脚のこと。やわらかな線を描くように湾曲したものが多い。カブリオールとは、フランスのダンス用語であり、弾む、飛び上がるという意味を持っている。カブリオールレッグでも、飛び上がりそうなデザインをとっているところが特徴となる。一般的に猫の脚をもとにデザインされたものが多く、カブリオールレッグといえば猫脚と訳されることも。女性らしいデザインになるが、龍が卵をつかんでいるような強いデザインも作られている。こうしたデザインは、知恵や財産といった意味を込められており、アンティーク家具の中でも人気が高い。意匠的な部分は強いものの、強度も考え作られている。
■壁倍率
建築基準法で定められている耐力壁の強さのこと。木造建築物の構造に関する規定のひとつ。基準となっているのは、厚みが15センチで幅9.0センチの筋違を入れた壁となる。これを壁倍率1.0として基準とすることで、何倍の強さがあるのかを数値として測り判断する。仕様によって数値が異なってくるが、壁倍率の上限は5.0。壁倍率の値は、大きくなるほど性能が高い壁ということになり、耐震性能が高くなることになるが、それだけ耐力を持った構造金物を入れなければならない。例えば、90ミリ×90ミリ以上の筋違を入れた場合、壁倍率は3.0となるが、5.0にするためには、たすき掛けにしなければならないため、事実上倍の構造金物を入れることになる。
■框(カマチ)
床の間や玄関の上がり部分など、床の高さが変わるところに横にわたす化粧材、または引き戸・障子・窓に使われている周囲の枠のこと。建具や家具の枠組みを構成する周囲の枠材である。また、床に段差があるとき、段の部分の縁に使われる暑い横材も框だ。床の間の床高さを座敷より上げるときに全面に付ける水平化粧部材である「床框」、玄関の上がり口に横に通した化粧材である「上がり框」もしくは「玄関框」、縁側の「縁框」などが存在する。建具の四辺を固める部材のこと。畳は畳縁を付けていない短い辺のことを框とも呼ぶ。畳の短い当たりの折り目のことである。ハンドカットやポスト&ビームの場合、曲がり木やログの残材を使ってデザイン性の高い玄関の上がり框としていることが多い。
■框戸(カマチド)
戸の四辺に廻した框を仕口により組み立てた建具のことである。重厚感のある作りになることが多く、見込みは39〜45ミリほど取られる場合が多い。鏡板の部分には中框や帯桟(おびざん)を入れることもある他、ガラスをはめる場合もある。
■鴨居
ふすまや障子の上部に触れる横木のことで、和室のふすまや障子を立てた状態に保ち、スライドさせるために必要な部分。一般的に、「鴨居」にはふすまなどをスライドさせるための溝が彫られている。これに対し、ふすまなどを挟み込んで下から支える部分は「敷居」と呼ばれる。「鴨居」の種類のひとつである「差鴨居」は、高さのある木材同士をホゾ差しで組み合わせて作られている。古民家でよく見られるつくりで、部屋の一辺に6枚以上の障子やふすまが必要な程の広い開口部になることも。また、「鴨居」や鴨居上部の長押を利用すれば、室内干しスペースとして活用することもできる。ふすまを開け放ち、自由になる「鴨居」・長押に「鴨居フック」や「長押フック」を取り付けることで洗濯物を干すことが可能。
■鴨居
ふすまや障子の上部に触れる横木のことで、和室のふすまや障子を立てた状態に保ち、スライドさせるために必要な部分。一般的に、「鴨居」にはふすまなどをスライドさせるための溝が彫られている。これに対し、ふすまなどを挟み込んで下から支える部分は「敷居」と呼ばれる。「鴨居」の種類のひとつである「差鴨居」は、高さのある木材同士をホゾ差しで組み合わせて作られている。古民家でよく見られるつくりで、部屋の一辺に6枚以上の障子やふすまが必要な程の広い開口部になることも。また、「鴨居」や鴨居上部の長押を利用すれば、室内干しスペースとして活用することもできる。ふすまを開け放ち、自由になる「鴨居」・長押に「鴨居フック」や「長押フック」を取り付けることで洗濯物を干すことが可能。
■カラースキム
空間デザインにおける色彩設計のこと。基本計画など初期段階での色のイメージや、最終段階における材料や室内要素の具体的な色決めなどの設計をさす。色の持つ心理的、生理的、物理的な性質を利用して、まとまりのある雰囲気を作るなど、目的に合った配色を行なうために行なわれる。床、壁、天井など面積の広い部分の色を基準に家具やインテリアの色を決めるのが一般的。また、部屋の機能を決めて色彩計画を作ることも重要である。これらのことから、家を選ぶときや、リフォームを検討した際に家具やインテリアのコーディネートもある程度決まってしまうため注意が必要だ。色数は3色程度までに抑えるとまとまりのある空間になる。
■カラーベスト葺き
本来は建材メーカーの商品名であったものが普及して一般化された、住宅用屋根葺き材の一種。屋根の化粧石綿スレート葺きの一種で、耐久性に優れている。特殊鉱物質とセメントが主原料となっており、石綿、珪砂などが混和した石綿系の人造ストレートで、平形に成型、採色された屋根葺材だ。均一で高密度な結晶構造をしており、軽量で伸縮率、吸水率、含水率の少ない不燃材料となっている。従来の陶器瓦と比べると軽量で価格も安い。また、独特の素材感と色調となっており、耐震性、耐候性にも優れている。「ストレート屋根」や「コロニアル」とも呼ばれることも。4.5ミリのセメント板に工場ライン塗装でアクリル塗装をし、長さ910ミリ/1枚で出荷される。
■唐草模様
つる草が絡み合う様子を図案化した模様。唐草文とも呼び、主題となっている植物の種類によって、忍冬唐草、葡萄唐草などと呼ぶ。唐草模様は、渦巻き模様や複数の曲線を組み合わせ、つるが絡み合う様子を表している。つるを写実的に描いたものや、左右対称の渦巻き模様などに簡略化されたものなど、唐草模様の種類も様々。古代ギリシアの神殿などでみられる草の模様が唐草模様の原型と言われる。メソポタミアやエジプトから各地に伝播したと考えられており、日本には、シルクロードを経由して中国から伝わった確率が高い。現代日本では、緑字に白で唐草模様が描かれているものを、唐草模様とするのが一般的だ。
■唐戸
木製の開き戸の一種。古くは神社や寺院などの出入り口に使われたが、現在では一般の住宅にも使われている。唐戸は板唐戸と桟唐戸の二種類に分けることができる。古くは板唐戸が主流であったが、のちには桟唐戸が多く用いられるようになった。板唐戸は、社寺建築などで開き戸として使われる扉の一種で、框を使わずに一枚もしくは数枚の板をはいで作る物である。一方桟唐戸は、框の枠の中に縦桟(たてざん)と横桟(よこざん)を組み、その間に薄板の鏡板をはめた物だ。現代では、洋風な木製ドアとして一般の住宅にも用いられている。鏡板の部分にガラスをはめ込んだりすることもあり、装飾性の高いデザインだ。
■唐破風
中央部を凸型に、両端部を凹型の曲線状にした破風のこと。破風とは、東アジアに広く分布する屋根の妻側の造形のことであり、切妻造や入母屋造の屋根の妻側にも取り付けられている。破風は、妻側の垂木や母屋、桁の部材の先端部分を隠すために取り付けられる板、またはその部位のことをさす。形状によって名称が変化する。唐破風は日本特有の破風形式で、平安時代にはすでに同様のものがあったと考えられており、現存する最古のものと考えられているのは、鎌倉時代に建てられた出雲建雄神社の拝殿だ。古いものは勾配が緩やかで、新しいものほど急である。神社建築や城郭建築、近世の寺院などに多く見られる様式であり、装飾性が高い。
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