最近では新築ではなく中古住宅を購入してリノベーションするという人が増えてきています。
海外では今ある建物を残し景観を変えない取組や、古い物が美しいっといった傾向があるのに対し、日本はまだ新築の方が価値が高くどんどん新しい建物を建てていく傾向にあります。
地震も多いので、耐震に不安があるなど躊躇いながらも中古住宅の購入を検討している人やその売主のために、安心して売買出来るように「ホームインスペクション」が注目されつつあります。
ホームインスペクションとは?
ホームインスペクションとは住宅を購入する際に建物のどこかに不具合が無いかを調べるサービスです。また自分が住んでいる家に何か瑕疵や不具合が無いかを調べることもあります。 通常は一級建築士や二級建築士が担当して調査するというのが一般的です。かなり専門的そして総合的な調査と判断が求められますから、ただ建築士の資格があるから誰でもできるというものではありません。住宅診断士(ホームインスペクター)と呼ばれる専門家が調査することが多いですが正確で正しい診断をするには机上の知識だけではなく現場での施工や監理の体験も必要不可欠です。
また中古住宅である場合、「既存住宅状況調査技術者」の資格が必要です。当社では一級建築士、既存住宅状況調査技術者ともにおりますので、質の高い住宅診断をすることが出来ます。
参照:社長と社員一名が既存住宅状況調査技術者の資格を取得
実際にどのような場所を見ていくのか
欧米ではだいぶ前からホームインスペクションを重視してきましたが、日本ではつい最近(2018年以降)ホームインスペクションの存在や意義が認められるようになりました。ホームインスペクションは、通常下記のような時に重宝されています。
1)中古住宅の売買の時
2)新築住宅の購入時
3)総合的なリフォームをするか建て替えるかの判断をするとき
4)住宅の保証が切れる前
住宅の診断は多岐にわたります。建築の全体や部分の劣化具合の状況を調べたり、断熱や耐震性について調べる場合もあります。それらの調査は依頼者が何を目的としているかによって異なってきます。通常「ホームインスペクション」と呼んでいるのは、消費者が中古住宅を購入する前に住宅診断士等に依頼して、主として目視によってその住宅の劣化状況を把握して消費者に報告するという業務です。通常は一時診断と呼ばれる比較的短時間で基本的には目視で行うものがありますが、二次診断として精密検査を実施する場合もありますが、それには専門的検査器具を用いたり、建築の一部分を破壊して行う場合もあります。
ホームインスペクションは具体的にどこの部分を調査するのでしょうか。例えば外壁の診断です。住宅の外壁は、大きく分けてモルタル塗りの上に塗装を施した湿式工法と、サイディングや、板材を貼った乾式工法に分けられますがそれによって点検するポイントが違ってきます。湿式工法の場合はモルタルのクラックや場合によってはモルタルの塗り厚等を調べます。それから塗装後の表面材のチェックをします。塗装が剥離していないとか色や表情を見て劣化具合や残りの耐用年数等を確認します。サイディング等の乾式工法の外壁の調査は下地材からの浮きや反りそして表面仕上げ材の劣化やパネル間の継ぎ目や窓廻りのコーキングの劣化具合を見ます。
又外壁部分について意外と見落とされるのが、換気扇やフードやエアコンの配管の外壁貫通部分の状況です。取付けビスが外れていたり、最初から無かったりするケースもよくあります。又貫通部分の外壁部分に必要以上な穴や不要な穴が開いていたり、外壁との接触部分にコーキングがなされていなかったり劣化していたりする場合もたくさんあります。そういう見落とされている部分から台風時や横殴りの雨が建物の内部に浸み込んできます。それらは一時的なものが多いので、室内に落下してくるのは相当後になってからになり住人には気づきにくく、リフォーム時に解体した時に発見される場合が多いのです。その時には、下地材が完全に腐食していて、そこにシロアリ等の害虫が発生するということもあります。
実際の様子
外壁と屋根については、少し古い建物を見つけては訪問販売の業者が次から次へと訪れ、あることないことを指摘してきます。塗装と言っても様々なメーカーがあり、多種多様な製品がありますので仕事が確保できるまで値下げをして来るような業者は要注意です。
外壁塗装の営業マンがしつこく出向いて、あれこれを指摘したりする場合が結構多く、1件受注するとその近隣にしつこい位営業を掛けるのは常ですが、彼らのほとんどは塗料や各種工事についての知識はほとんど無いと言っても良いでしょう。調査と言って屋根に上り、わざと壊して修理をさせるなど、彼らはただ仕事をとって金儲けしたいという人が多いのが事実です。外壁塗装のついでに屋根もやりましょうと言ってきますが、実はこの屋根塗装こそが、ほとんどの場合やらない方が良いケースがあるのです。
まずはメーカーに確認したところカラーベストの劣化による漏水はほとんど無いと言っています。地域や様々な状況によりますが、恐らく40年位は大丈夫でしょう。塗装をする為に職人が屋根の上に乗る事によって割れてしまうという事。そして上に塗る塗料がメーカーの指定したものでないことが多い事です。また、カラーベストの上に塗積みを作る事によって、カラーベストとカラーベストの間から侵入した雨水が戻ってこられなくなり、雨漏れの無かった家に漏水が起こったという例がいくつも指摘されています。特にトップライトのある家とか、家の形が複雑な家はそれらの板金処理の部分から雨水が侵入してくるようになります。それを防ぐには安易に屋根塗装はしない事、もし塗装したとしたら、カラーベスト1枚1枚毎の塗料をヘラで剥がす事が重要です。しかしながらそこまで丁寧にやってくれる業者はほとんど居ないのが実状です。それは、利益確保の為、そして塗装屋にそれらの知識がない事があげられます。
民法改正で重くなった、売主の「責任」
売買から3ヶ月以内に何らかの不具合がなければそれ以降は免責…ではない!
これまでの民法の規定では、買主が購入した中古住宅について何らかの不具合を発見した場合、その不具合があることを知ってから1年以内に売主に対応を求めることができるとされていたのですが、これは任意規定で、実際には売主の責任が大きすぎるという取引上の理由で、売買から3ヶ月以内に何らかの不具合がなければそれ以降は免責、という契約が多くを占めていました。
しかし2020年の民法改正により売主の瑕疵(かし)担保責任に対する考え方が大きく変わりました。
この「売主の瑕疵担保責任」という考え方自体がなくなり、契約の内容に適合しないものは原則としてすべて売主の責任になります。これを「契約不適合責任」といいます。これまで不具合=瑕疵は売買契約した時までに発生していたものに限られていました。しかし、改正後は契約に適合しているか否かを判断するため、契約した前後に関わりなく引き渡しまでに発生したものも含むことになります。のため、売主は売却後のトラブルについて、これまでのように売った時点で免責、3ヶ月たったら免責、というわけにはいかなくなるのです。
「インスペクション」+「瑕疵保険」の組み合わせがポイント
そこで、以下のような対策が重要になってくるのです。
①事前に建物をインスペクションしておき、瑕疵保険に加入可能な状態にしておくこと
②買主(希望者)がインスペクションしたいと要望した際に拒否せず、インスペクションしてもらって瑕疵を補修すれば瑕疵保険に加入できることを認識しておくこと
契約不適合責任が問われ、引き渡しまでに発生していた不具合について、契約後も免責にならないのであれば、その責任をコストとして負担してくれる瑕疵保険の存在は、売主にとって大変心強い味方になると言えるでしょう。まさに売主にとってトラブルに備えた「保険」となるのです。
もちろん、買主にとってもメリットはあります。売主との契約に関してトラブルになることはできる限り避けたいでしょうから、瑕疵保険加入によって瑕疵が発見されたあとに保険金が支払われれば、瑕疵部分を補修することが可能になります。また、インスペクションすると今後住み続けるうえでどこを修繕&リフォームしておけば建物が長持ちするか、という視点での専門家からのアドバイスを受けることも可能です。売主、買主双方にとって、インスペクションしておくこと、インスペクションすることによって瑕疵保険に加入可能な状態にしておくことは、このように実利的な面でのメリットが大きいのです。
安心して売却・購入・リノベーションをしましょう
当社では、「建築」「不動産」「リフォーム」の三本柱でお客様をサポートいたします。
今住んでいる家を売りたい方、中古住宅を購入したい方、購入した住宅をリフォームしたい方の住まいの状況を、現場経験の豊富な一級建築士、既存住宅状況調査技術者の目を持って確認していきます。売買から調査、リフォーム、アフターメンテナンスまで全てワンストップで行えるのが当社の自慢です。是非ご相談ください。