建築用語集
■ソーラーシステム
太陽光のエネルギーを利用したシステムのこと。給湯を行なうだけではなく、冷暖房を行なうシステムもある。集熱器と蓄熱槽を分離させているタイプもあり、従来使われてきた太陽熱温水器とは、別のシステムを持っている。アクティブソーラーシステムと呼ばれることもあるが、屋根など日当たりの良い場所に集熱器を置き、この熱を集める水から湯に代え蓄熱槽にため込む。この熱をポンプを使い取り出すことで、熱供給を行なうことができる。キッチンなどで利用する場合もあるが、バスに給湯するシステムが良く知られている。特別な装置を使うのではなく、間取りや換気などによって太陽光の熱をうまく利用できるようにしているのが、パッシブソーラーシステムと呼ばれる。
■草庵茶室
素朴な材料を使って作られた茶室のこと。丸太や竹、土壁などを使って建てられており、光を自在に演出することができるように、必要な窓を設けてコントロールしている。草葺で簡易なため粗末に見えるが、非常に風情がある作りになっており、4畳半以下の大きさの建物を指す。土壁だけではなく、下地窓、にじり口といった特徴も持っている。小規模な建物ではあるが、単一の屋根では覆われることが少ない。屋根に庇を君合わせることで、変化を大きく付けることが多い。完成させたのは千利休と言われていることからも、茶室と言えば草庵茶室のことを指すことが多くなった。茶室ということでは、もうひとつ書院茶室があるが、草庵茶室のように独立した建物になってはいない。
■騒音
騒音には、騒音源によって様々な解釈があり、評価尺度の変換が難しい。音という概念自体が主観的表現性の強いものであり、客観的に判断することは極めて困難な性格を持つ。定義としては、聞く側が望ましくない音であり、音声や音楽の伝達を妨げるようなものであれば騒音だと言える。JISは、耳に苦痛を覚えたり、健康に対して損害を与えたりするものは騒音であるとで定義。騒音規制法が1968年(昭和43年)に制定され、2005年(平成17年)に改正されているが、事業者による騒音に限定された法律である。生活環境を保全し健康を保護することが目的になっているが、一般生活で発生するものに関しては規制がなされていない。
■騒音等級
室内で聞こえる騒音を等級として分けたもののこと。レベルで分けられているため、騒音という主観に頼らなければならないことを客観的に判断することができる。N値という形で表しているが、数値は低いほど静か。室内にいるときの車や電車、工場からの騒音などの評価であり、ほとんど聞こえないレベルの場合をN-30としている。小さく何か騒音が聞こえるというレベルでN-40、N-55でN-70までいくとかなりうるさい。用途別に日本建築学会が推奨している騒音等級の数値があり、マンションや学校といった建物でN-35、事務所などはN-40が望ましいとしている。騒音には、エレベーターや排水管の音も含まれる。
■層間変位
地震や強風などによって強い力を受けたときに、建物は何らかの変形をしてしまうが、このときの上下階に生ずる水平方向に対する変位のこと。相対的な考え方になる。層間変位とは、階のことを指す。層間ということになると、上下階の間ということになる。実際に水平の力を受けると、上下階は重量の違いによって、異なる動きを見せる。このときに、ひとつ上の階が起こす変位のことを指す。層間変位が大きくなっていくと、それだけ建物が大きく変形することになり、倒壊する危険性も高まる。層間変位を階の高さで割ったものを層間変位角と呼び、建築基準法では、原則として1/200以内となることを定めているが、条件によっては1/120以下に緩和できる。
■相当隙間面積
建物が持っている隙間をすべて面積として集めたもののこと。実際に面積を測って測定することができないため、建物内に圧力差を作ることで測定。送風機を使い、建物内外に圧力差を作るが、これを実際の面積として考えるため、相当面積と呼ばれるゆえんとなっている。この相当隙間面積を延べ床面積で割ったものはC値と言う。このC値が小さくなれば、全体に占める隙間が少ないということで、気密性が高い住宅になっていると考えられる。実際には、気温に大きな影響を受けるのが隙間であり、季節によっても違う。物質は温めれば膨張し、冷えれば収縮するため、夏場は小さく冬が大きくなる。この度合いを考えて、換気の計画を立てなければならない。
■総二階
1階と2階の床面積が同じ建物のこと。一般的に住宅では2階の面積が狭くなるが、これは下の階が大きくなることによって、安定感を高めることができるからだ。総二階にすることによって、狭小地などでも通常よりも床面積を大きくとれる。縦長の建物にはなるものの、最大化できる方法とも言え、コストも抑えることができるようになるため、経済性の高い住宅だ。輸入住宅のジョージアン様式の場合では、左右対称の作りであり、総二階にすることが基本となっている。日本でも都市部で人口集中が見られるようになってから、居住面積の不足に対応するように総二階が増えた。縦長になってしまうことから、意匠的な部分に与える影響は大きい。
■施工床面積
施工するすべての床面積のこと。床面積と呼んだ場合、いろいろな意味を持つ。そのひとつとして、延べ床面積が建築基準法に決められているが、これはもっとも狭い面積であり、ここに含まれない物もすべて含んでいるのが、施工床面積だ。バルコニーや小屋根裏といった、生活空間ではないスペースも含まれてくるため、延べ床面積より必ず増える。表題登記でも使われることがあるが、この床面積には不動産登記法がかかわってくる。そのため、施工床面積とは、また異なる数字になる場合も。これは、施工床面積自体が、施工する企業が決めることになるためで、どこまで含めるかは決められていないことが理由だ。足場を設置する場合には、このスペースも含まれることがある。
■総掘り
建築に必要となるすべての面積を同じ高さまで掘り下げること。実際に行なわれることが少ない方法ではあるが、建物の平面形状に合わせて決めた基礎の範囲の、すべてを掘り下げていくことになる。総掘りまで行なう必要は少なく、基礎の形状に合わせて、土台の下だけを掘り下げていく布掘りが多く、柱下だけを掘り下げる壺掘りもよく行なわれている。総掘りの場合には、床付け面まで掘り下げることになるため、大きな工事になってしまう。それだけ工期に時間がかかる上、掘り下げた分の残土の処理も考えなければならない。基礎工事として考えた場合、一長一短もあることから必要に合わせて方法を組み合わせで考えることが多い。
■相隣関係
隣り合った敷地との関係のこと。法律的な関係を指している言葉であり、民法における隣地との関係を示す。非常に多くの条文が存在し、209条から238条まで規定が存在している。敷地境界線を基準として、お互いの建物には空き寸法が決められているが、民法では50cm開けることが定められているように、多くの規定が存在。ただし、この距離の規定は強制規定ではなく、所有権に関しては自己の所有地のみ影響する。そのため、敷地の近い隣家であっても、立ち入りに関しては自己の所有権が及ばないため、許可を受けなければ入ることは許されない。樹木の問題も取り上げられるが、境界線を越えた枝は切ることを請求できても、勝手に切ることはできない。ただし、根は切断できるなど、細かなことが相隣関係となる。
■添え柱
本来の柱に対して、補強する意味を持って建てて添わせる小柱のこと。意匠的に用いられることもある。通し柱に架かる胴差しなどに補強として使われることが多い。2階を増築する場合に、隅部に添え柱が使われることがある。柱の一部が腐食してしまった場合、そのままでは柱の役割を果たせなくなってしまう。そこで、腐食部分を掻きだして、徹底的に除去した上に、防食材を塗布して進行を食い止める方法を取る。この部分に新たな部材をつぎ足すことも添え柱と呼ぶ。この方法を取ることによって、柱としてかかってくる荷重に対して耐えられるように作り直すことができる。補強するということだけではなく、補修方法としても、重要性が高い。
■測量図
地形の形状、面積、高低などを計算し、一定の縮尺で図に示した物のこと。縦断面図、横断面図、平面図、地積図などがある。測量図には、隣地所有地者の境界承諾印がある境界承諾書付きの「確定測量図」、法務局に登録されている「地積測量図」、売り主が自分の敷地と考えている部分を測量した「現況測量図」があり、地積測量図は、分筆や地積更生など土地の表示の登記を申請する際に添付される図面だ。
■底目地
目地の種類として、凹型になっている状態のこと。通常、目地は母材と面一にそろえて仕上げるが、少しくぼみがあるような場合には、押し目地底ができるように、箱型になっている場合を底目地と呼ぶ。ボード類を使ったときの目地として使われることが多い。天井と壁の取合部分でよく見られる方法で、廻縁を設ける代わりに、底目地にすることによって、シンプルな境界線とすることができる。天井面ということで、底目地の中にごみなどがたまりにくいために用いられることも多い。目透かしと呼ばれる方法も、場合によって底目地と呼ばれることがある。天井面の場合、壁側をへこまして目地にする場合があるが、この場合には壁底目と呼ぶ。
■組積造(ソセキゾウ)
ブロックなどを積み上げて組み上げていく工法のこと。レンガ積みなどもあり、小さな固まりを積み上げることによって作り上げていくことを指している。日本では、壁構造ではなく、柱や梁によって建物を作り上げていくことが一般的であるが、国によっては組積造によって、壁構造を作り上げて屋根を支えるような構造を作ることがある。壁式構造とも呼ばれるが、床と壁を接合することになることから、柱が目立つ、あるいは、梁だけが目立つといったことは起きない。代わりに大きな開口部を作り出してしまうと、壁の強度を落としてしまうことになるため、組積造の場合には小さな開口しか作れない。空間構成ということを考えると、自由に行なえる方法ではなく、階層を重ねられれば重ねるほど強度の問題が出てくる。
■袖壁
建築物の柱の外側に突き出た小壁のこと。目隠しなどプライバシーの確保や延焼防止などが目的で、共同住宅のバルコニー、民家の軒下部分に張り出した物などが当てはまる。外側の場合は門扉の横に作られたり、階段の脇に作られたりすることもある。目隠しやアイポイントとなり、ポストやインターホン、表札を付けて機能性を持たせることも可能。寝室など部屋の一部を目隠しするために、壁を延長させた物も袖壁と呼ばれる。また柱や壁から垂直に張り出した幅の狭い壁のことも袖壁と言う。目隠しとして冷蔵庫の横などに設置されることも。袖壁が柱材と一体的に作られる場合、柱自体の剪断応力に対する応力を高めることになる。構造耐力を負担する壁にもできる。
■袖瓦
切り妻屋根の妻側に用いられる瓦のこと。軒瓦と同様に、袖垂れと呼ばれる垂れがついているところに特徴がある。左側に袖がある場合には、左袖や左勝手、右の場合には右袖や右勝手と呼ぶ。袖によって大袖や小袖と呼ばれる物もあるが、この袖が風の影響を受けやすくなるため、釘で固定されるところが他の瓦と異なる。妻側のことを螻羽と呼ぶことから、袖瓦をけらば瓦と呼ばれることも。形が異なる物としては、中村袖瓦や丸覆袖瓦、車袖瓦といった種類が存在している。袖瓦では、見える部分になってくることから、下端が必ず一直線にならなければ美しいおさまりにならないため、きれいな仕事にすることが必要だ。
■外断熱
断熱工法のひとつで、主にコンクリート製の建物において、構造体の外側から、パネルタイプなどの断熱材全体を覆う断熱工法のことである。「外断熱」の建物は、壁内部の結露が発生しにくく、カビやダニを抑える。コンクリートの躯体全体を覆うことから、建物が外気温の影響を受けにくいため、1年中安定した室温を保ち、また建物自体も傷みにくく寿命が長くなる。部屋ごとの温度差も小さく、蓄熱性が高いので冷暖房効率が高くて経済的である。しかし、日本では「外断熱」は開発が遅れ、まだ汎用工法が確立されていない。このためコストが割高で、施工業者による仕上がりのバラつきがあるなどがデメリットとなる。ちなみに以前から行なわれてきた、構造体の間に断熱材を詰める断熱工法は内断熱と言う。また木造住宅の「外断熱」のことは、外張り断熱と呼ぶ。
■外付けサッシ
外側から付けるアルミサッシやアルミサッシシステムのこと。柱の外に付けることもある。住宅に取り付けられるアルミサッシの種類のひとつだ。外付けサッシの他に、内付けサッシ、外半付けサッシがある。外付けサッシの場合、ツーバイフォーに使われることが多いが、真壁の和室でも使われる。内に障子を付けられるのもメリットだ。内付けは、雨じまいの悪さということもあり、新寸法体系になり規格自体がなくなった。実際に使われているサッシの大半は半外付けサッシであり、外付けサッシも数が少ない。部屋の内部に化粧枠が必要になってくるが、外付けサッシと内付けサッシの利点を生かすことができる。
■外法
長さや距離を測る方法のことで、2本の柱の間や、箱、管、鴨居と敷居の間など、2つの部材の外側から外側までの寸法のこと。「外々(そとそと)」とも呼ばれる。似た言葉として「内法(うちのり)」という物もあり、これは、内側を測ることである。また、柱の内々にある鴨居などの造作材を内法と言う。「芯々(しんしん)」も2点の測り方で、ひとつの部材の中心線から他方の部材の中心までの長さを指す。この他、外法と書いて「げほう」と読み、意味の異なる言葉もある。これは、仏教からして他の教法を指す言葉だ。私利私欲を満たすため。他人をも犠牲にする法術で、「邪術」「幻術」とほぼ同じ意味として使われる。「外術(げじゅつ)」「外道(げどう)」とも呼ぶ。
■外張り断熱工法
断熱材を使って外側から施工する方法のこと。断熱工法として、建物内部が直射日光などで温められることから守るだけではなく、紫外線などの刺激から守ることによって、構造物本体の劣化を遅らせることが可能だ。長く建物を使うことができるため、コストパフォーマンスはその分だけ装荷することに。柱の外側で断熱することになるため、内部への熱影響を遮断する。コンクリートは、熱の伝導が高いため、どうしても外側の熱に影響されるが、遮断することによって快適な環境とすることができるようになり、省エネにもなる。外側で断熱するため、結露にも強くなる服地効果を持つ。木造でも外張り断熱工法が行なわれることがあるが、釘が効かない素材となるため、仕上げの重い物を使ない。
■ソファー
長椅子のこと。多くの種類が存在し、ひとり掛けから複数用の物まで様々な大きさがある。内部にスプリングを入れる物もあるが、クッション性の強い素材で支える物など、内部にも違いがあり、骨組みなどの構造によっても違う。高さもいろいろな物があり、床に座面がくっつくようなローソファも。肘掛けも片側につく物もあれば、両側もしくはつかない物もあり、用途によって選ぶことができる。背もたれの大きさも一定ではなく、高い物低い物などそれぞれだ。既製品はメーカーごとに決められた一定の大きさに作られてしまうが、必要なスペースに合わせるのであれば、オーダーすることが求められる。
■ソフト巾木
巾木の中でも、塩化ビニールなどで作られた物のこと。接着剤で張ることができるため、施工が容易であるだけではなく、短期間で完成させることができる。単価もその分下げることができるため、店舗の内装などでソフト巾木を見かけることが多い。モルタルやボードに接着することができる手軽さがあるが、住宅ではあまり使われることはない。木目調などの物が販売されるようになっており、見た目ではすぐに分からないこともある。上から貼るだけで済んでしまうだけではなく、角をしまうこともなく、曲げるだけで施工することができるため、DIYとしてリフォームで使われることも出てきていて、実際の費用も安くなる。
■空錠
開き戸が風などで開かないように、ドア枠に固定するための空締まり機能を持った錠のことである。ドアノブやレバーハンドルなどを回転することでラッチボルトが出入りして開閉できる構造。施錠機能はないため、戸締まりの必要がない室内のドアなどに使われる。「空錠」に簡単な施錠機能を付けた「サムターン付空錠」というタイプもある。サムターンとは室内側からつまみを指で回すことにより、施錠、解錠ができる装置のこと。サムターン付空錠も、鍵の必要がない室内のドアなどに用いられることが多い。非常事態に備えて、サムターン付空錠の室外側には非常解錠装置が付いていて、コインなどで開けられるようになっている物が多くある。
■ゾーニング
空間を分けること。テーマや用途によって、分けることを指す。空間ということを考えたときに、ゾーニングが大事なデザイン要素になってくる。機能的に利用することを考えた場合、このゾーニングが重要な意味を持つ。建物の内部の空間と考えた場合、相互の関連も考えていかなければいけない。機能を集約してゾーニングを進めたとしても、これだけで活用することが難しく、不完全なものとなってしまう。例えば居間とキッチンがあまりに離れていれば、できあがった物を持っていくだけでも負担になる。他にも居間と浴室が隣同士になると、プライバシーの問題が発生してしまう。そうならないためにも、設計の段階で位置関係を考え決定していかなければならない。
■造作家具
建物と一体化するように作られたオーダー家具のこと。作り付けとも呼ばれる。設置場所に合わせて作ることになるため、既製品ではできないミリ単位での調整が可能。生活スタイルということも考えて作ることができるようになるため、他にはない家具にすることができるのも大きなメリットだ。カラーや素材を統一するということも可能であり、すべてにこだわりを生かしながら一体化させて仕上げられる。造作家具の場合、一体化させてしまうことになるため、移動させたいときには動かすことができない。仮に動かしたとしても、寸法が合わないなどの不具合が生じる。そのため、模様替えしたいと思ってもうまくいかないことが多いから注意が必要となる。
■造成地
建築するために、環境や機能を持たすことができるように土地を整えること。整地するだけではなく、擁壁を作って土地自体を移動させたり作り上げたりした物も造成地だ。開発行為となることが多いことから、住宅造成法の規制対象になることがある。土地をいじることになってくるため、規模が大きくなりやすく工事期間は長期化しやすい。掘り下げたり盛り上げたりすることになることから、インフラ整備も同時に行なわれることが多い。掘り下げたときにはあまり問題にならないが、盛り土をすると落ち着くまでに時間がかかる。地盤が下がってしまうことも出てくるため、状況に合わせて地盤改良やくい打ちといった工事も必要となる。
■増築
既存の建物に対して建て増しすること。床面積が増加するということを意味している。棟がつながっている場合とつながっていない場合があり、別棟として建てられることも増築となる。これは、用途状不可分な建物の増加であるという条件が付く。敷地内に新たな造作物を作ることも、用途状不可分と考えられることから、増築という扱いになる。建築基準法ということから見ると、増築も建築の一種であり、かなり小規模な物を除けば、建築確認申請をしなければならない。増築することができない土地も出てくる。逆に建物を壊して床面積を減らすことを、原地区と呼ぶ。既存不適格になっている場合や、建築基準法に合わせることが必要な場合に行なわれることが多い。
■揃(ゾロ)
2つの材の断面をそろえること。仕上げをしてそろえることも揃と呼ぶ。現場では、面一といったほうが理解されやすく早い。通りをそろえるということも同じ意味を持つ。2つの材を同じ面にそろえるということは、非常に高い技術を要する。2つだけで済むことは珍しく、これが他の材に対しても影響するため、ひいては全体的な納まりを考えていかなければならないためだ。木材のように、経時変化によって痩せてしまうといった性質を持っている場合には、完全に納めるのは不可能と言えるレベルとなる。収まりがうまくつかないときには、角に面を取る、あるいは、目地にしてしまうといった方法が取られることも多い。これを逃げと呼ぶことがある。
■存置期間
コンクリートを打設する際の型枠を脱型せずに残しておく期間のこと。一般的には養生期間と呼ぶことが多い。コンクリートの強度の発現によって期間が決められる。冬は気温が下がることから長く取られることになり、夏は早くなるため短い。供試体を取り、圧縮試験をして一定以上の強度の確認ができてから脱型を行なうことが基本であり、気温だけを当てにして行なうことは不適当と言える。強度の発現が遅れてしまう原因はいろいろだ。例えば早めに脱型してしまうと、型枠という圧力を失い密度が下がることになるため、躯体(くたい)強度が下がる、あるいは、内部の鉄筋が動いてしまうということが起きる。型枠にコンクリートが張りつき、肌別れを起こすこともあるため、存置期間はしっかりと取らなければならない。
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