建築用語集
■ルースシェード
ロマンスシェードの一種。シェードのすそ部分に丸みを持たせてあるのが特徴である。バルーンシェードのボリューム感と、プレーンシェードのシンプルさを併せ持ったデザインだ。縦方向にも生地を何カ所かつまんであるため、やわらかさとボリューム感がある。フラットな部分とプリーツの部分があることから、無地の生地でも柄物の生地でも、それぞれの良さを楽しむことができる。ルースシェードとよく比較されるバルーンシェードは、開閉する際に裾が風船のように丸くなって上がっていくが、下げた状態ではプレーンシェードと同様フラットな状態だ。バルーンシェードにさらに横方向のひだを加えた物はオーストリアンシェードと呼ばれる。
■ルーバー
ドアや窓に設けられる幅の狭い羽根板を、ブラインドのように枠組みに隙間を空けて平行に並べた物のこと。羽根板を取り付ける方向は縦横どちらもあるが、羽根板を取り付ける角度によって風・雨・光・ほこり・視線などを適度に遮断し、通気もできるようになっている。羽根板には平らな板か山形の板が使われ、可動式と固定式がある。枠ごとに開閉できる物を「よろい戸」、はめ殺しになっている物を「ガラリ」とも呼ぶ。ドアや窓の一部に付ける場合と全体に付ける場合があり、洗面所、浴室、クローゼットなどに使用される。建物と一体化している「ルーバー」は「ブリーズ・ソレイユ」と呼ばれることもある。内燃機関で低温時や軽負荷高速運転時にオーバークールを防ぐ目的で放熱器に取り付けられる物のことを、「ラジエーターシャッター」と呼ぶ。気象測定用の百葉箱のケースにも「ルーバー」が使われている。
■ルーバー窓
羽状のルーバーを回転させて開閉する窓のこと。ジャロジー窓とも呼ぶ。ルーバーは細長いガラス板やアクリル板でできており、これらがブラインドのようになって窓を構成。おもに明かり採りの目的で採用されることが多く、浴室などの水まわりに多用されている。ルーバーの角地を変えることで外気を取り入れることもできる。構造上、雨天時にも換気ができる、室内からでも室外側のガラス掃除が容易にできるというのがメリットだ。また、一部が破損しても交換費用が少なくて済む。しかし、ルーバー窓は構造上、隙間ができやすく隙間風や雨水の浸入がある他、断熱性が非常に悪いため、おもに温暖な地域で使用されている。
■ルーフガーデン
屋上庭園のことで、建築物の屋上やベランダなどといった上層部に造られた庭園のこと。古くは古代メソポタミアの新バビロニア王国における「バビロンの空中庭園」が有名。客土によって人工地盤を造り、植栽を施して造園するもので、日本を含めた各国の都市部ではヒートアイランド現象解消の切り札として注目を集めている。ルーフガーデンを設置するにあたり、荷重対策が必要になる。建物の上に植物を植えるのに加えて、客土を加えるため、どれだけの重さが建物にかかるかを計算して植栽計画を立てるためだ。また、荷重対策の一環として通気性、排水性、保水性や水素イオン指数を考慮に入れて土壌をつくる。その際、比較的軽い土を使用する。
■ルーフドレーン
陸屋根の雨水を外部へ排出するための排水用鋳物部品のことである。横型と縦型があり、防水層の種類に応じてアスファルト、防水用、モルタル用などの区別があり、部位に応じてバルコニー用、フロアー用、陸屋根用などの種類がある。ルーフドレーンのまわりからの漏水事故はかなり多いため、改修にあたっては、防水層の種類に適したルーフドレーンの使用する、ドレン表面のさびなどの付着物は十分除去することなどに十分注意する必要がある。このため、マンションの大規模修繕工事では、ルーフドレンが設置されている場所の建物診断を必ず行なう。また、経年劣化により、排水口と排水管の接合部が剥がれやすくなるので、定期的な点検や交換を行なうのが望ましい。
■ルーフバルコニー
マンションなどにおいて、階下の屋根部分をバルコニーとして利用したものを言う。「ルーフガーデン」や「ルーフテラス」とも呼ばれる。通常のバルコニーに比べて屋根もないため、スペースを広く取れる場合が多く、日当たりや開放感に優れており、ガーデニングのスペースとして活用されることも多い。また、パーティースペースとしても利用できるが、特にマンションの場合、下が住戸の場合がほとんどであるため、音への配慮が必要となる。なお、分譲マンションであっても、ルーフバルコニーは共用部分を借りるという形になるため、広さに応じて使用料が必要になる場合が一般的である。
■ルイ16世様式
ルイ16世の時代の建築や家具、装飾などの様式のこと。左右対称、直線がデザインの主流となり、ギリシャやローマの影響を受けつつも軽やかで優美なデザインが特徴である。装飾の少ないシンプルなデザインが多い。これは前時代の、曲線を多用した繊細なデザインのルイ15世様式とは一線を画す。ルイ16世様式は、その後ナポレオンの時代まで続いた、簡素で古典的な格調を特色とする新古典主義の始まりとも言われている。ギリシャ・ローマの影響を受けているのは、その時代に知識人が相次いでギリシャに旅行したことや、ポンペイなど古代の遺跡が発見されるなどの動きがあったことが背景になっている。
■ルネサンス
文芸復興。再生の意味。14〜16世紀にイタリアで始まりヨーロッパに広まった文化・文芸の革新運動で、古代ギリシャ・ローマの文化を規範とし、人間性の復興を目指した。ルネッサンスとも言う。
■ルネサンス様式
14〜16世紀にかけてイタリアを中心としたヨーロッパに広がった建築及び家具、装飾の様式。古典文化への回帰を志向したした思潮(ル・ネサンス)をもとにしている。古代ギリシャやローマの再現を目指し、その上で新しい表現技法の開発なども起こり、後世にも大きな影響を与えた。ルネサンス様式の建築は、水平線が強調されているのが特徴。これは、垂直が強調されたゴシック様式とは異なっている。また、建築内部に木製パネルを利用したり、大きなタペストリーを置いたりするなど、装飾にも特徴がある。家具は、機能性重視の傾向が高まった。代表的な人物はレオナルド・ダ・ヴィンチやミケランジェロ、建築においてはブルネレスキなどがいる。
■レースカーテン
窓に吊り下げた厚地のドレープカーテンの内側に取り付ける半透明のカーテンのこと。「レースカーテン」を使用することで、日中外からの視線を遮りプライベート空間を確保する遮視線効果、室内外の音を和らげる防音効果、ドレープカーテンとの併用による保温効果、家具や床、天井、壁、絵画などを、強い日差しや紫外線から守る日焼け防止効果、熱線による室温上昇を防ぐ冷房効果などが得られる。また北向きで曇りガラスの場合でも、窓を開けて換気するときの視線隠しや土埃や花粉などをガードする目的から、「レースカーテン」を付けることが望ましい。
■レジデンス
住宅や邸宅などの意味を持つ言葉。元来は、大邸宅や高級住宅などを表していたが、現代では高級分譲マンションをレジデンスと呼ぶ。しかし、日本では集合住宅そのものを指すことも多い。また、マンションの名称に用いることも多い。同じように高級マンションの別名として使われるタワーマンションという言葉があるが、この場合は下層階を店舗や事務所として使用しているため、上層階部分をレジデンスと読んでいることもある。住居という意味で使うのには間違いはないが、明確な定義はないため、不動産会社が独自に呼んでいる場合もある。類似語にはレジデントという言葉があるが、この言葉はホテルに宿泊している宿泊客を指すため意味は異なる。
■劣化対策等級
住宅性能表示制度によって定められた、耐久性の等級のこと。建物の構造部分に用いられる木材のシロアリ対策や腐朽、鉄筋のさびなどに対する対策の程度を示している、等級は1〜3で表示。等級1は、建築基準法に定める対策がなされている場合に付けられる。等級2はさらに約50〜60年は大規模な改修工事が不要であると判断された場合に。そして、等級3は約75〜90年間大規模な改修工事が不要と判断された場合に付けられる。ただし、この場合の大規模な改修工事とは、鉄筋コンクリートを取り換えるといったレベルの工事をさす。劣化対策等級は、鉄筋を覆うコンクリートのかぶり厚さと、コンクリート打設時の水セメント比が大きく関係している。
■レッド&ブルーチェア
1918年にオランダのゲーリット・トーマス・リートフェルトによってデザインされたアームチェアのこと。背もたれ部分が赤、座面が青で彩られているのが特徴的で、名前の由来。水平、垂直、直線を強調したデザインで、デ・スティール運動の代表的な作品として知られている。リートフェルトは単純な要素の組み合わせで3次元の空間を作り出す手法を一貫して用いており、近代建築や家具のデザインに大きな影響を与えた。リートフェルトの代表的な作品はレッド&ブルーチェアの他、ユトレヒトのシュレーダー邸や低層住宅団地、アムステルダムのゴッホ美術館、ベネチア・ビエンナーレのオランダ館などがある。
■レトロ
懐古趣味のことである。建築では、近代建築がレトロな建物と称される場合が多い。近代建築は、産業革命以降の近代に建てられた建築全体に用いられる呼称だ。狭義には1920年代を中心とする建築様式をさす。工業の発達に伴い、鉄橋や駅、工場などの新しいテーマが生まれ、鉄骨やガラス、鉄筋コンクリートなどの新しい材料や建設技法も発展した。ただし日本においては、近代化が西洋化と同義であったことから、近代建築というと西洋化された建築のことをさす。これは必ずしも国際的な近代建築とは一致しておらず、西洋の権威や伝統を受け継ぐような様式の建築が多く見られる。西洋での近代建築を日本語で表す際にはモダニズム建築と呼ぶ。
■レンジフード
コンロの上の部分に設置された覆い(フード)のこと。コンロから出てくる臭気や煙を排気することを目的としている。覆い(フード)と換気扇(ファン)を一体化したものも多く、さらに調理時に便利な手元照明が備わったものも多い。換気扇の種類によってターボファン、シロッコファン、プロペラファンに分類される。さらに、フードの長さによって、ブーツ型、浅型などに分類できる。従来の壁に取り付けるタイプの換気扇との違いは、レンジフードによって煙やにおいを効果的に捕集し、油汚れの掃除がしやすいこと。最近では、ヨーロッパのメーカーのレンジフードなど機能だけでなくデザインもシンプルでこだわったものが新築マンションでも増えている。
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