建築用語集
■炉
茶室において、湯を沸かすための設備であり、畳敷きの一部を箱形に切り込んだ穴部分のこと。炉壇、炉縁、炉蓋からなり、大きさは、炉縁の外法で京間畳の場合は1尺4寸(424mm)角が標準で、深さは45cm程度である。通常茶道の世界では、冬から春にかけて炉を使用。畳の下にある炉壇は銅板や石製、陶板製など様々な種類の素材がある。特に内側に土壁が塗られた本炉壇は最高級品とされ、専門職の炉壇師と呼ばれる、熟練した職人により手がけられる。毎年一回行なわれる炉開きには土壁の部分を塗り替える決まりもあり、左官職人か炉壇師が携わるほど。ただし、最近は手入れが楽なステンレス製も若い世代を中心に人気が高い。
■ローズウッド
ツルサイカチ属の広葉樹から採れる茶色・もしくは赤茶色の木材、または樹木その物を指す。名前の由来は、バラのような香りがすることからきており、「ローズウッド」の一種を「紫壇」と呼ぶこともある。重硬な木材で、ヤニを多く含むので虫害に強く耐候性があり腐敗しにくく長持ちする。硬度が高いため釘打ちやネジ止めは困難であるが、接着剤の使用により加工が可能。家具、仏壇、唐木細工、楽器、ナイフの柄、ビリヤードのキュー、チェスの駒などに使用される。強度が高い他、色調が美しく光沢も出やすく、さらに入手が困難とあり、家具材としては最高級品。「ローズウッド」が属するツルカイチ属は主にインド、マダガスカル、中南米に多く生息しているが、東南アジアでは人工的に植林している国もある。
■ロータンク
水洗トイレの洗浄用水槽であり、底部が便器の接地面から40cm程度の高さに取り付けられている物である。ハイタンクに比べると騒音が少ない、修理時の作業がしやすいといったメリットがある。ロータンクの上部がフタになっているタイプとタンク上面に給水される水を手洗い用に使うことができるタイプがある。手洗い用に使うタイプは、日本特有で、節水効果もある。個別に手洗い所を設置する必要がないため、省スペースとしても有効。タンクを壁に取り付けられるタイプと真上にタンクを載せた密結タイプがあるが、固体伝播やメンテナンス面に考慮された密結タイプが主流である。和式の場合は、「ロータンク」を上部に取り付けることができないため、壁の隅に取り付けられる。
■ローマンシェード
カーテン生地を昇降装置に取り付けて上下に開閉する窓かけのことである。厚手のドレープ、プリント、薄手のトランスペアレント、レースなど、様々な生地の特性によって日差しや遮視線などの調整が可能。カーテンとは違い、シェードを下げると1枚の布のようになるため、柄そのものを美しく見せられ、半分程下げた状態にすれば、高い位置からの日差しを遮ると共に下方から外の景色を見ることができる。上下開閉は、主にコードやチェーンによって行なう。その操作方法には、コードを直接引っ張り上げるコード式、シェード上部中央にあるドラムでコードを巻き取るように引っ張るドラム式、電動式などがある。
■ロールスクリーン
ロール状の布をコードで引き下げたり、巻き上げたりすることで開閉するカーテンの一種。吊りカーテンに次いでよく使われるスタイルである。ロールスクリーンの面はフラットで布がかさばらないため、部屋の仕切りや押し入れなどの目隠しとしても用いられる。下ろしたときに1枚の大きな布のようになるため、布の絵柄を見せるインテリアとして使用されることも多い。開閉方式にはスプリング式とチェーン式の2種類があり、用途や好みによって使い分けられる。スプリング式は、生地の下部のバーに付いたコードを引くことで自動的にカーテンが巻き上がる構造。チェーン式は、サイドのチェーンを操作することで上げ下げする構造のため、床に近い位置までカーテンをかけたいときに適している。
■Low-Eガラス
「Low-Eガラス」とは、低放射ガラスのこと。Low-EはLowEmissivityの略である。ペアガラスの内側に薄い金属膜をコーティングした物で、薄く色づいているのが特徴。このコーティングによって太陽光に含まれる紫外線や赤外線が透過するのを防ぐ。これによって、放射による熱伝達が抑えられ、従来の複層ガラスよりもさらに断熱性能が高くなり、冷房負荷を大きく削減することが可能に。複層ガラスのうち外側のガラスの内側に金属膜がコートされている物は遮熱型、内側のガラスにコートされている物は断熱型と区別される。遮熱型は外からの日差しをカットすることに重点を置いており、断熱型は室内の熱を外に逃がさないことに重点を置いている。
■廊下型集合住宅
横並びに各戸が配置され、それらにアクセスするための廊下に各戸の玄関扉がある住宅のこと。「廊下型集合住宅」は、片廊下型と中廊下型の大きく二つに分類され、「片廊下型住宅」は低?高層マンション、小?大規模マンションまで幅広く採用されている。廊下側に各戸が面して配置され入居者等の通行が頻繁にされることが予想されるため、落ち着かないとも言われているが、多くの戸数を配置できるため、ほとんどのアパート、賃貸マンションでこの様式を使用している。間取りは、バルコニー側との反対側に共用廊下が配置される外廊下型、共用廊下が両側の住戸の真ん中に配置される中廊下型がある。外廊下型は天候が悪い日には共用廊下に雨風が吹き込む恐れがあるが、中廊下型は共用廊下が屋内にあるので雨風が入り込まない構造となっている。
■陸屋根(ロクヤネ)
陸屋根とは、屋根の形状のひとつで、傾斜の無い平面状の屋根のこと。「平屋根」とも言い、ビル、マンションなどの高層建築物に多く見られる。なお、陸屋根の“陸”とは、平坦、水平などの意味だ。陸屋根には瓦を葺かないため、建設コストを抑えることができ、屋上スペースを活用して太陽光発電を設置したり、屋上庭園を設けたりできるなどのメリットがある。従来の木造住宅では、陸屋根は雨漏りしやすいことなどを理由に、ほとんど採用されてこなかった。また、防水技術等の進歩により、木造住宅でも陸屋根を設置でき、屋上に菜園などを作ることも可能に。豪雪地帯では落雪事故防止のため、鉄筋コンクリート構造の陸屋根住宅が増えている。
■ログハウス
丸太(ログ材)を水平方向に積み重ねて壁構造をつくる、「丸太組構法」で建てられた建築物のこと。丸太そのものが骨組みとなり、また内外装材もかねる。「ログハウス」は、建築基準法により2階建ての建設は制限されているため、平屋建てか、傾斜屋根の小屋裏空間を活かした2層式となる。リゾート地のセカンドハウスとして建築されるケースが多いが、戸建住宅としての建設も可能。その場合、丸太の代わりに角材を使い、消防法の定めに従うことが必要となる。「ログハウス」の特長としては、素朴な雰囲気であること、湿度の調整がとても優れていること、また木の断熱性の高さから夏は涼しく冬は暖かいことなどが挙げられる。
■ロココ
18世紀中頃にフランスの宮廷を中心にバロックの反動として起こった芸術様式。曲線や渦巻きを多用し、華やかな装飾が特徴。
■ロココ様式
18世紀フランスを中心に流行した装飾の様式のこと。人工洞窟にて買われてい貝殻模様の人口岩石であるロカイユに由来してロココという名称が用いられるようになった。動的で優美な装飾模様が特徴。バロック様式を発展させたもので、これが流行した時代はルイ15世の時代であることから、ルイ15世様式とも呼ばれる。もととなったバロック様式は豪華さや雄大さなど、男性的な権力の象徴としてのデザインが多かったのに対して、ロココ様式では繊細で耽美な、女性的なデザインが特徴的である。名前の由来にもなった貝殻模様の他、パルメットやアカンサスなど、植物の葉も多く用いられるなど、曲線的なモチーフが多い。
■露地(ロジ)
茶室に付属する庭のことであり、腰掛侍合、雪隠、中門などの施設や、つくばい、灯籠、井泉、飛石などが配置される。また、屋根に覆いのない地面及び、家と家との間の狭い道、敷地内に設けられた狭い通路という別の意味で使われることも。本来は「路地」と表記されていたが、江戸時代の茶書などにおいて、「露地」の名称が登場している。敷地の限られた都市部の町屋において発達したと考えられ、もとは「通り庭」と呼ばれる細長い庭園が発達していたが、さらに茶室へとつながる通路である「路地」が別に作られるようになったとされる。千利休の時代には茶室の建築が盛んとなり、いわゆる利休風の茶室もこうした状況で熟成されていった。
■路線価
市街地の道路に沿った土地の1㎡当たりの評価額のこと。この評価額は、宅地の貨幣価値が同一と認められる一連の宅地が面している路線ごとに、国税庁によって公示価格や売買の実例をもとに決定され、課税価格の基準となる数値。このとき、相続税や贈与税のもととなる路線価のことを「相続税路線価」と言い、固定資産税や不動産取得税、あるいは都市計画税・登録免許税などのもととなる路線価を「固定資産税路線価」と言う。「路線価」が記載される図のことは「路線価図」と言い、これには借地権割合も明記されている。路線価図は、国税局や税務署にて所定の手続きを経ることで、誰でも閲覧することができる公的な地域情報のひとつである。
■ロッキングチェア
脚の先端に歪曲した木が使われている椅子のことで、「揺り椅子」とも呼ばれる。ふつうの椅子は4点で床に接するのに対し、「ロッキングチェア」は2点のみで床に接する構造。背もたれが高いため、体を椅子にあずけて深く腰かけることができ、長時間座っていても疲れにくい。前後に揺れるリズムがリラックス効果をもたらすため、テレビを見るときや読書をするときに用いられることが多い。伝統的な木製の他に、金属柱、プラスチックなどを使ったスタイリッシュでモダンなタイプも出てきている。また「プラットフォーム・ロッカー」と呼ばれる「ロッキングチェア」は、床に接している4つの脚を台にし、その上にロッキングチェア状の椅子が載っているタイプの「ロッキングチェア」である。
■ロックウール
安山岩や玄武岩に製鉄所で副産物として発生する高炉スラグなどを混ぜて作られる、人造の鉱物繊維。吹き付け用の粒状綿タイプと、ボード状・フェルト状・マット状などの成形品タイプがある。多孔質材料と言う、細かい繊維の間に空気層を持つ構造のため、断熱性、保温性、吸音性等に優れていて、不燃性やリサイクル性が高いという特徴も持つ。ガラス繊維のグラスウールとともに、壁や天井の断熱材や吸音材として使われている。ロックウールは「岩綿」とも呼ばれるように、見た目はアスベスト(石綿)に似ている。だが、アスベストとは違い、発がん性がある物質ではない。世界保健機関(WHO)の外部組織である国際がん研究機関(IARC)の発がん性分類では、ロックウールはビニールやポリエチレン、茶などと同じ、発がんレベルの低いグループに分類されている。
■ロフト
屋根裏部屋、または部屋の天井を高くすることで部屋(の一部)を二層式にしたスペースのこと。建築基準法においての採光・換気の基準を満たしてないことから居室としては認められていない。用途としては物置、書斎、アトリエなど、使用方法は様々。同じひと部屋でも広いスペースが確保できるため、収納スペースの少ない一人暮らし向けのワンルームに用いられることが多い。長所としてはスペースを広くでき、部屋が広い印象に感じることができるが、短所としては空間が広くなることで空調の効きが悪くなるといったことがある。屋根裏部屋でグルニエと言われる物があるが、これは屋根裏を利用した収納スペースのことを言う。
■ロマネスク様式
戦乱の中世ヨーロッパで生まれた修道院や教会のための建築様式である。修道院は僻地にあることが多いため、「ロマネスク様式」は一般市民の目に触れる機会が少なかった様式と言える。混乱の時代ゆえに、有名な建築物は少ないが、イタリアの「ピサの聖堂」はロマネスク様式の代表的な建築物である。その他、ノートルダム・デュ・ポール教会、サンチアゴ・デ・コンポステラの大聖堂といった建築物がある。ロマネスク様式は、古代の集会施設である「バシリカ」の建築様式を受け継いだ長方形スタイルとそのアレンジが主流で、天井に使われる交差ヴォールト、厚い石壁、小さな窓、半円アーチ、独特の柱頭といった特徴が見られる。
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