建築用語集
■ラーバン地域
都市と農村の中間地帯。ラーバンは田舎を意味するルーラル(rural)と都会を意味するアーバン(urban)の合成語。
■ラーメン構造
一般に柱、梁を剛に接合した箱枠状の骨組をラーメンと言うのだが、このラーメンを用いた構造の総称である。鉄筋コンクリート造、鉄骨鉄筋コンクリート造に用いられているが、昨今は鉄骨造にも用いられるようになってきた。また、純粋なラーメン構造のみの建物は少なく、ラーメン構造と耐力壁、またはトラスを組み合わせた物が多い。なお、ラーメン(rahmen)は独語であり、枠、フレームのこと。柱と梁、最近の中高層マンションなどに採用されているのは、床板のみで構成する「純ラーメン構造」、さらに耐震壁を適宜入れ込む「耐震壁付ラーメン構造」である。高い耐震性と耐風性を発揮する一方、建設費用がかかり、音が響きやすいなどの問題点も指摘される。
■ライティングビューロー
書き机と戸棚を組み合わせた、1台2役の家具のことである。机の天板にあたる部分が戸棚の扉になっており、書き物をするときは手前に扉を下ろして机にして使用する。一般的に、「ライティングビューロー」の下部にはチェストや引出しが付いている。イギリス製アンティークビューローでは、装飾部分にこだわりを持ち、植物や木の実などの彫刻がふんだんに刻まれている物が主流。アメリカ製のアーリーアメリカンアンティークは、ハードメイプル材を使った高価な物が多く、サイズは大きめ。デンマーク製の北欧ヴィンテージでは、チーク材を使用しているため、軽くて運びやすいというメリットがある。ただし、組み込みなどが簡素化されているので、重たい物をのせるには不向きである。
■ライトコート
採光や通風を目的として、建物の中心部分に設けた吹き抜けスペースのこと。「ライトコート」は、特に住宅密集地で隣家が迫っている立地条件などにおいて、その効果を発揮する。また、建物の中心部分などに設けられるので、居室等の開口部が「ライトコート」に面していても外からの視線を気にする必要がなく、バスルームの隣に設ければ、露天風呂気分を味わうこともできる。マンションの中住戸(各フロアの両端以外の住戸)では、開口部を通常南北の2面しか取ることができない。そこで、「ライトコート」をマンションの中住戸の間に設け、採光・通風の改善を図っているケースもある。だが、高層の建物では、「ライトコート」の下部まで光が届きにくくなるので、主に3階〜5階建ての低層・中層マンションに採用されている。
■ライトコントローラー
照明器具の明るさをコントロールすることができる装置のこと。自由に明るさを調整できるようになっており、シーンなどに合わせた光量の調節が可能。くつろぎたいときには光量を抑えることもできるし、逆に仕事のときには光量を上げることができる。消費電力ということでも、ライトコントローラーの存在は大きい。
■ライニング
物体の表面や内部に対して行なわれる表面処理のこと。被膜自体のこともライニングと呼ぶ。表面処理をすることによって、母材に対する摩耗を減じることができるようになり、耐食性や耐酸性、摩耗、高温といったことに対する耐性を持たせることができる。何層かのコーティングによって耐えられるようにしていくことがライニングの特徴。製造方法として似たような方法としてコーティングと同様にとらえられることもあるが、コーティングはピンホールができてしまうところが大きな違いで、膜厚などの要因によって性能が異なってくるというのは、根本的に間違っていることになる。そのため、何に使うのかによって選ばなければならない。
■ラウンジチェア
傾斜のある背もたれが特徴の1人掛け用椅子のこと。ゆったりとした座り心地である「ラウンジチェア」は、主に休息や談話するときに用いられる。座面を傾斜させ、脊椎下部にかかる重みを背もたれに分散させる形状と、厚めのクッション、プライウッドのゆるやかなカーブが、ゆったりとした座り心地を生み出す。「ラウンジチェア」は、アメリカのデザイナーであるチャールズ&レイ・イームズ夫妻が友人のビリー・ワイルダーのためにデザインしたとして知られ、夫妻のデザインの「ラウンジチェア&オットマン」は「ラウンジチェア」の代表格となっている。その歴史から、「ラウンジチェア」は、尊敬する人への価値あるギフトとして贈られることが多い。
■ラウンジピット
リビングスペースの中でも、休憩などのために人が集まる部分を一段下げて作ること。一段下げることによって、リビングスペースの中でもまとまった印象を与えられるようになる。下にさげることによって、落ち着いた感じも出すことができるようになるため、ホテルのリビングのようなスペースでもよく使われるようになった。一般の住宅でもこうした効果を利用するようになり、床を掘り下げることでラウンジピットを作るようになってきた。20cm程度下げることによって、視覚的にも効果を上げることができる。家族がくつろぐことができる雰囲気を作り出すことができるが、バリアフリー面では問題が出てくることを理解しておかなければならない。
■落成式
建物が完成した際に竣工式に引き続いて行なう、関係者を招待して感謝の意を表し、工事関係者の労をねぎらうもの。建物を披露してテープカットをしたり、記念品の贈呈をしたりする場合もあり、その後、完成祝賀披露宴を行なうことも。竣工式との大きな違いはないが、目的は異なる。施工式は建物が無事に竣工したことを神に報告し、感謝の気持ちを表すために行なうものだ。それに対して落成式は建築主が来賓や工事関係者を招き、工事の竣工を感謝するが、施工式は新しい建物に対して神事を重要とする関係者が多い。一般的に新社屋などの建物には落城式、病院や校舎といった施設は施工式として行なわれ、また、場合によっては完成した建物全体を清め祓い安全を祈願する修祓式も行なわれる。
■ラグ
室内の床で部分的に用いる敷物のことである。カーペットが床に敷いて使う物のすべてを指すのに対して、ラグはおよそ1〜3畳までの大きさの物を指す。1畳未満の物はマットであり、ラグとは呼ばない。室温維持や防音が目的のカーペットと違い、ラグはインテリアの一部として使われることが多く、保温性や防音性は望めない。しかしラグは、形、素材、織り方、デザインなどの種類が豊富で、部屋を個性的な空間に演出するなどインテリアを楽しむのに最適なアイテムである。ラグをリビングルームに敷くことにより、床に座ったり寝そべったりするスペースを作ることもできる。
■ラス
左官下地として使われていく金属メッシュのこと。外壁や軒天井を施工するといった部分に使われる。
■ラスタータイル
釉薬によってつやを出したタイルのこと。釉薬として、石灰石や塩化スズを含んだラスターうわ薬を使っているところが特徴。パール状の光彩を発するのは、このうわ薬の影響が大きく、輝くように見えるからラスタータイルはパールタイルとも呼ばれている。外壁に使われることが多く、マンションやビルなどで見かけることが多い。
■螺旋階段(ラセンカイダン)
スパイラル階段や廻り階段と呼ばれている物で、回転している形をしている階段のこと。形状を上部から見ると、円の中心に対して回転して上がるようになっている。廻り階段との大きな違いとして、直線部分を持っておらす、90度回転したりするような踊り場はない。回転しながら上り下りをしていくことになる。そのため、螺旋階段の踏板はすべて扇状になっており、30cm離れたところで踏板の長さを測ることが基本。この長さが建築基準法を満たしているかどうかで判別する。螺旋階段は、曲線が優雅に見えるようになるが、その分だけ大きなスペースも必要だ。そのため、吹抜けの部分に作ることが多い。普及はしてきたものの、まだまだ高価であるとも言える。
■ラダーバックチェア
背もたれ部がはしごのようなデザインになっている椅子のことで、18世紀のアメリカのコロニアル様式で見られる。シャープなラインが特徴で、高い背もたれによって首元までしっかりと支えることができる。1902年にイギリスの建築家チャールズ・レニエ・マッキントッシュが寝室に置くためにデザインした「ヒルハウス」と呼ばれる椅子は、直線を強調したデザインが特徴の「ラダーバックチェア」で、レイアウトするだけでオブジェとしても楽しめる。どの角度から見ても美しいため、「眺めるための椅子」と呼ばれている。「ラダーバックチェア」は、背の高いフォルムが1脚でもインパクトと風格を漂わせているが、複数を並べて置くことで、背面を空間の仕切りとして利用することも可能。
■ラチス
柱や梁に対する補強材のこと。ジグザグ状に渡していくことで補強していくことができる。ラチス梁と呼ばれた物は、上下の部材をジグザグに補強していくことで、長尺スパンであっても小径の材を使うことが可能に。もともとは、鉄骨造りで使われていたが、木工増建築でも多く使われている。トラス構造に似ている部分を持っているが、山形になるトラス梁と比較した場合、平行に支えているところが違う。ラチス自体は減ってきているのは、ツーバイフォー用の梁であるTJIジョイストが普及してきているためで、普通の梁よりも材積を下げることができるようになる。大型空間も作り出すことができるため、ラチスよりも普及が進んだ。
■ラッカー
木工品や金属の表面に塗る塗料。乾きが早く、樹脂やセルロースなどから作られる。
■ラップサイディング
約15cm幅の横張りサイディング(乾式外装材)のひとつ。板の上下をラップ(重ね継手)させて、柱や間柱などに打ち付ける、欧米でもっとも歴史のある外壁のスタイルのひとつである。日本では「鎧張り」「下見板」「横羽目」などと呼ばれ、木造の伝統建築として古くから用いられてきた。輸入住宅によく見られる西洋風の外観が特徴的。従来の塗り壁とは違い、ひび割れ等が起こりづらく劣化が目立ちにくい。またサイディングは量産できるので、品質は均一になり、コストも計算しやすい。いろいろな素材があるが、最近は金属系サイディングの場合断熱材を裏打ちした物がよく使われる。軽量で建物に負担がかからず、断熱効果も高くすることが可能だ。
■ラティス
ガーデニングに使用される木製フェンスのこと。ベランダやウッドデッキを覆うためにも使われる。そのため、ラティスフェンスと呼ばれることも多い。板を格子状組んで使うことが多く、植物を這わせたりすることにも使える。他にもルーバー状になっている物もあり、目隠しや風よけに利用する場合も。組み方によっては、日除けにも使うことができるため、強い日差しに弱い植物でも効果を上げることができる。DIYでも活用されることが多く、固定してしまうだけではなく、稼働させて自立させることもできる物が作られている。こうした可動タイプもラティスと呼ばれており、特別に区別されたりすることはない。
■ラテックス
水中にポリマーの微粒子が安定に分散したエマルジョンで、自然界の乳状の樹液や界面活性剤で乳化させたモノマーを重合することでできる液のこと。植物から得られる「ラテックス」はほとんどの場合白色であるが、黄色、オレンジ色、緋色のこともある。もともとはゴムの樹から採られた白色乳状の樹液である天然ゴム液のことを指していたが、天然ゴムに似た水分散体の工業的な製造法が発明され、合成ゴムラテックスやエマルジョンが開発されて「ラテックス」と呼ばれるようになった。「ラテックス」はゴム、服飾、塗料などの製造に使用される。「ラテックス」にはアレルギーも存在し、ラテックスアレルギーの人はゴム手袋などのラテックス製品に触れるとアナフィラキシーを起こすことがある。
■螺鈿(ラデン)
漆工芸品のひとつで、装飾技法のこと。夜行貝や蝶貝といった貝殻を使う。こうした貝の真珠質の部分を切りだして板状にしておき、漆地などにはめ込んでいく。これに彫刻を施していくこともある。もともとは奈良時代に唐より輸入されてきた物で、単独で使用された物ではない。琥珀や亀甲などと組み合わせて楽器などに使われていた。この装飾された物が、螺鈿紫檀五絃琵琶、螺鈿紫檀阮咸として正倉院宝物に残されている。平安時代には入り、さらに技術は進化していき、蒔絵とともに漆の技法として進化をしていく。江戸時代には入り、輸出を含め高い人気になっていく物の鎖国政策によって海外余地も日本向けの物が多く作られるようになっていった。
■ラバトリー
洗面所、手洗い所、化粧室、便所(水洗)。
■ラブチェア
両端にひじ置きが付いた二人掛けの椅子もしくはソファのことである。「ラブシート」や「ロマンスシート」「セティ」とも呼ばれる。ひじ掛けをS字型に組み合わせて座った2人が反対方向を見るような形になるタイプや、座面や背面にクッション材を付けたソファタイプの「ラブチェア」もある。フランスのひじ掛け椅子をS字形に組み合わせた物を「シアモワズ」、二つの椅子がS字に組み合わされた物を「コンフィダンテ」と呼ぶ。他にも「テートアテート」などが有名。革製、合成皮革製、ファブリック製、籐製など様々な素材の物がある。フロアに置くロータイプは和室でも使用しやすい。小ぶりのサイズのため、ワンルームや狭い部屋の使用にも適している。
■ラミネート
表面に透明フィルムを貼った加工方法のこと。耐水性ということでは、透明フィルムを貼ることによって優れた性能を発揮させることができるようになる。紙の表面に貼り付けることが中心となっていくが、多少の水ではほとんど影響がないほどまでに加工することができる。アルミ箔や紙などを貼り合わせて積層化させる物もあり、すべてがフィルムというわけではない。建築でも薄い板を積層化させていくことをラミネートと呼ぶ。別々に製造した素材をあとから貼り合わせることがラミネートであり、最初から積層化して作る物はラミネートではない。その中でも透明フィルムを貼りつけて行なう加工は、パウチ加工と区別して呼ばれることも多い。
■ラミネート天井
天井に使われている合板に対して、特殊加工であるラミネート加工を施された物のこと。紙を使った化粧板を使っており、模様を描かれた物だけではなく、木目をプリントしたような物がある。ラミネート加工された板を天井に使われていることから、ラミネート天井を短縮してラミ天と呼ぶことも多い。高級な材を使わずとも加工することができることから、コストダウンには強い効果を発揮する。和室の天井には、これまで無垢の天井材が使われることが多かったが、非常にコストがかかってしまう。代用品として使われることで、多く普及していった。天然木を貼りつけた物もあるが、これは付き板であってラミネート天井とは異なる。
■ラワン
熱帯産の木材のことで、家具によく使われる。ラワンとはフィリピンでの名前であり、産地国によって呼び名が異なる。大きな材料が得やすく、板材としての需要が多いが、虫が出るのが欠点。よく乾燥しておくと出方が少なく、ベニア板にもよく使われている。日本では比較的早くに輸入され、広く普及した。合板の代表としてよく知られている。木目がはっきりとしておらず、表面はざらつきがあるのが特徴的。加工が容易なので、建築用材の他、家具や箱材など様々な用途に用いられるが、耐性は意外と低い。色調はホワイトラワン系、レッドラワン系に分類され、ホワイトは桃色を帯びた淡灰褐色、または淡黄色。レッドは濃赤褐色ないしレンガ色となり、辺材の境界がはっきりとしている。
■乱継手(ランツギテ)
継手をそろえずにばらばらにしておくということ。少しずつでもずらしていくことを乱継手と呼ぶ。ずらしていくことによって、弱点になってしまうことを防ぐ。継手をするということは、それだけで部材の一体化をなくすということになってくる。どんな接着剤や継手を使ったとしても、一体化していないことは弱点にしかならない。特に構造体となっているものは、一体化できることが重要となってくる。ところが、実際にはそうはいかず、継がないと尺が足りないといったことは、容易に予想できる。そこで、できるだけ力がかからないように分散させていかなければならない。鉄筋などの場合には、継手をそろえずにばらばらにすることで対応させていくことになる。
■ランドリールーム
洗濯部屋のこと。ただし、脱衣所ではなく、洗濯機や乾燥機が置かれたスペースを指す。洗面所が脱衣室と兼用にされていることが一般的であり、洗濯機も置かれることがあるが、こうしたスペースではなく、洗濯機や乾燥機が置かれた場所をランドリールームと呼ぶ。衣料品を洗い干すことができるだけではなく、しまうということもできるように設計されている場所だ。物干し竿の収納といったこともできるようになっていることも多く、衣料を洗うすべての機能が詰め込まれているスペースとなっている。なかなか洗濯物を干すことができないという場合であっても、ランドリールームがあれば外に干さなくても洗濯することができるようになる。
■ランプウェー
立体交差した道路などで高さの違う道路をつなぐ傾斜路。特に自動車用道路の出入口の坂を指す。
■欄間(ランマ)
日本の建築様式のひとつで、天井と鴨居の間や、窓や出入口の上部に設けられた開口部のこと。部屋と部屋、部屋と縁側・廊下の間などに、通風や採光、換気を目的に設けられるが、部屋と部屋の境目に入れる物は間越し欄間、部屋と縁側の境目に入れる物は明り欄間と呼ぶ。 欄間には、障子や格子の他、木目を活かして風景や動物などを立体的に彫った彫刻や、板に絵柄を彫った透かし彫りなどがはめ込まれて、室内装飾ともなる。欄間は、もともとは寺社建築から発展してきた物であるが、江戸時代頃から裕福な商家などの家屋にも取り入れられるようになり、伝統的な日本家屋の品格をもたらす設えとして受け継がれている。
■欄間障子(ランマショウジ
欄間の部分に取り付ける小さな障子のこと。装飾としても高い効果がある欄間に対して使うことで、開閉もしやすくすることができる。上方に取り付けることになるため、換気としても大きな効果を持つ。組子入りにした建具を入れる場合には、常に換気に役立てることはできる代わりに、暖気も逃してしまう。そこで、欄間障子にすることによって、必要なときに必要な換気をすることができるようになる。冬場であれば、隙間風を抑えることができるようになるため、暖房効率も良い。単に障子ということだけではなく、欄間としての装飾性を高めている霞障子のような物も使われている。
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