建築用語集
■ニースペース
椅子に座ったままでも膝まわりに負担がかからないように設けた空間のこと。キッチンや洗面台に取り付けられているシンクでも、二ースペースを設けることによって、椅子に座っても膝や脚が入るようになる。本来は収納や設備などが設けられているため、これらの設備を移動させて空間を作り出していく。健常者が利用するだけではなく、車いすでの利用を考えた場合、こうした二―スペースを確保することはとても大きい。膝がぶつかってしまうほどスペースがないと、上半身を近づけることができない。キッチンや洗面台のシンクを利用する場合には、大変不自由であり、危険も伴うため、大事な設計となってきている。システムキッチンなどでも大きく取られる。
■ニードルパンチカーペット
針で繊維を指して絡めていく方法で作るカーペットのこと。不織布であり、圧縮してフェルト状にして作っていく。パイルが存在しないカーペットで、表面はフラットでできあがる。表面が合成ゴムで補強する方法を取っていくため、寸法にも狂いが出にくい。パイルを作り出さないため、比較的安価で作ることが可能だ。感触は堅いだけではなく、弾力性も高くはない、その代りに、カラーは豊富に作り出すことができる。ニードルパンチカーペットではなく、パンチカーペットと呼ばれることが多い。難燃性を持っており、施工も手軽に行なうことができる。両面テープでも簡単に施工でき、汚れにくく水洗いもすることができる。
■二期工事
同じ施主から受注・施工する2回目の建築工事のことである。付帯設備や庭など、メインの建物を建てたあとに全体のデザインを考慮して着手することが多い。また、俗に検量検査をしたあとに、改造する工事のことを二期工事と呼ぶことも。これは、行政に提出し完了検査済証が発行されたあとに、提出したものとは異なるものを建設することを意味する。土地には建蔽率と容積率が定められているが、建物を建てる際には建築物の制限があり、それに反した建設をしたい場合、まず法律に則った書類を提出し、検査を受け、その後建て替える。例えば駐車場として提出しておきながら、二期工事で住居を建てるといったことが該当し、違法だ。
■逃げ
部材に狂いが出たときに、誤差を受け止めることができる余裕のこと。隙間を作っておくことで、余裕を持たせておく。逃げとは言わず、遊びと呼ぶことも。表面上は、何があったかは分からないようにすることができる。変形してしまったときでも、逃げがあれば、その状況を見せることがない。細かなことを吸収できるようになるが、その状態を見せることなく処理することができる。逃げ仕事とも言われるが、いかに見えないように作っておくのかということも、完成度を高める仕事と言える。したがって、逃げをゼロにすることは、仕事として完璧とは言えない。必要最低限の逃げを用意しておくことが重要であり、どこに逃げを作るのかを判断することが大事となる。
■二重窓
窓のサッシを2組使って作る窓のこと。断熱効果を高めるために行なわれる。内窓とも呼ばれる方法で、寒冷地での二重窓は一般的だ。省エネということだけではなく、防音対策、結露防止にもなってくることから有効な手段と言える。どうしてもサッシが取る幅が大きくなってしまうため、複層ガラスが取って代わってきていることで、二重窓の需要は大幅に下がった。ただし、二重窓に複層ガラスを組み合わせれば、さらに高い効果を発揮させることができるため、線路沿いなどでは騒音をカットするために用いられることは多い。電車でも活用されている例が北海道にある。耐寒装備のひとつとして利用されている物で、かなりの車両に用いられている。
■24時間換気システム
室内の空気を常に新鮮な状態に維持するために、専用の機械換気システムを24時間利用して、吸気と排気を強制的に行なうこと。住宅が高断熱高気密になったことから化学物質によるシックハウス症候群が深刻な問題となり、2003年7月1日にシックハウス対策の法令が施行。新築住宅を建設する場合、シックハウスに関する化学物質の濃度を下げるよう、1時間あたりにおける室内の空気の2分の1を外の空気と入れ替えるよう義務付けられた。その方式には、第1種換気、第2種換気、第3種換気の3種類があり、室内と室外との温度差によって結露などが発生する可能性もあるため、地域の特性に応じて選択する必要がある。
■躙り口(ニジリグチ)
草庵茶室に作られている客人用の出入り口のこと。小間特有の物であり、高さは65cm程度となる。幅は60cmと通常の開港に比べてかなり狭い。特に高さが低いことで、にじり寄って入っていくことになるため、躙り口と呼ぶ。開口部の高さが低いことで、茶室の中に入った時点で広く感じさせることができる。非日常空間としての境界であり、潜り抜けることによって別の空間になると言える。躙り口をくぐるときには、どんな人でも茶の湯の主人に対して必然的に頭を下げなければならない。これは、武士でも商人でも将軍であっても同じことであったことから、茶の湯では立場を考えたときに身分は平等であるということを示している。
■二世帯住宅
家計を別にする2つの世帯が、同じ住宅に居住する住宅のことを言う。二世帯の生活をほとんど別にしている場合や、家族としては一体として生活するものまで多様である。どちらかと言うと住宅取得の目的を優先し、生活スタイルについての問題が後回しになるケースが多くある。
■日影図
建物が作る影を時間毎に平面図に描き、図にしたもののことである。「ひかげず」とも言い、ある単位の長さの鉛直棒の先端が水平線に落とす日影の軌跡を、直接平面図に描いたものを日影曲線図と言い、建築物などのある時刻に地面に投じる日影を、日影曲線図によって描いた図を言う。建設予定の建物による影が、周辺の建物に与える影響を把握することが可能となる。どの時間帯にどの場所が日陰になるかを指し示すものとなる。日照権の判断基準となり、調停や裁判の際の必須資料となっている。近年ではマンションの施工主が事前に住民説明用に作成することが多くなっている。建物の高さの他、形状、日陰が最大となる冬至日の耐用の方位角と影の倍率をもとに作製される。
■二丁掛けタイル
レンガの小口2枚分に相当する寸法に目地を加算して作り上げたタイルのこと。60mm×227mmで作られ、厚さは内装用が4mm〜8mm程度で作られるが、外装用は5mm〜15mmとかなりの差がある。床用として作られている物もあり、用途によって使い分けされる。1㎡当たり64枚使う計算に。小口タイルと寸法を組み合わせることができるため、仕上げに変化を付けることができる。ホームセンターやインターネットで手軽に手に入れることができるタイルであり、DIYで利用していくことも多くなった。素人でも、タイル用ボンドを使って装飾していけば、キッチンまわりなどを大きく変化させていくことができる。
■日照権
建築物の日当たりを確保する権利のこと。都市におけるビルやマンションの建設で、その影になって日が当たらなくなったときに主張できる権利であり、仮処分申請や損害賠償訴訟を起こす際の根拠。日計図と、いわゆる日影規制と呼ばれる市区町村の条例などを照合して、基準を上回っている場合や下回っていた場合でも、周囲の状況などによって受け入れられる度合いを超えているときに、裁判などで日照権の確保や損害賠償が認められることがある。この際の日照権の確保とは、日当たりが得られるように、新たに建設予定の建物の高さ制限をしたり、建築物の形状の変更をしたりすることを意味する。
■ニッチ
小物や絵などの飾り棚として使うために壁の一部をへこませた部分のこと。西洋建築で厚みのある壁をえぐって作ったくぼみの部分で、彫像や花瓶などが置かれてきた。「壁龕」とも呼ばれ、古代ローマ建築でよく用いられた技法である。平面は一般的に半円か長方形で、上部には半ドームやアーチなどをかける。半ドームをかけたニッチは「コンチ」と呼ばれる。ニッチの床は一般的には周囲の床や地表よりも高くされることが多いが、同じ高さの場合もある。「ニッチ」という言葉のもととなっている英語の単語は、隙間やくぼみを指している。そこから派生して、大手企業が進出しにくい隙間産業を「ニッチ企業」と呼ぶ。
■Ⅱ列型キッチン(ニレツガタキッチン)
作業スペースを2列にして並行にしたかたちのこと。コンロや作業スペース、シンクといった設備を並行にする。I列型キッチンを半分にして並行にしている形がⅡ列型キッチンだ。設備に対する距離は半分以下となってくるため、動線は確実に短くなり、作業効率を上げることができ、収納スペースも取りやすくなる。その分だけ、ビルトインの設備を広げやすい。列の幅が広くなると、間延びして使いにくくなる可能性が高く、逆に狭いと窮屈に感じる。冷蔵庫とコンロ、シンクの3つをバランス良く配置する必要があり、3辺の総和を360cm以上600cm以内に納めることが重要になってくる。これはU字型キッチンのような配置でも同じだ。
■人間工学
人間の持つ特性や能力を環境に対して適合させることを研究すること。定義の仕方には多少の違いがみられるものの、器具や作業環境を適合させることによって、合理化を進めていくものだ。人間工学は、普段使っている家具や設備などに対し研究していくことによって、利用しやすい物を作り出すことを可能にする。システムの設計などに対しても使われることがあり、効率化を進めることができる。機械側の生産性などを見るのではなく、あくまでも人間が利用する場合を想定して考えるため、これまでにはなかったような形や機能が生み出されることも。ヒューマンエンジニアリングやエルゴノミクスといった言葉も人間工学を意味する。
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