建築用語集
■モーターホーム
簡易的生活ができる設備がついた移動住宅車。長距離の自動車旅行やキャンペーン、イベントなどに使用される。
■モービルホーム
トレーラーハウスとも呼ばれ、大型の自動車を使用して居宅すること。キャンピングカーも車中に生活空間を作るが、キャンピングカーはレジャーなどの短期的な使用が目的。しかし、モービルホームは恒久的な使用を目的としている。工場で住宅を組み立てた物を、トレーラーで建築現場へ運び、そこで設置または、複数の単位のユニットを組み立てて住宅とする。移動する場合もあるが、車輪を外して定住する場合も。移動する場合、設置場所が決められており、水道、排水などの施設が用意されている。アメリカでは、住宅用ではあっても住宅とは認められていないため、住宅ローンではなくカーローンで購入されている。
■モーメント
支点にかかる力で物体を回転させる作用のこと。
■モールディング
建築や壁面、家具などの細部に施した帯状の装飾のこと。天井と壁の継ぎ目に使う廻り縁や壁面装飾、額縁、腰見切り、床と壁の継ぎ目に使う巾木などがある。枠どりの装飾ではあるが、壁面を保護する役割も持つ。また、部材の接合部を美しく処理する効果も。繰型とも呼ばれ、光と影でメリハリを付けるような細長い形の装飾仕上げは、様々な陰影模様が生まれて、デザインによって量感や優美さなどを演出する。モールディングは、エジプトでは前3000年頃から使われており、その後古代ギリシア建築で発展した。西洋の古典建築では木や石が原型だが、近年では、石膏や合成樹脂など、いろいろな材質で作られている。
■召合せ
2枚になっている建具が突きあうこと。部分的にも召合せと呼ぶ。引き違いの建具の場合には、重なる部分のことを指す。拝み合わせと呼ぶことも。引き寄せて閉じるようになっている場合には、必ず合わせる部分が存在する。これによって、密閉性を高めることができるようになるため、召合せが重要な意味を持つ。召合せを作ることによって、隙間の存在を見せることなく使うこともできる。召合せにずれが出てくると、鍵と鍵請がうまく合わなくなったりすることも出てくる他、密閉性が保てなくなり、隙間風が入ってくるようなことが起きてしまう。サッシなどでは、基準位置を調整するだけではなく、左右の調整もできるように機構が備わっている。
■木工事
木材の加工や組み立て、取り付け作業のこと。大工が中心となり行なう作業で、住宅の骨組を木材で造る工事だ。軸組、床組、小屋根などの構造躯体(くたい)工事や鴨居、敷居、開口部枠、階段、押入、床、壁、天井仕上げなどの造作工事がある。土台、梁、柱、小屋組み、桁、敷居、鴨居、床下地張りなどの架構された木材を、それぞれの場所にはめ込み、家を形作る作業を指す。基礎が完成したあとに始まり、完成引渡しまで続く作業である。まず、土台から柱を立ち上げ、桁、梁など横架材を渡して骨組を造る。その後、間柱、筋向い、床組み、小屋組みをする、そして壁、屋根の下地、天井を作り、ドアやサッシをはめ込む。最後に外部の外壁を取り付け、内部の段滅罪を付け下地を造る。
■木材製品
木材を原料にした製品の総称。構造材料、仕上げ材料、化粧材料など用途によって様々な木材が使用される。木材の素材を目で確かめることができる物から、木材繊維段階にまで分解して、再成形する材料製品まで多岐に亘る。繊維板、合板、削片板といった木質パネル、製材品、構造材、梱包材、造作材などがあり、近年はエンジニアウッドと言われる、加工木材の利用が拡大。これは、集成材、製材品、積層材などで、強度が高く、反りやゆがみなどの問題が少なく、長期にわたる安定した性能を維持した木材だ。木材製品には、国産材の他、欧州材、北米材など様々な地域の物がある。
■木質パネル構法
工場で作成した木質パネルで構造躯体(くたい)を構成した壁式工法のこと。建物の構造の要である壁、床、天井などを規格化したパネルとして工場で造り、現場に持ってきてから組み立てを行なう工法だ。パネルには、電気の配線を行なった物や断熱材が加えられた物もある。広い意味では、現場で床板や壁板をつくり、組み立てて構造躯体をつくる構法はすべて含まれ、枠組壁工法も木質パネル構法に含まれる。工場でパネルを生産するため、精度や品質が安定する他、現場での作業が少なくなるため工期をある程度短縮できるのがメリット。ローコスト住宅として生み出された工法であるが、パネルの設置にクレーンを必要としたり、輸送費がかかったりすることもある。
■木製窓
木製の枠を備えた窓のこと。木材は構造強度が強く、断熱性、耐候性が優れているので、窓のような熱対策の重要な部分に適している。木製窓の耐候性、維持管理、経済性を高めるために、硬質塩化ビニールやアルミニウムを被覆材として採用した窓もある。木製であるため、デザイン性も高く、断熱性や強度が高いことに加えて、インテリアにも一役買うことができるという点もメリット。室内側を木製、室外側をアルミ製の枠にすることで耐久性を上げた物もある。カビや腐食を防ぐ効果も高くなる。木の風合いにより様々な質感を楽しむことができ、また塗料をほどこした物もあるため、様々な色の窓があり、部屋に合わせて選ぶことも可能だ。
■木造建築士
木造建築士試験に合格した者に与えられる都道府県知事(建築法第4条第2項)の免許を受けた技術者のこと。木造で階数が2階以下、かつ300㎡以下の建築物の設計及び工事管理業務が行なうことができる。木造の建築物の設計や工事監理などを行なう。昭和59年から始まった制度で、多様化、大規模化、高度化、また新しい技術の導入が進行する建築業界に合わせて活躍が期待される資格だ。木造建築士の試験は、建築計画に関する学科Ⅰ、建築法規に関する学科Ⅱ、建築構造に関する学科Ⅲ、建築施工に関する学科Ⅳの4種の試験があり、これらの学科試験に加えて、事前に公表される設計課題についての設計製図の試験もある。
■木造・木構造
土台、柱、梁などの家屋の主要構造部を木材で作る建築物のこと。「木造」の工法には、木造軸組工法(在来工法)や木造枠組壁工法(ツーバイフォー工法)、伝統工法、丸太組工法、そして木質ラーメン工法などがある。「木造」は軽量で耐震性にも優れているが、木材が傷んだり変形したりするリスクが大きい。そのため、建築物の大きさが建築基準法で制限されている。具体的には、「高さ13m、軒の高さ9m、または延べ面積3,000㎡を超える建築物においては、主要構造部を木造としてはならない」というものだ。なお、土台、軸組、梁、柱についての細かい規準も同様に定められている。
■木賃アパート
賃貸用の木造民営共同住宅のこと。部屋もせまく、炊事用流し、トイレなどが共用、あるいは浴室がないところもあるなど、居住水準が低いところが多い。きちん宿とも言われていた。高度経済成長期に首都圏で人口が増えたことに合わせて1950年代から大量に投入された建築形式だ。住戸は1室、トイレや台所が共同のものもある。木造の在来工法で造られたものが多い。コンクリート造のマンションなどとは違った、文化的価値を持っており独自の魅力がある。しかし、再投資が困難、改修の方法が限られる、法規的理由などにより、現在空室率が高いことや劣悪な住環境といった問題を抱える木賃アパートも多い。
■木煉瓦
レンガのようにした木片のこと。コンクリート面などに取り付けておくことで、釘打ちができるようにできる補助材となる。埋め込むことで、構造欠損ができてしまうため、接着するという方法もある。サイコロ状に加工したり、輪切りにしたりしたまま床仕上げとして使うことも。この場合の木煉瓦は、木口を上に向けて敷き並べることが重要で、室内でも土足で歩く場所に用いられることが多い。目地にはアスファルトを使うことによって、固定できるようになる反面、どうしても凹凸は回避することができない。木である以上、不織の問題も出てくるため、屋外や水を使うような場所にも向かない方法となる。
■モザイク
小片を合わせることで現す表現方法のこと。石や陶磁器、ガラスなどが組み合わされ、それぞれが模様になるように張りつめていく。古くから行なわれてきた装飾であり、室内装飾として進化していった。世界各地で様々な模様を見ることができる。シュメール文明で始まったのではないかと考えられており、ウルク期にコーン・モザイクと呼ばれる装飾が行なわれていた。古代ローマ時代となり、床のモザイクが発展。近代でも様々な場所に使われており、バルセロナにあるグエル公園はガウディと弟子の策として知られている。幾何学的にも研究されており、数学の問題として取り上げられることがあるほど、複雑な模様として作ることができる。
■モジュール
ひとつの授業を小さく分割した時間単位のことである。1モジュールは大抵、10分から15分程度と設定される。
■モダニズム
現代の流行や感覚に合わせようとする傾向のことを指す。別名「現代主義」または「近代主義」と言う。芸術分野で、20世紀の前衛芸術の諸運動や諸様式をまとめて表現しようとする態度や表現方法。特に大正時代末期から昭和時代末期にかけて、新興芸術派や新感覚派などの文学や芸術運動の総称でもあった。建築業界では、19世紀以前に用いられていた建築形式を否定し、変化する社会に適応する近代に合った建築様式を追い求め、装飾などを無くし機能性を重視したシンプルな建物を目指した建築を「モダニズム建築」と呼んでいる。他にも「新しい物好き」など軽い意味で使用されたり、否定的なニュアンスを込めて使われたりするケースもみられる。
■元口
丸太の根に近い方の切断面で、木口(こぐち)のこと。その反対の細い方は「末口(すえくち)」と言う。元口は丸太の大きさを表す際に使用され、丸太の売買する際には「長さ〜メートル、元口〜パイ」などと表現される。
■モニュメント
記念碑や記念像など、記念として建てられる建造物である。公共的な記念の目的をはじめ、特定の事件や、名誉を残した人物など後世に語り継ぐために、設立される。さらに、「モニュメント」には、相当する大きさや目立つような高さ、品位や耐久性などの記念性が要求されている。いずれのモニュメンタリィも携わっていない場合、モニュメントとしては成立しない。長年伝わっている作品は、美術史上にとって重要な物になっている物が多い。「モニュメント」の言葉の意味の中には、規模が大きい、堂々としている造形作品に用いられ、作品評価の重要な要素となっている。現代美術では「第三インターナショナル記念塔」などが、モニュメントとして挙げられる。
■モノコック
外板に対して応力を持たせた構造のこと。応力外皮構造とも呼ばれる。自動車や鉄道、航空機といった分野で用いられるが、構造的な強度を必要とするミサイルといった物にも応用された。柱や面ということではなく、外板に対して必要最小限となる加工によって剛性を持たせた設計となる。構造が単純になるが、航空機の翼などではモノコック構造を利用しつつ、様々な加工も用いられる。箱型ということに近づいていくこともあるが、角ばらせるということがモノコックということではなく、ひとつの答えにすぎない。ツーバイフォー住宅は、モノコック構造とも言える考え方であり、柱を使ったりしていくのではなく、もっとシンプルな面で強度を作り出していく。
■モノロック
握り玉の中心にシリンダー錠を使っているノブのこと。組み込まれているため、別に鍵を取り付ける必要はない。開き戸用のノブのことで、解除するためのプッシュボタンが室内に取り付けられているため、操作は容易に行なうことができる。一戸建てやマンションでも使われているが、倉庫や事務所といったところでも使われる汎用性の高いノブと言える。ラッチボルト操作で施錠するだけの構造であり、デッドボルトは存在していない。基本的に室内用のノブであり、こじ開けられたりする可能性が高いため、屋外に対しては取り付けるのは危険性が高い。手軽に使うことができる反面、出入り口にしてしまうと、防犯性はかなり下がってしまうことになる。
■模様替え
改装と同義で、室内の家具の配置を変更するなど別の仕様でつくり替え、性能や品質を回復させる内装変更のこと。クロスの張り替えやカーテンの変更、キッチンの変更などがそれにあたる。床面積の増減や構造部分などに手を加えたりすることを「模様替え」とは言わない。また建築物のある部分を同等の材料・形状・寸法でつくり替え、老朽化した建物を新築同様に戻すことを修繕・リフォームと呼ぶ。一方、老朽化した建物に大がかりな工事を施し、工事前の状態よりもさらに性能や価値を高めることをリノベーションと言う。
■盛土
別の土を盛ることや、盛られた地面のこと。地盤にすることも盛土と呼ばれている。斜面や低地に造成する場合、問題が発生してしまうことがある。そこで新たに土を盛り造成する。削り取る切土が同時に行なわれていくことが多い。土を盛っただけでは、必ず沈下していくことになるため、十分な締め固めが必要になり、沈下することを予測しておく必要がある。特に軟弱な地盤や強度さがあるような場合には、かなり沈下することが予測できる。田畑に対して行なわれていく場合には、盛土にも強度がなくなってしまうため、地盤補強をしなければならない。下層地盤の特性の把握ということが重要であり、転圧不足を起こさないようにすることが重要となる。
■モルタル
セメントと砂を水で練り合わせた物で、建築物の壁や床の下塗り、仕上げなどに使われる建築材のこと。「モルタル」と同じくセメントを材料にして作るコンクリートは、水と砂の他に砂利が使われ、「モルタル」に比べて強度に優れているという特徴がある。「モルタル」は、ブロック・レンガ積みの接合剤として、あるいは壁・床・仕上げに使われることが多く、このとき、仕上げは下塗り・中塗り・上塗りの3段階。特に、下塗りと中塗りで表面にわざとざらつき感を出すことで、上塗りをした際に剥がれにくくすることができる。モルタル塗りが正しく行なわれているときは、表面を叩いてポコポコとした音がすることはなく、音がする場合には、その部分が浮いた状態になっていることを意味する。
■モルダー加工
材料を一定の型に合わせて成型する成型加工のこと。「プレナー仕上げ」とも呼ばれる。製材するときは鋸刃により裁断するため断面がざらつく。そのため表面をモルダー機械で滑らかにする。これをモルダー加工と呼ぶ。そして、この過程を経た構造材は「モルダー」と呼ばれる。モルダーを通るときに木材は1mm以下の精度で削られ壁材や床材の形に成形。回り縁や額縁などの装飾加工に用いられる。モルダー仕上げは滑らかではあるが、微妙な刃物跡が残るため、見える部分である床材などはモルダー加工に加えてカンナがけなどを行なって「超仕上げ」というさらにていねいに滑らかにし、光沢を出す作業が行なわれる。
■門扉
道路と住宅の境界に付けられる扉のこと。門に取り付けられる扉であり、アプローチを経て玄関ポーチから玄関へと続く。外構工事に属するため、建築時の本体工事に含まれることが少ない。玄関よりも先に訪問者を出迎える場所となってくるため、第一印象を与える場所となってくる。門扉をくぐることによって、そこから自分の土地であるということを示すためにも重要な意味を持つ。そのため、電気錠を取り付けておき、室内から施錠も開錠も行なうようになってきた。これにより、訪問者と顔を合わせる必要もなく、安全性も確保できる。素材として風雨にさらされることから、軽量で耐久性に優れるアルミ軽材やアルミ鋳物などが使われるようになってきた。
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