建築用語集
■小屋筋かい
小屋組がゆがまないようにするために取り付けられる筋違のこと。雲筋かいとも呼ぶ。小屋束同士や棟木、母屋をつなぐことによってゆがみを防ぐことが可能。桁方向に倒れてしまうのを防ぐために用いられるが、外力を受けたときの揺れ止めになることから、耐震補強の施策のひとつとしての効果がある。
■小屋梁
木造の小屋組に使われる水平の横架材のこと。屋根部分の骨組みであり、小屋組では最下位にあたる梁となり棟木と直交する。最下位に位置することで、小屋組だけではなく、屋根の加重も支えることに。複数組む場合には、上にいくにつれて二の小屋や三の小屋という呼び名に変わる。これは、束が必要以上に長くなりすぎないようにするとともに、水平剛性を保つ意味を持つ。コストの面から考えても、二の束までが一般的で、これ以上は意匠的な面からも使われることが少ない。受け止めた荷重を柱に移していくのも、小屋梁の役割と言える。昔は丸太をそのまま使っていたが、製材するよりも強度を持っていたためだ。現在は、正確に製材した角材が使われるようになっている。
■コレクティブハウス
それぞれの住まいは独立した個別の住宅でありながら、一部の空間を共有し、他者とゆるやかにつながりを持ちながら生活する共同住宅のこと。もともとは1930年代に北欧で始まったとされ、親しい人や仲間が共同で生活するライフスタイルのことを指した。「コレクティブハウス」の各住人は、キッチン・バス・トイレのある独立した住居に住みながら、共同のキッチンや菜園などのコモンスペースを共用し、ゆるやかなコミュニティーを形成。日本では2003年に荒川区の福祉施設の一角にできた「かんかんの森」が最初の「コレクティブハウス」とされている。日本の「コレクティブハウス」では、共同で食事をする日を設け、定期的にミーティングを行なうなどのルールがある。
■コロニアル
アメリカやイギリスの植民地だった場所の建築様式や家具などを模倣するスタイルのこと。これとは別に、屋根葺き材で人工化粧スレート板のこともコロニアルと呼ぶ。クボタ松下電工外装株式会社の屋根材であり、商品名として使われている物を指す。初期の物は石綿スレート板としてアスベストを含んでいたが、健康被害が出てくることが分かり、規制後は含まれていない。その代わりに以前の含んでいた物に比べると耐久性にかけるが、重量が軽く加工もしやすく耐候性には優れている。カラーベストとも呼ばれている物は、同じ物のこと。薄いスレート板を重ねて張っていることから、独特のイメージを持っている。
■コロニアル様式
植民地時代の伝統的建築様式のひとつ。17世紀から18世紀にかけて、イギリスやオランダ、スペイン、フランスの植民地に見ることができ、特に植民地時代のアメリカで発達した。コロニアル様式は、その土地の材料や風土と、母国の建築様式と結合して作り上げられていくので、細かくは、イギリス式、フランス式などに大別される。しかし主に木造で、板を横に貼った壁と、建物正面のポーチ、そして大きな窓とベランダが特徴的な建築様式であることは同じである。日本においても、明治期以降に長崎や神戸などの外国人居留地の住宅に用いられ、のちに大きな影響を与えた様式だ。「コロニアル」とは、「植民地の」という意味がある。
■コンクリート造
建物の構造のひとつで、一般的には鉄筋コンクリート造、RC構造と呼ばれている。コンクリート造は、鉄筋の骨組みにコンクリートを流し込んで施工し、低層の建築は鉄筋コンクリート造、中高層の建築ではSRCという鉄骨鉄筋コンクリート造が多い。コンクリート造は、高い耐火性や耐震性、そして円形や方形など、設計の自由性などの特徴が挙げられる。一方、工期が長く、建物の建設費の他、地盤によっては基礎工事などの費用が割高に。コンクリート造には、プレキャスト工法という物があるが、これは、コンクリート板を工場生産し、現場で組み立てるプレハブのような物で、工期や建物の乾燥時間の短縮に効果がある。
■混構造
構造材混用構造とも呼ばれ、鉄、コンクリート、木材などの異なる構造材料を2種類以上使用した構造のことである。一戸建て住宅においては、リフォーム工事や増改築工事の際に、耐震性を補強するために、木造と鉄骨造などを組み合わせて行なうケースが多い。また新築においても、地下室付きや傾斜地で地階ガレージ付きなど、すべてを鉄骨造やRC造にすると建築費がかさむような場合に、木造とRC造などを組み合わせて建築費を抑えるケースも。組み合わせとしては、1階をRC 構造で2階以上を木造という断面的に分かれるケースもあるが、一部をRC構造で他は木造というように平面的に分かれる場合などもある。混構造は、欧米で広く使われている。
■コンストラクションキー
工事中の間だけ使用する鍵のこと。工事の管理用に鍵を作るが、工事完了後には、シリンダーや錠自体を交換することになってしまう。これを防ぐために、コンストラクションキーを解除することによって、対応できるシステムのことを指す。
■コンソール
ギリシャ建築で見られる渦巻き型のブラケットで、もち送りとも呼ぶ。軒などで水平方向の支持材のことで、補強材としても装飾材としても使われる。家具の場合のコンソールとは、壁付けテーブルのこと。壁に固定して使用するテーブルであり、サイドボードの原型になったと言われている。もともとは、壁に固定して使うことを前提とした、自立できないテーブルを呼んでいた。しかし、18世紀初頭あたりからは、こうした概念にとらわれずに、様々なデザインの物が作られている。脚が2本であることが基本だったが、1本しかない物や3本ある物もあり、総称としてコンソールが使われることが多い。素材に関しても決まりがあるわけではないため、木材や石材など様々な物で作られている。
■コンポーネント
システムの構成要素のこと。様々な物に使われる言葉で、住宅では家具や家具の一部などを指すことがある。組み合わせ方によって機能を発揮できるものがコンポーネントと呼ばれ、単体では機能しないものが多い。システムキッチンの、フロアキャビネットは単体では機能することができない。そのため、コンポーネントと呼ばれる。モジュールも似たような意味で使われることがあるが、こちらは接続可変式家具のことで、独立して使用できる物を指す。IT業界で使われることが多い言葉であり、システムを構成する要素や機器、ソフトウエアなどシステムを実現させるために必要なものを指すことが多い。音響機器のコンポもコンポーネントの略で、独立した機器を組み合わせた物のことを指す。
■格天井(ゴウテンジョウ)
太い角材を井げた状に組んで正方形をつくり、その上に板などを張ったりはめ込んだりした天井のこと。日本の他、中国や朝鮮などで見られ、寺院や神社、城など、主に格式の高い建物に古くから用いられている。日本では京都にある二条城の二の丸御殿や、栃木にある日光東照宮外陣などの「格天井」が有名。和室の天井は、真・行・草という3つの格式があり、「格天井」はこのうち最も格式の高い真の格付けとなる。明治時代以降は、洋間でも「格天井」が用いられるようになった。「格天井」で井げたを組む組木を格縁(ごうぶち)、その合間を格間(ごうま)と呼ぶ。格間にさらに細かい格子が組み込まれた物を小組格天井(こぐみごうてんじょう)と言い、中央部分を一段高くした格天井を折上格天井(おりあげごうてんじょう)と言う。
■合板
原木を大根のかつらむきのように一定の厚さでむいた物を、木目の縦目と横目が交互になるように奇数枚重ね、接着剤で貼り合わせてつくった板のこと。このとき、一定の厚さでむいた板のことを単板(ベニヤ)と呼び、単板を貼り合わせる枚数で「合板」の厚さは変わる。薄くむいた木材を貼り合わせる技術は、紀元前の古代エジプト時代からあり、1870年ごろにヨーロッパで単板を切り出す機械・ベニヤレースが開発された。日本では1907年(明治40年)に、浅野吉次郎という人が独自に開発したベニヤレースが実用化され、以降「合板」が多く使われるようになったとされる。重さのわりに強度があり、加工の自由度が高く、広い面積の板が得られることなどが「合板」の特徴。「合板」の用途は建築土木から家具、工芸品など多岐にわたり、楽器、黒板、事務用品など生活に密着した様々な物にも活用されている。
■ゴシック様式
12世紀前半にパリで生まれ、16世紀ごろまでヨーロッパ各地で影響を与えた建築・美術様式のこと。もともとは、建築物についてのみその様式を指す言葉であったが、やがてその時代の美術・工芸品やインテリアなどにも適用範囲が広がった。ゴシック建築の大きな特徴は、尖頭アーチ、リブ・ヴォールト、フライング・バットレスの3つ。これらを備えた代表的な「ゴシック様式」の建築物としては、フランスのノートルダム大聖堂、イギリスのカンタベリー大聖堂、ドイツのケルン大聖堂などがある。また、装飾においては細長い十字を基本とし、垂直の線を強調する構造や、ステンドグラス、壁につるすタペストリーなどが挙げられる。家具などでは、脚や枠に豪華な彫刻を施された物が多い。彫刻の模様は、唐草や渦巻き、S字模様などが多用される。
■ゴブラン
15世紀のパリで活躍していた、ベルギー人の染織家であったジャン・ゴブランが発明した織り方のこと。つづれ織りであり、これをゴブラン織りと呼ぶ。ルイ14世の代に全盛期を迎えたが、絵模様を織り出したタペストリーがよく知られており、フランスやベルギーで生産が行なわれている。名画を下絵にした物も多く、人物や静物、風景といったように内容は多岐にわたる。表現方法にも違いがあるものの、配色や豪華さといった点は共通しており、傑作として知られている物も多い。緯糸に色糸を使って模様を織り出していくところに特徴がある。糸には毛と麻が使われることが多い。絹や金糸、銀糸を使って華やかに仕上げる方法も採られている。
■権現造り
平安時代に始まり江戸時代に流行した、本殿と拝殿を「石の間」もしくは「相の間」と呼ばれる幣殿で繋ぐ建築様式のこと。「石の間造り」や「八棟造り」と呼ばれることもある。上から見ると、本殿、相の間、拝殿の配置により屋根が「エ」の字の形になっている。相の間の床が、拝殿と本殿よりも低く石敷きになった物を石の間と呼ぶ。普通、相の間は拝殿と同じ高さの板敷きとなっており、幣殿として使われる。権現造りの場合、社殿は本殿が流造りと入母屋造りの2種類で、豪華な造りとなっており、拝殿には正面屋根に千鳥破風が飾られている。平安時代の北の天満宮が始まりと言われており、栃木県の日光東照宮が有名で、日光東照宮の東照大権現(徳川家康)にちなんで名付けられた。
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