建築用語集
■犬走り
犬走りは日本の城に関する用語のひとつであり、建築用語として今も使われることがある。犬が通れる程度の狭い幅の道にしたことが、名前の由来。犬走りは鎌倉時代から存在し、日本の城においては、敷地内にあって塀の外側にあり、垣までの狭いスペースのことを意味する。土居の見回りを行なうために必要であるとされた。また、上部にそびえる城郭建築や石垣などの地盤を補強するために備えられることもある。こうした理由から、城では土居の方向と平行に犬走りが設計されるのが一般的。犬走りがあると敵が城へ近づくときの拠点になって、敵が踏み入りやすくなるなどの短所もあった。大阪府の岸和田城にある犬走り石垣が特に有名。他に愛媛県の今治城などにも犬走りがある。
■いぶし瓦
屋根に使われる瓦の一種。陶器瓦と同じく粘土を使って成型し焼き上げて乾燥させるが、焼成過程に特徴があり、炭化水素ガスでいぶすことによって銀色の炭素膜を付ける。染地瓦のひとつで、独特の風合いを持つため、和風建築物には欠かせない。にぶく光を反射させるツヤ感が魅力的な瓦である。いぶす過程において低温で焼成されるため、ゆがみが少なく、様々な細工をしてもしっかりと残る。これまでは、いぶし瓦と言うと凍結しやすいことで知られ、割れやすい物と考えられていたが、かなり改善され、寒冷地でも十分に使える物となった。
■芋目地
タイルやレンガ、コンクリートブロックを積むときに水平・垂直方向の目地が一直線になるような積み方のこと。規則正しく伸びる芋の根に似ていることが由来とされている。水平方向は一直線でも構わないが、垂直方向が一直線だと強度が低くなるため、建築においては避けられる積み方。
■入母屋屋根(イリオモヤヤネ)
屋根の形式のひとつで、寄せ棟屋根と切り妻屋根を合わせた屋根の形を言う。具体的には屋根の上部が切り妻屋根の形で、下部が寄せ棟屋根の形となっている。母屋鼻が軒線より内側に入っていることが「入母屋」と呼ばれる由来。「入母屋屋根」は、伝統的な日本家屋で一般的に見られた屋根で、格式の高い屋根とされている。上部は2方向に傾斜をもつ山形で、下部は前後左右、4方向への傾斜をもつ。これらの傾斜は上部分が下よりも急な物と、上下の傾斜が同じ物がある。「入母屋屋根」の特徴は、切り妻屋根のように屋根裏の換気が取りやすいことと、寄せ棟屋根のように四方に軒が下がってくるので、雨が壁に当たりにくくなり、風雨に強いことが挙げられる。
■入隅
壁や板などの2つの面が出会うところの内側のへこんだ部分、またはその稜線のこと。対語として、反対に出っ張った角のことは「出隅」(ですみ)と言う。2つの面が外壁でも内壁でも変わらず、入隅、出隅と呼ぶ。入隅や出隅を取り入れた設計は、木造の在来工法が対応しやすい。また建物の内壁の入隅は、住宅をチェックするためのポイントのひとつにもなる。部屋の角である入隅は、角部分の左右の木材を斜め45度にカットして突き合わせて仕上げる。しかし、そこに不自然な隙間があると、直線にカットした面を垂直にあわせただけという、手間を省いた工事の可能性があるので、施工業者の信頼度を測るためにも注意が必要だ。
■インサート(金物)(インサート(カナモノ))
コンクリート打設前に型枠に取り付ける金物のことで、部材の内部にネジが切ってある物。型枠を外したあとに、ネジ配管類やダクトを支持する吊りボルトをねじこんで使用する。鍛造品と鋳物製の物があり、用途によって使い分ける。コンクリートのスラブ下に使用する物であるため、木造住宅で使われることは少ない。このインサートに対して、コンクリートを打設してから何らかの理由でアンカー掘りを設置したくなった場合に用いるのが、後打ちアンカーである。後打ちアンカーは高価で手間もかかるため、緊急手段と考え、よほどのことがない限りは、あらかじめインサートを入れておくことが望ましい。
■インシュレーションボード
材木に熱をかけて繊維状になるまで解きほぐし、合成樹脂や接着剤を混ぜて乾燥させた木質の建材。軟質繊維板とも呼ばれ、主に天井材や壁材、畳床に使用される。インシュレーションボードは多孔質かつ軟質であるため、断熱性、保温性、吸音性に優れており、断熱、吸音を目的に良く用いられている。また、透湿性を持つことから、結露の防止にも役立つ。しかし、原材料が木材であるため、水や湿気に弱く、カビやすいと言う欠点も。
■インターロッキング
コンクリートに無機系の顔料を混ぜて作った舗装用のブロックのこと。レンガ程度の大きさのブロックで、歩道や公園、駐車場、住宅のアプローチなどの様々な部分に使われている。側面がギザギザになっていて他のブロックとピッタリかみ合うようになった物が多く、色やパターンが豊富で、組み合わせによって印象が変化するなどデザイン性も高い。砂利や砂を平たく敷き詰めた上に、配置パターンを検討しながら、接着剤を用いることなくブロックを配列していく舗装方法が取られる。ブロック同士の隙間から雨水が下へと浸透するので、コンクリートと比較して水はけが良いと言った利点を持つ。
■インテリア
建物の内部空間のこと。室内にある、壁紙、床材、家具、カーテン、照明器具など、室内を装飾するすべてのものが含まれ、室内空間を彩る「室内装飾品」を意味する。その組み合わせによって、様々な雰囲気の部屋づくりを楽しむことができる。
■インバーター(蛍光灯)
蛍光灯を点灯する際に高電圧をかける装置である。蛍光灯が点灯するためには、フィラメントに電流を流して電子を放出させ、その電子が管内に飛び出すよう電極間に高電圧を印加することが必要。
■インバート(枡)
一般的には汚水枡のことを指す。枡の中に配管と同型の溝を切った汚水枡のことで、汚水排水や雑排水をスムーズに流すための仕組み。マンホールの底部に設ける場合もある。配管の断面と同じように型を作ることを、インバートを切ると言う。正式には英語でcess pit in invertと呼ばれ、管の底(invert)に設けられた汚物用の穴、と言う意味。汚物によって管が詰まるのを避け、汚水を流れやすくするように、升の底に管の半分が食い込むように彫り込まれている。管の詰まりを避け、清掃や点検が容易にできるようにするため、敷地内の汚水間の要所に設置。プラスチックでできている物もある。
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