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建築用語集

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その他「ア」

■あばら筋
剪断補強筋の一種で、スターラップとも言われる。あばら筋は主筋よりも細い鉄筋で、鉄筋コンクリート造において、梁材の上端と下端の間を主筋を取り囲むように一定の間隔で帯状に垂直に巻いていく。使用するあばら筋の本数やその間隔は構造計算によるが、250mmから300mm間隔で配置することが多い。あばら筋は、材にかかる荷重のうち、材を断ち切るように働く剪断力を負担する鉄筋である。そのため、剪断力の大きくなる梁の端部ほど、あばら筋は高い密度で配置される。また、木構造の基礎では、上端筋と下端筋の距離を一定に維持することを目的として、上と下の主筋をつなぐように縦に1本だけ配置されることも多い。


■アピトン
主にインドからインドシナ半島、フィリピン、マレーシア、インドネシアなどを産地とする木材のこと。色調などの外観は特に美しい物とは言えないため、表面に出るような用途に使われることはあまりない。しかし耐久性や耐水性に優れており、橋梁材や枕木、トラックなどのボディ材やパレットとして、さらには床材や柱、梁、など幅広い用途で使用されている。また、価格が比較的リーズナブルであることも魅力。魚市場のような常に水が使用されてる場所では、木材の使用は難しいと思われがちだが、鉄板では荷物が滑りやすくなる。一方、アピトンは対滑性や耐水性にも優れているため、実際に魚市場で運搬台車にアピトンが使われていることも多い。


■アプローチ
道路から門を経て玄関へ通じる道、進入路。道路に面してすぐに玄関ではなく、訪問者を最初に迎える場所として、植裁や曲がった道など、各家の工夫を凝らした演出がなされている。


■雨押え
雨水の侵入を防ぐための役物のこと。外壁と開口部の上部などに取り付ける板材で、屋根と壁の立ち上がりの取り合いにも付けられる。雨水が回り込んで侵入したりしないようにする物で、薄い金属板を雨押えとしておくことが多いが、これを剃刀とも呼ぶ。


■雨仕舞い
屋根やベランダ、外壁などに雨水が入らないよう防水加工を施すこと。家屋を長持ちさせるためには欠かせない処理で、長年にわたりこまめな修繕が必要。そのためマンションの大規模修繕などでは最優先項目に。雨仕舞いのやり方は様々で、加工する箇所に応じて適切な方法が取られるが、屋根の場合は頂点をなす部分に金具などを取り付け、隙間から水が浸入しないようにする。


■アメニティ
建築業で言えば、建物や立地環境や間取り、構造、設備などの快適さが挙げられる。特に、住宅においてのアメニティは、間取りや設備など建物の機能だけでなく、デザイン、周囲の環境、社会的条件まで含め、すべての点についての便利さや快適さのことを指す。


■アメリカ積み
レンガの積み方のこと。レンガの小口が5〜6層ごとに見られることが大きな特徴となる。長手を積んでいるときには、目地を半枚ずらすことで強度を高めていく。単純な積み方になっていくことから工期が早い積み方ではあるものの、内部にも目地ができ上がるため、強度として考えた場合は、アメリカ積みは強いものではない。見た目はアメリカで多く見られるようにポップな仕上がりになるが、強度の問題から低い壁に使うことに適している。構造的に問題がないのであれば、間仕切りにも使うことも可能だ。レンガの色や種類を変えてみることで、さらにポップな仕上がりにすることができ、インテリアとして考えると重宝する。


■洗い工事
「洗い工事」とは、美装工事のこと。内装工事が完了、照明や衛生陶器といったものの取り付けが終わり、引渡しの段階に入った時点で、すべての場所で清掃やフロアのワックスがけなどの工事を行なう。洗い工事を行なうことによって、最終引渡しに入る。


■荒壁
土壁の一種で、竹小舞を編んだものを下地にしたもののこと。中塗りの前段階の、つなぎにわらを入れたりすることで、下地にしている。中塗との荒壁の大きな違いは、砂が入っているかどうかだ。砂の量は地域によって違いがあるが、これはもととなる土の性質に地域差があることによる。茶室の壁に使われることも多いが、中塗や仕上げ塗りをせずに荒壁だけにすることがある。これは、千利休が行なった方法で、藁?(わらすさ)を見せることさえあった。余計な装飾をなくし、最小限にした形であって、千利休の目指した侘茶の境地を表すものと言える。一般的に、荒壁だけにされることはないのは、骨材が存在しないために、ひび割れやすくなり、景観もよくならないためである。


■畦(アゼ)
「畦」とは、敷居や鴨居の溝と溝の間の凸部分のこと。島と呼ぶ場合もある。東京近郊では障子などの木製建具には、四七の溝と言って、七分(約21mm)の溝の間に、四分(約12mm)の畦を取る場合が多い。建て込まれる建具の厚さによって、畦の幅が異なる三七の溝、五七の溝、といった寸法が用いられる場合もある。また、畦に対して、溝の外側を樋端(ひばた)と言い、和室側を内樋端、その反対側を外樋端と呼ぶ。


■荒組障子
組子の数を少なくした障子のこと。横組み障子を基本としている。荒組障子は、大荒組み障子と呼ばれることも。障子の組子の基本は、縦横比率が1:√2になるようにする。半分に折っても比率が変わらない方法で、B判の紙の寸法と同じ考え方となっているのが特徴だが、荒組障子ではまったく当てはまらない。これは、1930年代に数寄屋建築を近代化させた建築家である、吉田五十八が新たな手法として発表したものであるところが大きい。ここから近代数寄屋建築が始まっていった。組み方に癖がなくなったことによって、様々な場面で使うことができる。洋間であっても割り付けがすっきりと軽くなることから、大きな負担になることがない。


■荒床
「荒床」とは、床下地の一種で、表面仕上げを施していない床のことである。荒床は、のちに仕上げ材を張ることにより隠れてしまい、そのままでは引渡しできるような完成した状態ではないため、土足で歩くことも許されている。荒床には杉材などを使っていたが、現在では合板が使われることが多い。


■アラバスタ
雪花石膏のこと。大理石にも似ているが、粒子が細かい半透明となる。現代で生産されているものは緻密な石膏ではあるが、大理石よりやわらかく加工が容易である。そのため、装飾用彫刻材として用いられてきた。アラバスタの名前の由来は、エジプトの地名であるアラバストロンであると言われている。古来より使われてきた石材であり、壺といった工芸品にも用いられてきた。様々な国で生産されているが、イタリアのものはフローレンス・マーブルと呼び珍重されている。


■アラベスク
「アラベスク」とは、“アラビア風”を意味し、一般的にはアラビア風の壁面装飾用の模様のことを指す。イスラム教徒が集う教会や、モスクの壁などの装飾として知られている。「アラベスク」は、偶像崇拝が禁じられているイスラム教のもと、幾何学模様と植物のつるや葉、花などを図案化した物を組み合わせて左右対称の模様を作り、それを連続させた模様で構成。また、幾何学模様の選択、整形、配列の方法はイスラム教の世界観に基づいている。このように高い宗教性を持つアラベスクは、ルネサンス期以降のヨーロッパにも取り入れられ使用されるようになった。だが、これらは厳密なアラベスクとは異なり、ヨーロッパ風のアレンジが加えられている物がほとんどである。


■アルコーブ
「アルコーブ」とはくぼみのこと。例えばマンションの玄関が部屋側にくぼんでいる空間のことである。メリットは、外部からの視線を遮ることができる点と、玄関扉を開け閉めする際に廊下を歩いている人がいても安全ということ。一定の広さのある「アルコーブ」の場合には、そこを有効な空間として活用することもできる。ただし、「アルコーブ」というのは共用部分にあたるため、何でも自由に利用できるわけではない。また、「アルコーブ」に柵を設けた物についてはポーチと呼ぶことが多い。


■鮟鱇(アンコウ)
「鮟鱇」とは、雨どいに使われる部材のひとつ。竪樋(たてとい)と軒樋を繋ぐ部分のことであり、集水的な役割をしている。魚のアンコウをさばくとき、体がやわらかく包丁を入れにくいことから吊して口から水を入れてさばくが、このときの姿に似ていることから鮟鱇と呼ばれるようになった。


■アンダーカーペット
配線方式のひとつで、カーペットなどの下を通す方法のこと。アンダーカーペットでは、床の上に配線を固定し、その上にカーペットを張る。カーペットがあるため、配線が露出することがなく、ひっかけたりすることがない。アンダーカーペットでは、配線がカーペット下で動いたりしないように、薄型テープで固定する。カーペットの厚みがあっても、配線が盛り上がってしまうことがあるため、フラットなケーブルや、薄型の物を用いることが多い。専用のケーブルも販売されている。オフィスのレイアウト決定後にも配線できるところにメリットがある。コンセントが増設、移設されたときにも対応が早い。


■アンダーカウンター
システムキッチンのシンク取り付け方法のこと。洗面器の取り付けでも使われる。天板と比べてシンクが下に取り付けられるため、カウンターの下面に収まる。段差もつくことがないため、カウンター上には水がたまりにくくなることから、手入れの負担が格段に少なくなり、シンク周りの掃除も楽に。デザインとしてみても、収まりがよくなりまとめやすい。


■アンダーレイヤー
カーペットを敷く際に、床との間に敷き込む物のこと。クッション材として使われる。アンダーレイヤーは、素材に麻や綿でできたフェルトを用いることが多い。しかし、他にもゴムやポリエチレン製のスポンジなどもあり、フェルト状にした物として、植物繊維を使ったパームロックもある。衝撃吸収として使われるが、音の発生を軽減することも可能に。また、断熱性も高めることができる。さらに、カーペットが滑ってしまうような危険も減らすことができ、安全性にも寄与する方法だ。アンダーライナーと呼ばれることもある。


■アンティークフィニッシュ
仕上がり面をあえて古く見せる手法のこと、故意にダメージがあるように見せるだけで、素材などに問題があるわけではない。アンティークフィニッシュは、アンティーク加工とも呼ばれる。家具だけに限ったものではなく、様々なことに行なわれるが、トリック的な要素が強いため、塗装の技術によって仕上がりには大きな差が生まれる。レザーやデニムなどでは、実際に傷を付けるという方法も。様々な塗料が販売されるようになり、DIYとしても行なうことができるようになってきたが、度を超したアンティークフィニッシュは、質感を高めるよりも損ねてしまうことのほうが多くなるため、適度に行なうことが重要となる。


■安定器
蛍光灯に使われる器具のこと。チョークコイルやバラストとも言われる。蛍光灯は、内部に電気を放出して明かりを灯しているが、放電を安定させることができない。そこで、安定器を使うことによって、放電自体を安定させている。電圧を安定させることが目的の装置だが、放電回路の電流を制御することによって、照明器具の破損も防ぐことができる大事な装置。


■アントニオ・ガウディ
1852年にスペインで生まれ、バルセロナを中心に活躍した建築家だ。現在も建設が続いている有名なサグラダ・ファミリアをはじめ、グエル公園、カサ・ミラなど、バルセロナ市中で彼の代表作を見ることができる。アントニオ・ガウディは、「構造は自然から学ばなければならない」という考えを持っており、サグラダ・ファミリア内部の、巻き貝をモチーフにした螺旋階段をはじめ、自然の造形物を模倣している。また、鎖でできた網に重りを複数個付けてできた緩みという、独特の曲線を反転させたものをデザインに取り入れた。構造力学的にも施行の合理性からも、垂直荷重に強い建築であると主張し、自然法則を利用した建築として有名である。


■アンドレ・パラディオ
パラディオ様式を創造した建築家である。1508年パドゥヴァで生まれ、16世紀にイタリアで活躍した。建築が、一人の芸術家の感性で作り出されるという時代から、工学と科学に基づく芸術との結合から生まれる、という時代に入っていた頃で、古代の教えと自身の作品や古代建築を図入りで記録した「建築四書」を出版。これは、紀元前46年にヴィトルヴィウスが著した「建築書」をもとにして、建築にとって絶対的に必然的なものを選び取り理論化したもの。その後のルネサンス様式に多大な影響を与えた。パラディオは、ヴィチェンツァ市内とその周辺に膨大な数の建築物を残しており、ラ・ロトンダなど有名なものも多くある。


■あんどん部屋
光の入らない部屋のこと。採光の基準を満たすことがないため、建築基準法で納戸を指すことになる。直接外気に接するための開口部が存在しない部屋になり、通風の要件も満たせない。そのため、あんどん部屋は居室とはみなされない。もともとは、遊郭で代金の支払いができない客を、閉じ込めておいた布団部屋のことだった。行灯も収納されているような薄暗い部屋であり、居室としては考えられていない。サービスルームと表記されるのも、あんどん部屋のこと。居室として使うことができないため、評価額を考えると下がる要因となることがある。使い道として、ウォークインクローゼットにするなど、リフォームで使えるようにすることもできる。


■アンピール様式
19世紀初頭にフランスで流行した装飾様式のこと。ナポレオン第一帝政の下で発展したことから、帝政様式と呼ぶことも多い。大衆様式でもあり、均衡が取れたデザイン。そのため自由ということを大きくうたった建築であるとも言える。アンピール様式には、古代ローマやエジプトの装飾モチーフも取り入れられていることから、古典主義な構成として考えることができる。豪華でもありながら、重厚に表現されており、ナポレオン帝政が終わったのちも、数十年にわたって支持され続けた。他国にも波及したのは、ナポレオン帝政の各将が各国に渡ったことによる。ロシア帝国にも影響を与え、ロシア海軍本部にもアンピール様式が見られる。

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