トカイナカに暮らす3
~引退した夫婦が農作業をしながら暮らす家~
相模湖近くの高台にある風薫る家
近くに相模湖と緑豊かな山々があり、くねくねと道路を上った高台にある木造住宅は築46年経過し、冬は寒く、家族構成が変化した現在では使いづらくなり、ご主人の定年退職に合わせ、ご夫妻が老後に備えてリビングとダイニングキッチンを中心とした生活をするため明るく風通しの良い部屋にしたいというご要望をいただき、プランニングさせていただきました。
ご主人は退職後は家業の農作業をやられるということで、お仕事のあとにゆったりと寛げる家づくりを心掛けました。素晴らしい眺望を部屋に居ながら満喫できること、南から北への風の流れを確保すること、キッチン・ダイニング・リビングと座敷を一体化して有機的につながりのある間取りにする、天井を高くし凹凸を付けて、部屋全体が一体感を持ってつながるようにデザインすることをテーマにリフォームが始まりました。
異国情緒溢れる素材を使っていながら、どこか日本的。
玄関は300×300磁器タイルの床と造作下足入れ。既存の階段を生かしたアンティークな玄関にしました。階段中央下部は和室に続く風通し窓があります。和室仏壇入れ下部にも風通し用建具を取り付けました。
リビング入口にはアンティークなドアがあり、お客様が購入されたアンティークのダイニングテーブルとキッチンカウンター腰壁と下り壁に使用した様々な木片がマッチしています。天井のアンティークな照明とモダンな照明器具の組み合わせ、吹抜け天井の中央には既存松梁を露出させ、アンティーク風の照明の明かりが天井に反射して空間に柔らかな光を放ちます。
キッチンにはカラフルな床材を使用し、家事をしながらをしながら庭が見れます。
キッチンカウンター脇にはパソコン用デスクと本棚を設けました。
洗面室の吊り戸棚下からキッチン食堂まで通じる風通し窓で夏は涼しく風が通ります。
まとめ
中央高速道路の八王子を過ぎちょっと走ると、緑の山々や青空が広がり、トンネルを抜けると相模湖東の出口があります。くねくねと細い道を登っていくと、小高い山の頂上あたりに現場がありました。
ご主人様は警察署を1年前に定年退職され、奥様と共に家業の農業を引き継がれ、長年住み慣れた、そして大分老朽化した住居をリニューアルしたいとご依頼がありました。
家を解体した時に出てきた古い木材を加工して壁の化粧材に使ったり、イタリアのガラスモザイクタイルの鮮やかな色彩や、ご夫妻が自ら探して見えたアンティークな木製入口ドアや60年前にデザインされたモダンな照明器具やスペイン製のガラスシェードの照明器具、ユニットバスではなく楕円形の真白な浴槽、御影石と磁器タイルを使った在来浴室、アンティークな色調の栗材無垢フローリングや上り天井に貼った銀色の和紙等、異国情緒な様々な素材を使っていながら、どこか日本的な空間に仕上りました。
山あいからの風を家の中へ通り抜けさせる工夫や、大自然の借景を台所で料理をしながら見渡せるアイディアは工事中に浮んできました。