自然素材の家のおしゃれな経年変化
劣化との違い、手入れや耐久性、実例をご紹介
1. 自然素材の家の経年変化とは?
◍ 経年変化と劣化の違い
◍ 自然素材の経年変化の例
2. メンテナンス方法
3. 自然素材の家の経年変化の実例
自然素材の家のは、経年変化によって味わい深さや魅力が変化していきます。
これを「経年変化」と呼びます。
新しい住宅に使われている新建材は使う程に劣化しますが、
自然素材は住んでいる人と一緒に育つという感覚です。
具体的にどう変化するのかご紹介致します。
1. 自然素材の家の経年変化とは?
◍ 経年変化と劣化の違い
「経年変化」は機能を維持したまま見た目が変化していくイメージ、「劣化」は年月とともに機能や見た目が衰えていくイメージです。
工業製品は使うほどに劣化してやがて使えなくなりますが、自然素材は自分で呼吸をして自身の機能をキープし続けてくれます。
例えばビニールやプラスチックのような素材は、新品の状態が一番きれいですがその後は時間が経つごとに色あせたりひび割れたりして、見た目だけでなく性能も落ちていきます。それに加え表面の木の単板部分が下地から剥がれてしまって、下地の単板重層材が露出してしまいます。そうなってくると大規模なリフォーム工事になりやすくその分コストも掛かります。
自然素材は、他の素材よりも劣化や性能の低下が起こりにくく時間と共に色濃くなったり明るくなったりして変化していきます。色が馴染んで美しく変わっていく過程は、他の素材では味わうことができません。
無垢材は長年の使用で摩耗され続けることによって少しずつ磨かれ、光沢が増していく特徴があります。「自然素材の家の経年変化」とは、自然素材本来の機能を維持しながら人と一緒に年月を重ねて変化いくことです。
住むほどに愛着が増す家になるでしょう。
◍ 自然素材の経年変化の例
日本の8割強の今の家の床は「経年劣化」と言う言葉が当てはまってしまうのが現状です。今の家は「新建材」と呼ばれる人工的に作られた製品が大半で、年数を重ねるたびに表面塗装が剥げ木の様に見えたり、表面印刷がボロボロしてくる様になっていきます。(左写真)
百年前の建物が今も健在であるということこそ、呼吸をし、強度を増して生きている自然素材のメリットなのです。木にはそれぞれ個性があるので、変化の仕方も様々です。フローリングの変化を例に、どのような経年美が起こるのか見ていきましょう。
チーク材 -「世界三大銘木」の一角を担い世界的に貴重な木材-
チーク材は世界的にも人気の高い高級木材として非常に有名です。加工性と耐久性に優れ、チーク材自身が持つ天然の油分が経年変化において表面を独特の飴色に変化させます。使い込むほどに増す飴色の艶感は、他の木材には無いチーク材の魅力と言えます。チーク材は切削や研磨などの加工がしやすく、加工後の収縮や膨張の変化が少ないことに加え、油分を多く含むことにより害虫や水気にも強いとされています。
オーク材 -欠点が少なく人気が高い木材-
オーク材は日本では楢(ナラ)と呼ばれます。硬いわりには加工しやすく、木目が美しい樹種です。年輪の間隔が短く木目がしっかり詰まっているのでキズに強く、耐水性が高いのがメリットです。度が高いときに水分を吸い込み、湿度が低いときに吐き出しますが、この時に隙間が出来たり反ったりといった特徴が少ないのもメリットです。オーク材は経年変化に伴い茶色から黄色みがかった色味と変化していきます。木目も辺材(白太)部分は薄く芯材(赤味)部分は濃い色味が残り天然木ならでは自然なコントラストが明瞭になっていきます。
メイプル材 -白系の木材として最高峰の質感から「白の女王」と評されています-
メープル材の最大の魅力は、自然の産物でもある様々な木目の表情にあります。木材の表面に現れる不規則な杢目には、工業製品では表現できない美しさがあり、さざ波のような波状杢や鳥の目のように評されるバーズアイ(鳥眼杢)など様々な表情が不規則に現れます。また、ガムスポットやカスリと呼ばれる黒い筋状の線もメープル材の特徴です。日焼けや酸化などによる経年変化によって多くの木材は茶色に変化していきます。メープル材もチーク材と同じで油分を多く含み、自然な艶感を保ちながら色味が飴色に変化していきます。同じ白系の木材でも桧やカバと比べ、硬さや寸法安定性に優れていることが美しさとともに最高級の木材として取り扱われている理由とも言えます。
アカシア材 -家具材や木製食器など生活に身近な樹種の一つ-
ダークブラウンの色調や個性的な杢目・価格的にも大変手ごろな点など近年人気上昇中のフローリング材です。アカシアの最大の特徴は黄色~茶色の色味です。高級樹種のチークやウォールナットなどに近いこげ茶の色味は落ち着いた雰囲気が演出できます。また切削などの加工がしやすく乾燥後の収縮や膨張が少ないので人気です。アカシアの無垢フローリングは元々色調豊かで色の濃い箇所と薄い箇所が混在しておりますが、色の濃い箇所が経年変化によって少しずつ褪せて薄くなる傾向があります。
マホガニー材 -高級感のある深い赤褐色、光に当たると輝く模様が魅力-
マホガニーは、ウォールナット・チークとともに、世界三大銘木の一つでありその美しさから「カリブの宝」と呼ばれることもある程です。マホガニーを特徴付ける深い赤色は、経年変化によって徐々に深みを増していった結果です。最初は全体的に淡い色の木肌が、光や空気にさらされて深い赤褐色に変化し、美しさを増していくのです。やわらかく加工しやすい一方で、耐久性もあるのが特徴で、た繊細な装飾や彫刻、線が細い曲線ラインの家具が作れるようになったのです。
杉材 -日本人にとって古くから馴染み深いスギ-
杉はその温もりや心地良い香りなどにより、根強い人気があります。空気層が厚く、保温性、断熱性に優れているため、人の体温を奪いません。この空気層はクッションの役割も果たすため、身体にかかる負担を軽減してくれます。スギの丸太は、中心部分(赤身)と外側部分(白身)で色味が異なります。赤身部分は耐久性があり、フィトンチッドという成分を多く含むため、抗菌作用もあります。白身部分は、緻密な年輪が魅力的で美しく、赤味に比べ吸湿効果が高い部分です。杉は他の無垢材に比べてもともと少し赤みの強い樹種ですが、経年変化によってその色が少しずつ濃くなっていくイメージです。
ヒノキ材 -日本人とヒノキは古くから関わりがあり「良い木材」の代名詞とされています-
日本の高級木材といえばヒノキ。法隆寺や伊勢神宮等の宮殿の建造物に使用される神聖な木材として使用されてきました。水に強く耐久性がある点が特徴で、家具や柱だけでなく浴槽にも取り入れられ、上品な香りや雰囲気を醸し出せる無垢材です。内装材としてヒノキを用いる場合、使い込まれて表面に光沢が生じます。特にフローリングや柱など、ひんぱんに人が触れる場所は削れて節や年輪が目立ってくるでしょう。エクステリアとして使う場合は、紫外線や雨風の影響で木材の色が濃くなります。
2. メンテナンス方法
◍ 無垢材のお手入れは「簡単に」が基本
■掃除は、掃除機をかけるだけで基本的にOK。
■クイックルワイパーなどの掃除用品は、ドライタイプを使用。ウエットタイプには洗剤が含まれていることがあるため、使わない。
■どうしても落としたい汚れがある場合は、中性洗剤を水に溶かし、雑巾を固く絞って水拭きする。ただしあまりゴシゴシとこすらない。
無垢フローリングには、自然塗料を使った仕上げとウレタン塗料を使った仕上げがあります。ウレタン塗装の場合は、表面を塗料でコーティングしますが、自然塗料の場合は、塗料を無垢材に浸透させます。自然塗料はコーティングではないため、ウレタン塗装よりも水気に弱いと言えます。塗装の種類に関わらず無垢材は水気には弱いですが、自然塗料を使用している場合はより水気に注意しましょう。
水気に注意するというポイントはあるものの、日常のお手入れは「意外に簡単だな」と思いませんか?
一般的な木製の家具を思い浮かべてください。木製家具の表面には水、汚れをはじき、傷から保護するためオイルが塗り重ねられています。使用しているうちにだんだんと油分が空気中に放出されていくので、お手入れとしてオイルを補い、塗り重ねる「オイルメンテナンス」を行うことになります。
無垢材も同じですが広い面積を、シミ、ムラなしにオイルメンテナンスを行うことは難しいです。しかし本格的なオイルメンテナンスをしなくても、生活していく中で人の足裏から出た皮脂で床に油分を補充しつつ日々の生活を積み重ねていくことで、人工的な加工ではできないツヤを楽しむことができます。